「学習支援:2020年これが図書館の生きる道」(平成22年度関東甲信越地区大学図書館シンポジウム@つくば 参加記録)
既に昨日の話になってしまいましたが、本キャンパスで開催された「平成22年度関東甲信越地区大学図書館シンポジウム@つくば 学習支援:2020年これが図書館の生きる道」に参加してきました!
- シンポジウム公式ページ
大学図書館をめぐる環境は大きく変化してきている。大学図書館の使命のひとつである教育支援は、教育方法の変化に伴い、学生の自主的な学習を支援する「学習支援」へと姿を変えつつある。電子ジャーナル・DBの充実による非来館型サービスの浸透により、一方で図書館の存在感が薄れてきている観のある中で、「学びの場」として図書館の存在意義を示すためにも、今回の研修を通じて教育支援から学習支援に変化している図書館の役割について考える。
ジャーナルが電子化してめっきり教員は情報の入口としての図書館を使わなくなり、単に欲しい電子情報源へのアクセス権買ってくれる財布だと思っているという調査も(アメリカの話ですが)出ている*1と同時に、シンポジウム中でも事例を出して紹介されていましたが高等教育自体も「学習」に重きを置く方向に大きくシフトしている昨今を思えば、2020年の生きる道として「学習支援」を全面に打ち出すシンポジウムはまさに時宜を得たものというところであり。
竹内比呂也先生、井上真琴さんがメインスピーカーということもあって、会場は大入りでしたし、またそれだけの甲斐のある非常に面白い(かつ、色々勉強しないといけないことが多いなあ・・・とも思う)シンポジウムでした。
以下、いつものように当日のメモです。
先生方はじめ、スピーカーのみなさんが大変テンポよく発表されていたため、ところどころついていけなかったり意味を取り違えているところもあるかと思います。
例によってmin2-flyが聞きとれた/理解できた/書きとれた範囲の内容ですので、その点ご理解いただければ幸いです。
誤字脱字・間違い等はコメント欄等を通じてご指摘いただけると助かります。
それでは、(開会あいさつをメモに取り損ねたため(汗))、竹内先生のお話のメモからです。
基調講演1:「図書館員の新たな役割」(竹内比呂也先生、千葉大学文学部教授)
- シンポジウムのテーマは「図書館の生きる道」。そんなものあったら苦労しない
序論
- 大学図書館をとりまく厳しい環境
- 出版産業は斜陽。図書館が出版物に依存しているのであれば、同じように斜陽
- 図書館の高機能化等についてどうしたらいいか、誰も教えてくれない
- アメリカの大学ではライブラリアンは絶滅しようとしている?(『出版ニュース』)
- 図書館員は単なる書庫の門番?
- 個別の図書館のいらない図書館システム、OPAC
- 認証があれば、図書館が抱え込まなくても利用者の思うままに情報源を利用できるのではないか
- 「場所としての図書館が必要」というのは図書館員くらいのものである(D・シュレンバーガー氏、元アメリカ公立大学協会のVice President)
- 「支援」としかみなされない職種は大学にとって必要不可欠とみなされない
- 『情報
課化(2010-12-17 修正)に対応しない図書館』や『学習に役立つ図書館を明示的に思考しない大学図書館』は大学にとって単なる巨大書庫という不良債権(!)
「研究」と大学図書館
- 電子ジャーナルの普及・・・大きなインパクト
- 古い図書館を大きく変えたもの・・・電子ジャーナル
- 非来館利用が非常に増えている
- 研究者は以前より論文等を見ている可能性はあるが、それが図書館につながってはいない
- ILLの状況
- ILL=学術情報システムの質的な変化
- 見直しは不可避
- 図書館が見えない状況・・・電子ジャーナル購入経費が確保され続ける限りは続く
- 確保され続ける保証はない
- 図書そのものの電子化も始まっている
- 成果としての学術情報流通のマネジメントしか仕事はなくなる?
- 出版社・図書館が本当に不要になるかはわからないが・・・図書館の活性は確実に下がっている
研究から「学習」へのシフト
- 高等教育政策で図書館について議論されてこなかったのは周知の事実
- 開館時間、閲覧席などの前時代的なことしか書かれていない
- 高等教育が学部、学士課程重視になるにつれて・・・
- 学士力、単位制度実質化、初年次教育・・・学習活動の活性化が大学にとっての課題
- 今さら単位制度、というのは新制大学の60年はなんにもならなかった、ということ。考え直さねばならない
- そこで図書館という「場所」の意味
- ラーニング・コモンズ:猫も杓子も。情報機器が並んでさえいればいい? 違うだろう
- Sarah Thomas(オックスフォード大学図書館長):「図書館は蜂の巣のような場所である」
- JISCのプロジェクトの一環
- 学生は情報を探す際、まずGoogleで探す。そこで図書館は「人の活動を見る/自分の活動を見せることで刺激を受ける場所」
- ラーニング・コモンズのコンテクストの本質的な部分。人はどういう状況で進んで学習をしようとするか?
