かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

10進分類をやめた図書館-あり、なし?


ずいぶん前(先月上旬)にCA-Portalでも取り上げられていた10進分類を捨てたPerry Branch Library in Gilbertに関して、米ニューヨークタイムズとウォールストリートジャーナルでさらに細かく取り上げられていたそうです。


CAでは「分類に基づかないで書店のように排架する」と紹介されていたのみだが、今回両紙に掲載された写真と記事を見ると、どうも請求記号等も付与していない様子。
館内のレイアウト自体も図書館というよりは書店みたいで、利用者の多くは目録等を使わず直接書架に足を運ぶとのこと。
このPerry Branch Libraryのことを、NYTimesは書店と、WSJGoogleと対比していて、どちらもなかなか面白い。
書店のような、というのはぱっと思いつくが、そうかGoogleかー。
OPACGoogleみたいにする、ってラインをすっ飛ばして、そもそも物理的な排架Googleみたいにシンプルなキーワードで直観的に探せるようにしてしまえ、ってところまでは発想及ばなかったなあ・・・。


この排架法だと探したい本が決まっている時などには逆に不便なんでないかと思わないでもないが*1、でも本文と写真見る限り、そういう使い方はそもそも想定してないんじゃないかとすら思える感じだな、これ。


図書館に関する授業では良く、図書館を使い慣れない人について「目録などのツールを使わず書架に"突進"する」と言い、それだと目当ての本が探せない場合が多いから目録の使い方や10進分類に関する知識等を学校図書館などで指導することが大事・・・という風に教わるし、それ自体にあんまり疑問を持ってなかったが、こういう図書館の登場を知るとちょっと揺らぐ。
利用者が書架に突進することを知ってるなら、それで探しやすいようにそもそも目録なんか使わなくてもいいように排架やサインの在り方(Perry Branch Libraryはサインの在り方も書店みたい)を合わせてしまった方が親切なのやも知れぬ。
わずらわしい請求記号とか、ややこしい10進分類についての知識を利用者すべてに求めるよりはそっちの方が簡単だしね。



・・・が、いくらそのやり方がありだと考え、かつ実際に利用者に受け入れられたとしても、min2-flyは自分が日常的に使う図書館に請求記号や10進分類を捨てられるのは勘弁して欲しいと思う。
やっぱねー、なんだかんだ言って便利だよ目録と請求記号。
OPACちょちょいっと引いて、請求記号とだいたいの書架の配置確認したら、あとは探したい本見つけるのなんてすぐじゃん。超楽。
特に目当ての本がないブラウジングをする時にはPerry Branch Libraryみたいな排架の方が良いこともあるかなー、と思うが、一方で探したい特定の本が決まっているときの書店での探しにくさは異常。
小説みたいに出版社・著者別に置かれていればまだ良いが(それでもコミックみたいに出版社が多数存在するときの小規模出版社の探しにくさは途方もない)、それぞれの書店が好き勝手に配置してる実用書に至っては、検索システムがある書店でも探しにくい。
ましてシステムのない書店では探すのとか不可能に近い時もある。


せめて排架の方法は10進分類みたいなハードなものに従わないとしても、請求記号くらいは付与していて貰わないと、目当ての本を探すのとかほとんど不可能に近くなるんじゃないかなー、とか思ってみたり。


・・・それさえちゃんと出来てるなら、排架自体はPerry式もありかな、とは思うが・・・。
図書館webサイトなら玄人向き(筑波大Tulips)VS万人向き(ICUとか)問題はユーザによるカスタマイズ可能にすることで解決できるが、物理的な排架となるとそうもいかんしなー。
続報に期待。

*1:請求記号ないから。っていうか一意に置く場所決まってすらないんだろ、これ下手すると。