かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

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知的コミュニティ基盤研究センター研究談話会:「公共図書館にとって最適な規模とはなにか」

例によって行ってきました、研究談話会。
今回は、今年から新たに筑波大学図書館情報メディア研究科に来た池内准教授がご自身の研究テーマである「公共図書館の最適規模」について話してくれましたっ!

知的コミュニティ基盤研究センター研究談話会 第43回「公共図書館にとって最適な規模とは何か?」

講演者:池内 淳 (いけうち あつし;筑波大学大学院図書館情報メディア研究科・准教授)
日時 :平成19年 5月24日 (木) 15時15分〜16時15分
場所 :筑波大学春日キャンパス 情報メディアユニオン3階共同研究会議室I
概要 :かつて、Michael Bucklandは、“図書館の最適規模の問題は図書館学のいろいろな文献の中で中心的な問題になっているとかなりの人々が考えているようだが、事実は全く逆である”と述べ、図書館の規模というトピックに十分な関心が払われていない点を指摘した。また、図書館は大きければ大きいほど良いとする古典的見解も根強く息づいており、現在でもなお、こうした状況に大きな変化は見られないようである。一方、近年の情報技術・環境の変化は、必然的に図書館サービスの内実と社会的な期待を変容させているし、設置母体の財政状況の逼迫により、図書館サービスの効率性が求められるようになって久しい。以上のような背景から、本講演では、まず、種々の変数を用いて、公共図書館の最少効率規模を導出した後に、単に、効率性の指標のみでは捕捉できない、公共図書館が最適な状態であるための規模とは、どのようなものであるかについて検討を加えてみたい。


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いやー、今回は今まで参加した研究談話会の中では一番興味のある分野だったんだが、予想に違わず面白かったー。


特に興味深いのが「蔵書10万冊の神話はおおむね正しいっぽい」っていう話。
以前から植松貞夫先生(元・図書館情報大学学長。現・筑波大学附属図書館長)とかが「公共図書館で開架できるのは10万冊くらいが限界じゃないか」みたいなことを言われていたそうなんだが。
1997-2000年の統計データを分析したところ、確かに蔵書冊数10万冊前後までは冊数の増加に伴って効率性(蔵書一冊当たり職員数や蔵書一冊当たり平均貸出数)が凄い急角度で高まるんだが、それ以上は効率性の伸びがいっきに鈍化するらしい。
感覚的につかんでたことが数字でも裏付けられた(もちろん手法には改善の余地があるし、池内先生ご自身がいろいろ試していく気満々のご様子だったが)って感じで、「うおー、すげー」みたいな。
でかけりゃでかいほどいいってもんじゃないんだな、公共図書館


ただ、その割に来ている人があんまり多くなかったのが残念・・・
一人だけ、どうもつくば市立図書館の方がいらしていたみたいだが、あとは先生方や院生ばっかで、学群生とかは全然少なかった。
広報が足りんのもあると思うが・・・池内先生ご自身もおっしゃってたが、図書館系にはこういう統計的な調査に興味持つ人が少ないのかね。
俺自身も人がやったのを聞くのは好きだが自分でやるのは面倒そうだと思うしな。
回帰分析とかわからんでござるよ奇天烈ー。
Excelのピボットテーブルの使い方を昨日はじめて知ったような人間に「3次関数の回帰推定を行い、その平均関数を算出する」とか言われても下手な英語よりなにを言われているかわからないでござる。
くっ、ここにも量的調査や数学を必修にしなかった歪みが・・・!(いや、たぶん俺らがずぼらなだけなんだが)
きっと数学が必修になった今の1年生たちならなんなくついてこれるんだよね・・・!(たぶん幻)


まあ泣きごとばっか言ってないで少しは勉強せんとな。
「マンガでわかる統計学」放置してないでちゃんと読もー。