- "日本型"ラーニング・コモンズは・・・
- 単なる空間の提供であるケースが目立つ
- グループ学習室
- コンピュータ・クラスタ
- ラウンジ、カフェなどくつろぎ空間
- 利用者のニーズに合致はしているが、そこでの図書館員の役割はほとんど何も考えられていない
- 大学全体の中での図書館の機能の再定義がなされないと意味を持たない
- ラーニング・コモンズの試みで図書館が失敗すると、もう生きる道はない、ということになる。慎重に対応せねばならない
- 単なる空間の提供であるケースが目立つ
- ではどう考えていけばいい?
- 学生を中心に考えると、どのように考えられるか?
- 場所としての図書館があると絶対便利ではある。そこで何かが得られる。
- 得られるものとは?
- 学習用の情報資源:参考図書、電子ジャーナルだけでなく、授業そのものをコンテンツ化して提供するような観点が重要。学習に必要な資源は全てあること
- サポートする人:教員、職員、TA・SA。図書館員の支援は従来もあったろうが、現在の傾向としてはSA=ピアサポートが重視される
- では教員は隠れてもいいのか? 場所としての図書館に教員を引っ張り出したい。戦略的にやる必要はあるが、重要な要素。
- 教室に行くスタイルから、もう少し違うスタイルでの教育を考える手がかりを図書館で何か作れないか?
- コンピュータ資源は集客力!?
- コンピュータ資源はいつまで集客力の源たりうるか?
静岡文理大学静岡文化芸術大学(2010-12-16 修正)・・・学生用PCを全て図書館に置く、1日あたりののべ来館者が学生数の3倍に
- しかし誰もがコンピュータを持つようになると?
- 今はPCは
思いが重いが(2010-12-17 修正)、iPadのようなものが一般化すればPCの意味はなくなる - そのとき、何が集客力になる?
- 今はPCは
- そこで重要なもの・・・人
- 資料、建物がなくても人によるサービスが魅力的なら図書館は生き残りうる
- ではどういう図書館員が魅力的なのか?
- 今のように「教室」のある大学はいつまであるかわからない
- そこで学習をサポートする方向性としての図書館員は、夢物語であっても考えたい
- コンピュータ資源はいつまで集客力の源たりうるか?
「学習」のための図書館サービスを考えたとき、今までの取組みはどう評価できる?
- 図書館ないし図書館群は利用者にどのように機能するか?
- 出版社等からお金を払い、資料の選択・収集を行う。資料の入手に対する支払い
- 利用者・・・関係は非営利的なものになっている
- 図書館は情報源がどこから来たものか、原則として利用者に意識させない
- 古典的モデル⇔サイトライセンシングでは組織化・蓄積等は行われない。バリエーションがある
- 営利・非営利の関係は現状でも原則的に生きている。利用者は情報源を得る際にコストを意識しないで自由に情報を入手できる
- 「学習」との関わりにおいて、このサービスモデルはまだ有効か?
- 今の学生は今のような図書館を発見しているか?
- 図書館で何ができるか知っているか?
- 図書館員に質問することを知っているか?
- 図書館に満足しているか?
- モデルそのものは有効だが、新たなアプローチが要る
- サイトライセンス
- 情報を入手する手段は図書館だけではない、というところに一番の問題
- 従来のサービスへの学生の満足度(千葉大学での、学生が卒業する際に実施した満足度調査)
- 図書館に「不満」を感じる学生の割合は低い。IT関連施設に比べ不満度は低い
- 自由に使える学習スペースに対する不満は高い
- 教育全体への不満もあまりない。比べるものがない? もともと期待が低い?
- 学生が在学中、「身に着かなかった」と感じている能力
- 1.ディスカッション能力、2.文章作成能力、3.情報機器活用能力
- 情報収集能力への自信はそこそこある
- 結果を見る限り、図書館が頑張ってきたのは事実
- こういうことをやっていればいい?
- 図書館に「不満」を感じる学生の割合は低い。IT関連施設に比べ不満度は低い
- 学習をサポートする図書館
- アメリカ・ジョージ・メーソン大学の例・・・図書館の外に移動式のレファレンストラックを持っていく
- 日本の大学図書館員はどういう方向でいくべき?
- 学生に望まれる学習サポートはどういうものか?
- 図書館は学習サポートをしてこなかったわけではない
- 学生が望んでいるのはなんだろう?
- 支援に徹している限り、図書館のプライオリティは学内では上がらない
- 学習そのものへの関与を考えるしかない
- 学生に望まれる学習サポートはどういうものか?
- 授業と如何に密着して連携できるか?
- 一対多、ではなく一対一のサービス
- 前提・・・図書館員は匿名であってはいけない
- 学生は教員を匿名では認識しない。教務課の窓口スタッフは匿名、「窓口の人」。図書館員は? おそらく、「カウンターの人」
- 教員から見ても図書館員は「図書館の人」
- 授業資料ナビがあると、教員は「担当の〜さん」と呼ぶようになる。匿名から抜け出せた。これは大きなこと
- カウンターの中に図書館員がいてはいけない?
