かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

研究者人生ゲームの絶妙な世知辛さに吹いた


「研究者人生ゲーム」なるものがある。


参照:“IT研究者人生ゲーム”を研究者が開発 - ITmedia NEWS


昨年中に日本人工知能学会で開発・発売されたというシロモノで、人生ゲームと銘打ちつつ割と複雑なルールと面倒な処理*1を伴う「対象年齢は大学生以上とかですか?」みたいな感じ。
でもこれがなかなか面白い。
ゼミの先生が買ってきたのをゼミ生みんなでプレイしてたんだけど、燃えた燃えた。
クリアに3時間以上費やしたけど、時間の割にだれなかったし。


「人生ゲーム」と銘打つだけあって基本はサイコロ振ってすごろくっぽく進むゲームなんだけど、そこは研究者。
一般のゲームのお金やチップの代わりに、「研究時間」が用いられる。
プレイヤは各々600時間の持ち時間の中から、大学にいることでの固定マイナスや、受け持ちの学生によるマイナス、学会の仕事や授業なんかでのマイナスでどんどん時間がひかれ、差し引き分の時間を毎ターン「研究時間」として受け取れる。
研究時間がたまると論文が書けて、論文がたまると業績になってゴール条件に関係したりするんだけど、査読カードを引いて「採録」が出ないと論文が受理されないとか、まあ細かいルールが色々。
授業や学内委員をすると研究時間はひかれるんだけど学内ポイントがたまって教授昇進が近づく、とかね。


で、個人的に一番ツボったのは研究者個人の所有時間と研究チームの所要時間の関係。
研究者は毎年、卒研学生を担当するのが義務付けられて、そのほかに金や人脈によってポスドクを雇うことができる。
学生やポスドクは打ち合わせのために研究者個人の時間を消費するんだけど、一方で優秀な学生やポスドクは研究チームの一員として研究時間を稼いできてくれるので、各ターンで貰える研究時間が増えることになる。
ゆえに学生やポスドクをたくさん囲えばそれだけ毎ターンの研究時間は増えるんだけど・・・一方で、研究者個人としての持ち時間(600時間)は打ち合わせ分着実に消費されていて、打ち合わせですり減った挙句に600時間を超えて消費すると研究者は過労で入院してしまうという・・・(苦笑)
なにこの妙な生々しさw
「優秀な研究員をたくさん雇えばチームとしての総力は高まるけど、その切り盛りのために自分の身は擦り減ることになるんやで」ってことか・・・なんと世知辛い(苦笑)
若手研究者自身が作ったゲームってだけあって他にも生々しい部分はたくさん。
主に学生の使えなさっぷりとか。
「なんもしてくれないだけならいい。邪魔をしないでくれwwww」みたいな学生多すぎ、このゲーム(苦笑)
そうかー、先生方から見ると学生ってのはこういうもんなんだなあ・・・うーん、笑えない・・・

*1:そもそもボードゲームで「年度末処理」なんて単語が飛び交うのはどうかと思うがそこが楽しい