- カウンターは利用者を来ないようにする、せき止める堤防。中にいる限り心理的な障壁は非常に大きい
組織の形態の考え方
- 従来型のテクニカル/パブリックを、学習サポート/学術情報マネジメント、に分け直すべき?
-
- 研究評価に関わる活動・・・学術情報マネジメントと不可分
- イギリスのRAE(研究評価)では、ある人の論文の利用回数等の指標も使われるように
- 機関リポジトリの利用評価や利用統計も関わりを持つ。いいか悪いかはわからないが、流れはどうしてもある
- 研究評価に関わる活動・・・学術情報マネジメントと不可分
-
- 学習サポート中心の活動・・・
- 様々な細かい活動の統括
- 学習サポート中心の活動・・・
- 組織の形が変わるとすると、「専門職」的な組織はフラットでなければならない
- 管理業務は本質的にフラットにできない
- 専門職的な部分は教員組織に限りなく近くならざるを得ない
- 図書館員の役割が完全に専門職なら、教員組織に近いものにならざるを得ない
当面の課題
- これまでやってきた業務をなげうつ、ということはできない
- これまでの業務は当面、全部残る
- 「ILLもうやめよう」と言いたくもなるが、件数は減ってもニーズはあるし、ラストリゾートとしてのコレクション提供でもある
- しかし今後の発展可能性のある新しい活動は色々ある
- 新しい仕事をやるからと言ってマンパワーが貰えるわけではない
- プライオリティをつけて選別するしかない
- これまでの業務は当面、全部残る
- では、どういうプライオリティを考えればいい?
- 図書館でやるべき人的支援・・・学生の能動的学習・リサーチの支援
- 一定程度、合理化され人が絞り込まれている中でどう新しい方向を模索する?
- 単なる利用指導を超えるアカデミック・ライティング・センター機能等は大きな仕事になる
- 一対一、図書館員の教員化
- 御用聞きライブラリアン・・・多様な支援
- 人と接するところにいれば色んなことを聞かれる。それを待っているのではなく、出かけて行ってやる
- リエゾン・ライブラリアン
- 一人相撲しないために、教員が何を考えているか知る必要
- 多様な人材の取りまとめ
- 学習用コンテンツの構築:特にライセンス処理
- 図書館でやるべき人的支援・・・学生の能動的学習・リサーチの支援
- 大学で学習をサポートするのは図書館員だけではない
- 学生、教員、伝統的な意味での図書館員と異なるスキルを持つ職員
- 一種類の人間がいれば図書館がうまくまわるわけではない
- 多様な人材の混在によって機能する
- 図書館員の古典的なロールモデルから如何に脱却できるか
- ライブラリアンの基礎的な能力とは?
- 図書館員の役割は当面、広がる
- アウトソーシングは最低ラインの仕事をこなすことしか考えていない
- とはいえ・・・コアとなる知識・スキルとは何かをもう一度、考える必要
休憩
基調講演2:「学習支援と大学図書館」(井上真琴さん、同志社大学企画部企画室企画課 課長)
はじめに
- ラーニング・ピラミッド(National Training Laboratories)
- レクチャーで話を聞いても定着率は5%
- 今日の話も数日すれば95%は忘れる
- ディスカッション、自習、他人に教える、ということをすると非常に効果が上がる
- なぜグループ学習やプレゼンテーションが行われるか、というのがわかると思う
- レクチャーで話を聞いても定着率は5%
最初にいきなり本日のまとめ
- FD活動、高等教育改革の文脈の中に大学図書館の学習支援を捉える
- 学習支援をするなら、人がどう学ぶのか、どう教えれば効果的なのか、図書館員は勉強すべき
- 情報源を提示するサービスから、多様な「学びの体験」サービスに転換することを理解する
教育から学習支援へ
- 「知識の伝授」から学習者自らの「創造性開発」
- 学習支援にシフトした背景
- 高等教育のグローバル化
- 高等教育のユニバーサル化:18歳人口の減少
- 社会の情報化・・・情報を使わないと動かない社会
- 学び方も変わってくる?
- 知識の積み上げから、課題を俯瞰的に見て都度的に必要な情報を取ってくる形に
- 「〜概論」の授業はたいてい、役に立たない。専門的な科目の方が、ついていくのは大変だが、前提知識を取ってこようとして必要な知識を身につけられる
科学技術・学術審議会 学術分化会 〜 学術情報基盤作業部会科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(2010-12-16 修正)の審議のまとめ- 大学図書館に求められる機能・役割は学習支援・教育活動への「直接の関与」
- 図書館員はそれらの専門性も持つべき、という話が出てくる
- 従来の自己点検・自己評価では図書館は「施設」であって、教育に役立っているかどうかは評価されていない
- そのことを指摘している委員もいた、らしい
- 1月に答申が出る予定。ぜひ読むべき
- FD活動の活発化
- 「教員の組織的な教育力向上に向けた持続的な活動」
- 若い先生はがんばってやっている
- その中で職員・図書館はどんな風にしたらいいか、ということが研修に参加しているとわかる
- 「いい授業」をやるには自分が受けた授業で一番楽しかったものをやるのがいい、という話
- ある先生・・・図書館で先生と対立・議論する授業をあげる。図書館員がサポートもしてくれる。それが一番思い入れのある講義、とのこと
- 「いい授業」をやるには自分が受けた授業で一番楽しかったものをやるのがいい、という話
- 海外のFDカンファレンス等・・・多くの図書館員が来ている
- 日本の大学・・・ほとんど図書館員が来ていない
- 「なんでこんなに図書館員が来ないのか?」という疑問を持つ教員も。図書館員の意識も改善しないと
- 単位の実質化問題
- 教材の工夫
- 井上さんの授業での実例紹介
- アンカードインストラクション・・・学習した知識をさまざまな状況で使えるようにすることを目的とした方法
- ある程度、教育理論を知っていないと教材を組めない
- 「知は為すことを通じて形成される」(ドナルド・ショーン)
- 米国でも・・・与えられた課題をグループでまとめて発表する授業が盛んに
- Faculty Friday:金曜日には教員がラーニング・コモンズに集まって授業改善の話
- 新しい教育手法の推奨
- アクティブ・ラーニングを重視する必要?
- 講義型ではないものがアクティブ・ラーニング?
- 主体的に動く部分の教育が必要
- その中でプロジェクト・ベースド・ラーニングの教育プログラムも増えている
- アクティブ・ラーニングは一人でやってはいけない?
- 視野が自分のものだけになってしまう、他者の目が必要・・・グループ学習
- 同志社大・・・プロジェクト・ベースド・ラーニングでずっとGPを取ってきている
- アクティブ・ラーニングを重視する必要?
学習支援とラーニング・コモンズ
- 必然性はここまでの話である程度、理解できるのでは?
- ラーニング・コモンズ:情報リテラシーと学習スキルを獲得できる、体験の場
- 事例から
- 海外
- 名古屋大学中央図書館の例・・・高等教育センターの教員と協働でやっている、ように見える
- 大阪大学の例・・・どういうTAがどの時間にいるか、等をwebで出している
- イギリス・ウォーリック大学のラーニング・グリッド・・・井上さんが実際に見に行った
- イギリス・レスター大学のDavid Wilson Library
- 「Learningを良くしようと思ったら図書館がkey」
- ガラス張りの学習室・・・他の利用者に学習の仕方が共有される/誘発の仕組み
- ライティングの支援・・・まずは「課題は何を聞いているのか」を分析しよう、というところから
- 名古屋大学高等教育センターのチラシ:「学生に的確なレポートを書かせる」を思い出す
- 「名大生がレポートを書けない理由」が最初に明示される。「出されたレポート課題と授業で習った内容との関係がよくわからない」など。レスター大の例と重なる
- 名古屋大学高等教育センターのチラシ:「学生に的確なレポートを書かせる」を思い出す
- 公立はこだて未来大学
- 高い吹き抜け・全面ガラス張り(研究室も)・思考のプロセスを共有するようになっている
- 創造の現場の実況中継が次の人を呼び込んでくる?
- アトリエ空間学習・認知的徒弟制・正統的周辺参加
- 見る、真似る、創造する
- ラーニング・コモンズの構成要素・・・色々ある
- 決まったモデルはない
- コラボレーションによって色々な支援を提供することがラーニング・コモンズの機能
- 学習空間のもつ特徴
- 柔軟性
- 快適性
- 感覚刺激性・・・いるだけで刺激される空間
- 技術支援
- 学習空間のカテゴリー分け(東大・山内先生):
- 能動的学習を支援する新しい教室形態・・・ラーニング・スタジオ
- 情報を活用した「学びの場」で、教室外学習の充実にポイント・・・ラーニング・コモンズ
- 全部一緒にあればいい?(井上さん)
- D. Beagleのコモンズの4段階分け
- 日本のラーニング・コモンズは、進んでいるところでも第3段階にさしかかっているところ
学習支援としての情報リテラシー教育
- これまでの学習支援、いろいろ
- 今までの情報リテラシー教育
- 結局、図書館の局地戦に過ぎない・・・授業と絡む奇特な教員はいるが、なかなか教員との協働は難しい
- なぜここまで上手くいかない?
- これまではツールの使い方を中心にした情報リテラシー教育が主流だったため
- 今は誰でもデータベースを引ける。ツールスキルから情報そのものを利用する、もっとメタなレベルのスキルを使うようになっているのに対応できていない
- 資料の可用性・批判的検討
- 野末先生の言説
- 図書館は情報探索・収集スキル中心
- 紹鴎を活用して問題を解決する総合的力が今、問題に
- アカデミックスキルと重なった形で展開する必要
- 同志社大学図書館での経緯
- 図書館ガイダンス・・・2000年前後。高いデータベースを契約したのに使ってもらえらないから、講習会みたいなものが始まった
- 何年か続けるうちに・・・学生からもっと総合的なものを、というアンケート
- 2006年・・・組み換え
- 情報を探しているときに、思考の道筋が見えるような講習会にする
- 内容を精査する・・・操作するときにどう考えてそうしているのか、どんな思考を起こさないといけないのか
- 「思考の道筋を重視したい」
- 焦点をどこに置くか?
- 情報源を知る
- 情報源の使い方を知る
- 総合化した情報利用←ここへ
- いくつか事例紹介
- ジグソーメソッド
- 各グループがそれぞれ別のことを調べる⇒互いに協力が必要⇒前向きな相互依存⇒教育効果が上がる
- 似たようなのは他にもある、PBL等・・・異なる専門性を持つ者同士の視点が合わさるので面白い
- 欧米と日本の学習支援スタッフの違い
- 支援者・・・インストラクショナル・デザインや学習環境理論を知っている
- 教員の教授法・教育手法や学習理論について勉強している。それをもとに企画・運営をしている
- 発想の転換が必要?
- 学習(学ぶ)とは何か
休憩タイム
パネルディスカッション:「図書館が行う学習支援」(コーディネーター:逸村裕先生、筑波大学大学院図書館情報メディア研究科教授)
パネリスト
- 逸村先生:最初に三津石くんから、春日ラーニング・コモンズの今年の活動について、リーダーの立場から10分ほど語ってもらう。
- この春日ラーニング・コモンズは図書館とは無関係に、2008年に始まった。2007年から筑波大学の組織替えにより、図書館情報専門学群⇒知識情報・図書館学類へ。その初代の学年主任が自分。2年目の2008年に空き教室を使っていいと言われたので、教員間で議論し、学生をきちんと教育する上で教員とTAだけでは不足である、との話になった。当時ラーニング・コモンズは既に知っていたし、学生が一番学ぶのは自分が教えるときという話もあったので、学生をピア・チューターとしてラーニング・コモンズをやらせてみた。
- この4月に図書館の協力と若干の予算を得て、7台端末のある図書館のスペースを使ったラーニング・コモンズを発足。10人強の学生で自主運営。ピア・チューターとしての活動以外にも様々な活動をしている。
筑波大学ラーニングコモンズのこれまで/これから(三津石智巳さん)
- 今日伝えたいたったひとつのこと
- 2020年、ラーニングコモンズにはコミュニティが必要
- 自己紹介
- 筑波大学知識情報・図書館学類(学部)4年
- グミが好き
- 2つの立場:学生(学習者)/ラーニングコモンズ運営者
- 学習者と図書館の中間あたり?
- 筑波大学春日ラーニングコモンズのこれまで
- 2008〜2010年と3年間続いている
- 自分が関わり出したのは2010年から
- 特徴・・・
- 図書館情報学の実践
- 学生の主体的な運営
- チューター/イベント開催/他大学との関わり
- 2008〜2010年と3年間続いている
-
- 2008-2009はただの教室、2010年に晴れて図書館へ
- 空間的にはごく標準?(min2-flyコメント:そうか? 小さくないか?)
- チューターは15:00-19:00の固定シフト制
- 2008-2009はただの教室、2010年に晴れて図書館へ
- 春日ラーニングコモンズの3つの活動
- チューター:学生が学生に対して行う、活動の中心
- 授業科目、特に学部1〜2年生の質問を受ける
- 実習・演習系が多い/履修相談、機器操作の質問も多い
- 学生によるパスファインダーの作成
- 答えを教えるのではなく道しるべを与える/学生目線のサポート
- 詳しくはブログへ:ラーニングコモンジャーのブログ*3
- チューター:学生が学生に対して行う、活動の中心
-
- PR
- イベント開催
- やりたい人がやりたいイベントを好き勝手に開催?
- 卒研着手発表の練習会/主専攻実習発表演習会/技術系勉強会/OB談話会/研究室決め
- イベント開催
- PR
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- 運営
- 春日ラーニングコモンズのこれから
- お二方の話を聞いて頭がハイになっている・・・最初、大学図書館の未来は暗いようにも思っていたのだが明るそうな展望もある、でもやっぱり暗い話をする
- ラーニングコモンズにはコミュニティが要る。なぜそう思うのか?
- 2010年になって図書館に移る・・・学生にとってのラーニングコモンズと図書館にとってのラーニングコモンズが相当違うことが浮き彫りに
- 学生がやっているので学生のニーズには合致しているが、図書館のニーズは考えられていない
- ある学生にとってのラーニングコモンズも、別の学生にとってのラーニングコモンズとは違う
- 全部違う。教員にとっても図書館にとってもFDにとっても学生にとっても職員にとっても、全部違う
- そもそも、大学と言うコミュニティの構成員が図書館を語るための共通言語がないのではないか
- 例えば・・・
- 今日の講演会の話を明日、現場に生かそうと思って、学生・教員・図書館員が同じテーブルに座って、何か話せるか? たぶん話せない、よくわからない空中戦になる
- 共通のコミュニケーションが取れない、ということを強く感じている
- 2010年になって図書館に移る・・・学生にとってのラーニングコモンズと図書館にとってのラーニングコモンズが相当違うことが浮き彫りに
-
- 「大学」というコミュニティの中でお互いにコミュニケーションする言語がない。どうしようもない。困った
- 以上をふまえて、やったこととこれからやること
- 図書館員と相談しながらクリスマスの飾り付けをしてみた
- 2011.3.5にラーニングコモンズを考えるWSを開催する
ディスカッション
- 逸村先生:質問票をベースに話を進める。トップバッターに竹内先生。
- 竹内先生:これはありえる、と思ったのだが、図書館員が学習に直接かかわることに教員・教務からの抵抗はないのか、との質問。あるに決まっている。やってないことをやるのだから。ただ、抵抗に負けたら道は開けない。千葉大では、筑波の事例を知ってゴリ押ししたのだが、図書館の方に教育の非常勤発令をしている。これは教員教育センター長の方からやって欲しい、と言われたので、事務には抵抗されたが、人事課に行ったらすんなり通った。「抵抗はないか」と委縮すると必ず抵抗される。委縮せずに「これが必要なんだ」という自信と戦略を持って進むことが重要。
- 逸村先生:筑波大学も総合科目で、非常勤講師発令して図書館員がやっている。提案にあたって抵抗されるだろうと思って、考え抜いてやってみたが、1度突破すればあとはなんでもなく、通る。授業評価等でも結果はいい。今年は特に、受講理由に「先輩に勧められた」という答えも来ていた。
- 井上さん:同志社大でも教育は学部・研究科、というのが強いが、プロジェクト・ベースド・ラーニングの科目は全て、担当の先生が地域・企業の方を非常勤講師に指定してやっている。そのときも大激論があったが、全部学部付けではなく、全学教養教育センターに科目を設置してかわした。そういう点も重要。
- 熊渕さん:筑波大学の事例は紹介されてしまったが、TA云々の話も出たので少し話すと。図書館にラーニングコモンズを設置する(補足:これは中央図書館)となって、TAを置くことを検討しているのだが、筑波大の規則ではTAを図書館におけない、研究科のみとなっている。担当と話をしてみると、筑波でそれをひっくり返すのはすぐには無理、と言われる。難しそうなことに時間をかけるより現実的に、と考えると、TAという形でなくても図書館内に人を置いて、ということをやるといいのか、と考えている。図書館で教育をするところまで制度的に持っていくのはまだ先の話。図書館で何かやろうとすると制度自体を見直して色んな委員会が、という話は必ず出てくる。形だけ整えるのもなんなので、そうではないところからなんとなくの実績を作っていく、というのでもいいかもしれない。
- 逸村先生:春日ラーニングコモンズのチューターはアルバイトなわけだが、そこは研究科長や学類長と相談して、自分の研究費にお金を振り替えて雇っている。大学は教員が強いので、教員を仲間に組み込むとたいてい通るし、3年続くと誰も何も言わなくなる。
- 井上さん:私への質問から。学生が中学・高校時代に受けた学びを知ることでよりよい学習支援が可能になるのでは、との質問を受けた。実際、入ってきた学生さんは学内の中・高から来た人は学校図書館が優れているので情報関係はハイレベルだが、学外はばらばら。その分析までは行けていないが、同志社大では入学前教育も始まっている。12月1日に推薦は決まるし、一般入試も2月に決まる。入学前にレポートを書く等の指導がある。出てきたレポートはとある予備校が添削して返してくれる。そうやって事前にならす学部も出ている。それができていない学部は、その分初年次教育の段階でどこまで矯正、追いつけるか、ということで図書館も各コマにお手伝いにいって対応している。具体的な能力の分析まではできていないが、大学で勉強する上での差を調整するようなものとしては各学部、色々と工夫している。中にはe-learning使って事前教育を強制しているところもある、私立大学はそういうところを熱心にしているので、1年生の秋くらいまでにはならせているのではないか。
- 井上さん:もういくつか。ラーニング・コモンズは図書館内にあるべきか、外にあっていいのか、という質問。数年前までこの辺はよくわからなくて、先ほど紹介した階段状のプレゼンテーションルームなどはラーニング・コモンズと意識していなかったが、ラーニング・コモンズはそこで提供されている学習支援の機能がどれだけ揃っているかで考えるべき。米澤誠さんがおっしゃっていたことだが、今後電子資料が勉強の中心となるのなら、図書館の中になくてもラーニング・コモンズとして成り立つと思う。外のコモンズに図書館の方がどういう風に支援のコンセプトを作って出ていくか。そこを議論する必要がある。あわせて、ウォーリック大学のラーニング・グリッドが図書館の外にあり、ティーチング・グリッドが中にある理由だが、学生が集まるところは大きく、教員が集まるところは学生向けほどのフロアの大きさがいらない。学生は離れたところに大きなものを作ったが、先生向けは中に作れた、ということなのだろう。同志社大学でも市内に新しいラーニング・コモンズを作ろうとしているが、それは図書館から離れたところに作る。そこに図書館や教育開発センター系がどうコラボするかが議論になっている。
- 逸村先生:春日ラーニング・コモンズでもどこに置くかは議論がある。教員組織がバックアップしているということで、私と池内淳准教授がサポートしているが、池内先生は図書館にない方がいいのでは、という。図書館にあると静寂さがどうしても問題になる。どちらも遠慮せざるを得ない。このところ私どもの研究チームもアメリカやイギリス、シンガポールに見学に行っているが、サイレントをどうするかは大きな問題。シェフィールド大学のインフォメーション・コモンズではある階以上は全くのサイレントエリア、他は完全にフリー、としている。フリースペースもあれば個別の部屋もある。個別の部屋だけは寄付を募っていい家具を置いてあったり。学生がどう居心地よくラーニングするか気を使っているようではあった。
- 竹内先生:若干、補足。千葉大学ではアカデミック・リンクという名称の広い意味でのラーニング・コモンズを作っているが、そのうち学生が自由に使えるスペースは約半分。そこは学生がしゃべる場所、静かにしろとは絶対に言わない。古い図書館のスペースは静寂を保つ。建物のコンセプトやセッティング、見える化というのもその方向で全面的に行く。来年からそういうセンターが動き始めて建物は秋に出来る。
- 逸村先生:飲食は?
- 竹内先生:キャップつきのペットボトルは持ち込み自由、になると思う。言っちゃいけない話かも知れないが・・・(言ってはいけない話かもしれないそうなので、メモせず)
- 井上さん:もう1つ質問。リテラシー教育としてアクティブ・ラーニングを取り入れるような研修をどういう風にやったらいいか、という質問を受けた。難しい質問。私自身がアクティブ・ラーニングを意識したのはPBLの成果が毎年、GPで出てきたことと、ALAのwebページで、2000年前半の情報リテラシー教育で盛り上がっているポイントがアクティブ・ラーニングをどう取り入れるかだった。しかし具体的に学べる機会は少ない。私はラッキーで、出向先でやっていた内容そのものがアクティブ・ラーニングのお世話だったので色々なことがわかった。そういうことを普通の図書館の方もできるようになるにはどうすればいいか、と考えていたところでNIIの米澤誠さんも同じようなことを考えていたとのこと。そこで、NIIの学術情報リテラシー担当者研修会のメニューがかなり変わっている。FD関係の先生が4人くらい入ってきていたり。ようやくそういう研修会も出てきた。そういうところに参加いただくのと、FD関係の催しで自分でも入れる、と思ったものに参加されると効果があると思う。
- 逸村先生:米澤さんはこのシンポジウムに来たいけど概算要求が・・・とのことだった。では、他の質問へ。
- 竹内先生:井上さんのお話しに出てきたことと関わりがある質問だが、図書館は大学の中で内向きで自己完結型、それをどう脱却するか。それってかなり長期的な戦略の下でやる必要がある。千葉大の場合はリエゾン・ライブラリアンプロジェクトがあるが、これを始めたのは2005〜2006年。土屋先生が館長だったとき。土屋先生はかなり戦略的に動かれていた。教員と図書館員の連携を強めなければ図書館の生きる道はない、と思われたのだろう。それで色々なことをはじめて、例えば今日ではパスファインダー担当の教員から先生に情報を流す、というような流れを作ることでつながりが強くなっている。教員から見れば図書館員が匿名ではなくなった、ということ。そうなって初めて、図書館が色んなことをやることに対して抵抗感がなくなるのだと思う。学習に関わることについての質問に絡めれば、教員から図書館員が学習に関わることへの抵抗はほとんどない。画期的で素晴らしい、との評価を得たことも。それはパスファインダー作り等で図書館が教育に関わる、ということを少しずつ積み上げてきた成果。トップマネジメントの戦略性とも言えるが、それを結び付けたのは現場の日々の努力。
- 熊渕さん:現場の課長として感じることは、私もそんなに気が長い方ではないのですぐに結果が欲しくなるが、何かをやってすぐに図書館に成果が出る、というのは期待しない方がいい。最初は何かやってみて、ということを積み重ねていって、図書館は何かができるんだね、と認められるんだろう、と。筑波に限らず、図書館が学習支援等をやっていきたいという話をすると、教員は「ま、いいよね」と言うが、図書館に何ができるかのイメージはない。そこによりどころを求めても具体例は出てこない。そこで先生たちに図書館ができることを見せていけば、最初は細いものが確かなものへとなっていく。筑波大学はこれから始める状況。検討WGの方も何人かいるが、少し気長な話になっていくだろう。
- 逸村先生:ではそろそろフロアの声を。なにかご質問・コメント等あれば。長澤先生、何かあればコメントを頂戴したいのですが。
- 三重大・長澤先生:伺いながら「あれは〜」「これは〜」と考えていたのでずいぶん抜け落ちたが、1つはラーニング・コモンズと、もう1つは大学の中でどう学習に関わるか。
- ラーニング・コモンズについては、永田治樹先生の委託事業報告の中で、私もジョージア大学の調査をした。どこに作るかの答えだが、どこでも、ということではないか。機会があればそこで作る。そういう話が学部にあれば、「こういうこともできますが一緒にお手伝いしませんか」というのでいい。図書館の中でも外でもどこでもいい。ジョージア大学はまったく単独で大きなビルをラーニング・コモンズとして作った。そこに全てのラーニング・センターの支部、FDセンターの支部、メディアセンターの支部のカウンターがある。そこでサポートできるところはそこでサポートし、さらにメインのサービスにつなぐ役。つなぎの場、そして職員たちがそこに集うので、組織間の交流を、1〜2人ずつ出向しているだけだが、そこで得た総合的な知識を組織に返す。パスを作るきっかけの場。
- 学生たちはラーニング・コモンズと図書館を使い分けている。静かにしたいときは図書館。機能を使い分けている。総合的に交わる場としてラーニング・コモンズを捉えているのがジョージア大学の例。千葉大にもそういうものができるのかな、と思って聞いていた。
- もう1つは、やはり「共通言語」と話しにあったが、学習支援をするときには共通言語を意識するのが大事。中央教育審議会の答申は大学の管理者や多くの先生が関心があるし、単位の実質化等の外の文脈をしっかり把握して、どのあたりが自分たちができるポイントかを検討するためにそういうものを読んでおくことが大事。そうすると接点が見えやすくなる。
- それからアクティブ・ラーニングの研修だが、全国あちこちにFD関係の研修はあるし、メーリングリストに登録すれば毎週たくさんの情報が得られる。それに参加するのが1つ。もう1つは、2008年からFDは義務化されているので、学内でもなんらかの研修があるはず。そこに出席するのがいい。カナダのウェスタンオンタリオ大学ではFDセンターに図書館員が入っていて企画に関わっているが、その際に図書館員と教員の接点をどう多くもたせるかを一番考える、という。新任教員のFDにも毎回2人、図書館員が参加する。図書館員には情報リテラシーの研修と、先生とのつながりから学科関連教育につながる手掛かりにもなる。
- 逸村先生:井上さん、FDと図書館員の話は今もありましたが、SDとはありますか?
- 井上さん:職員でも教学がわかるスタッフを育てて欲しい、との意見が教員から出ている。PBLでも職員に手伝ってほしい、そのとき教育がわかっている人がいい、とか。あとはキャリア教育で、助けとなる、支援のできる職員をどう作るのか。それから図書館系。そういうところに焦点が移っている。その辺の人ががんばって、教員と協働できる事例を作って欲しいと思って、「これは」という人に参加して貰っているところ。SDのプログラムを組む時は教職共同でできるものにするようにしている。なぜ職員がそういうことを、というところから始めて、と言うのを先の熊本大学のインストラクショナル・デザインの先生にしてもらった。図書館員も京都大学や立命館大学の図書館から来ていた。そこでは教員の思うラーニング・コモンズの話が出ていて、図書館員と意見交換もできた。大学にいる以上は、大学の教育の質の向上に自分がどうかかわるのか、ということをキャリアの中で意識して欲しい。「私は施設だから」とかではなく。図書館に限らず、いろんな方に研修会に入って欲しい。教職共同のプログラム、研修は以前に比べ増えてきている。
- 逸村先生:今の話を受けて何か補足はある? 三津石くんは?
- 三津石さん:学生チューター、という意味でのスタッフの教育とか質の向上は悩んでいる。海外ではラーニング・コモンズのチューターを育てるためだけの図書館スタッフがいると聞くが、日本でそこまでのコストをかけることはできないだろう。ある程度は自習に任せつつどこかでサポートを、となるのだろうがその体制が上手く作れない。
- 熊渕さん:正直、私もそんなに関わっていないな、と思ってこの前、三津石さんとお話したのだが。図書館の色んな事情と学生の思いが、学生さん主体だし、ということもあって図書館職員が遠慮して、少しひいて様子を見ている。学生はそこに図書館が関わらないのか、という意識もあったのか、図書館の中にあるのにうまく生かせていなかった。ついでに先ほどのプレゼンのような形で今後についての話を聞いた。先ほどの井上さんのお話にもあったが、図書館員が大学のことを知らない、というのは色んな大学の職員や先生と話していて言われる。それは確かにある。逆に図書館員がよく言うのは「図書館のことを全然知らない」というのがあるが、それを言ってしまったら終わり。色んなコミュニティ全部と関わるところなのだから、図書館職員は色んなことを知っている必要がある。そういうところは少し意識をする必要があるのだろう。
事例も豊富で内容も濃く、結果としてブログ記事も大変長くなってしまいましたが・・・(苦笑)
自分でも読みなおしたり、紹介されている学習理論や事例等を調べてみたりしながら、噛み砕いていきたいと思います(将来的には大学教員を目指しているわけですし、短期的にも非常勤講師の口等は探しているところなので、学習理論・FDがらみの話はそっちの面でも非常に興味があるのです)。
千葉、同志社、筑波の今後の取組みについてもそれぞれ注目ですね!
*1:http://www.ithaka.org/ithaka-s-r/research/faculty-surveys-2000-2009/faculty-survey-2009
*2:
*3:今日、やっていることがすぐわかるのは特徴?