かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「機関リポジトリの新たなステージに向けて」その2「多様化するコンテンツ」「進化するシステム/データ連携」「成長するコミュニティ」(平成23年度CSI委託事業報告交流会(コンテンツ系)参加記録・1日目午後)

午前中に引き続き、CSI委託事業報告交流会の記録、午後分ですよ!


午後は領域1・2・3、それぞれの受託機関の方からの成果報告/発表です。
それぞれに個性的な内容が盛りだくさん!


以下、当日の記録(1日目・午後の分)です。
例によってmin2-flyの聞き取れた/理解できた/書取れた範囲のものであり、ご利用の際にはその点ご留意いただくようお願いします。
誤字脱字・事実誤認等、お気づきの点があればコメント欄等でご指摘いただければ幸いですm(_ _)m



Session.2 多様化するコンテンツ

コーディネータ:入江伸さん (慶應義塾大学メディアセンター)
  • 午前中にあったとおり、機関リポジトリが広がって多様化した
    • 多様化して広がった?/広がって多様化した?
    • 4人の方から発表いただく

 

2-1. 札幌医科大学 附属総合情報センター 池粼康さん:「北海道地域医療リポジトリについて〜札幌医科大学機関リポジトリ ikor のあゆみ〜」

  • リポジトリの目的
    • リポジトリの愛称:ikor・・・アイヌ語で「宝物」
    • 北海道地域に埋もれている灰色文献医療機関発行誌)、宝物の情報を掘り起こす必要がある、というのが平成12年に始まった電子化事業の発端
    • 学術文献情報の電子化/インターネット配信によって地域の研究者、医療現場従事者、看護士・薬剤師・医学療法士が接することができるようにする
      • 地域医療に役立てれば
  •  電子化事業の成果:
    • 機関リポジトリに移行してからの2年間は規模を拡大⇒その後、縮小傾向
      • 参加機関に毎年のコンテンツ提供の呼びかけ/新規参加館開拓の必要性
    • 医療機関発行アイテムの合計は3,301件。札幌市内だけで1,804件
      • 参加機関の地域格差が数字に出ている?(人口規模の偏りと同程度?)
  • これまでの活動:
    • 北海道の医療機関に参加を呼びかける
    • ダイレクトーメルによる募集案
      • 約240の医療機関の病院長・事務局トップに毎年郵送
    • テレビ会議システムを利用した募集案内
      • 同システムを使った研究会・・・毎週1〜2回開かれている/その場での参加募集のお願いを実施
      • 過去には図書館のPR時間を設けたことも/そこでもリポジトリの宣伝実施
  • 今後の課題と展望
    • 参加機関の地域別格差の是正
      • 参加機関の所在地の偏り・・・未開拓地域が残っている
    • 参加自粛の原因?
      • 多くの機関では著作権の観点から、「もう少し院内で議論したい」というのが多い様子
    • 予算と人員確保
      • 地域医療従事者への貢献を旗印にするにはこれが重要
      • 現在、退職者分を徐々に外部委託化されているところ。リポジトリ事業をルーチンとして組み込む必要
      • サーバ代金等・・・別途要求は困難/図書館システムのほうに組み込んでいく?


 

2-2. 東京家政大学図書館 鈴木恵津子さん:「東京家政大学機関リポジトリ - 大学の歴史的資料と学内連携-」

  • 本日はコンテンツの特徴と、それを集める学内連携について事例報告したい
  • 東京家政大学機関リポジトリのこれまで:
    • Kasei Repository
    • 「建学の精神・理念及び生活信条に関する検討委員会」の中で、機関リポジトリによる情報発信を図書館から提案
      • 中小規模大学では情報発信できる部署は限られている。歴史的資料を図書館から情報発信する提案
    • H.21にリポジトリ承認・・・H.22の図書館システム入れ替え時のオプションとして、という要因も
    • H.22 6月に運用指針等が承認される/業務開始
    • H.22 11月、約200件のコンテンツから公開開始
    • H.23 JAIRO連携開始/CSI委託事業に
  • コンテンツ・・・2,000件超
    • 84%は紀要論文、CSI事業により電子化した過去分
    • コンテンツの特徴・・・学内研究者の成果と歴史的資料
    • 学内研究者の研究成果:
      • 個別登録申請の受付
      • 学内刊行物発行担当部署との学内連携・・・過去分の許諾/カレント分の同時許諾
    • 大学の歴史的資料:建学の精神、理念、生活信条に関する検討委員会の流れを受けて・・・
      • 本学博物館との連携・・・デジタル化資料にH.21年度から取り組む
  • 学内連携体制
    • 博物館・・・歴史資料のデジタル化+紀要登録
    • 他にも連携多数・・・中小規模故に横のつながりで連携とりやすい?
  • 今後の計画
    • 学内連携をさらに強めてコンテンツを拡大することの承認を得ている
      • 未登録の学内刊行物(あと2誌)について発行部署と相談(1誌はすでに内諾)
      • 事務室との連携による学位論文登録体制づくり
      • 学内研究者からの登録申請・・・学内での一元化
      • 歴史的コレクションの拡大

 
 

2-3. 大阪女学院大学図書館 森上豊子さん:「特色あるコンテンツで新たな連携を 〜大阪女学院学術機関リポジトリ〜」

  • 大阪女学院とは:
    • 1884年創立
    • 大学は2004年開学/学生数は短大とあわせて800名弱+その倍程度の中高生、キャンパスはすべて同じで図書館は一緒
    • 職員7名、うち専任は3名
    • 大阪城近くの玉造に所在
    • このような小規模な学校についての紹介
  • 2011年度の取り組み:
    • コンテンツ収集・登録・公開
    • タブレット端末の運用準備
  • コンテンツ
    • 1,144件のメタデータを新規取得/本文公開は307件
    • アクセス/ダウンロードは伸びている。励みに
  • 教育環境と学習スタイルの変化
    • 2004年にeラーニング化開始
    • 2011年に図書館を含め無線LAN整備
    • 2012.4から新入生全員にiPad配布・・・電子教材を使う授業も
    • ここから教材の電子化の必要性・・・アーカイブ/保存にとどまらないリポジトリの積極的活用と結びつく
    • タブレット端末での運用に向けた」教材の電子化
      • 特に本学オリジナル教材の電子化を試みた
      • ePub形式への変換・・・しかし現在、難航中(スキルが必要なこと等による)
  • 今後、目指す所・・・リポジトリと学内外/Cloudとの連携
  • 今後の課題:
    • シームレスな連携
    • 埋もれているコンテンツの発掘
    • 著作権処理による公開率アップ
    • 持続可能な人員、予算、時間の確保
    • デジタルリテラシースキルアップ
    • 学認への参加


 

2-4. 別府大学附属図書館 萩尾美香さん:「別府大学における動画公開と今後の展開」

  • はじめに:そもそもなぜ動画?
    • 別府大学では独立行政法人教員研修センター委嘱事業を受けていたことがある
      • 成果報告として県内の小中高校にDVDとテキスト配布
      • 配布しても開いてもらえないだろうし、インターネットで公開したい、という要望
  •  ネット公開にあたり・・・効果的な公開方法を考える必要
    • 別府大では地域連携サーバBUNGOと大学サーバBUILDからできている
    • あわせて70万ダウンロード/100万アクセス
    • リポジトリは公開に最適?
    • 印刷メディアに限るのは勿体無い
  • ファイル形式:
    • 要件
      • 形式はさまざまある・・・デファクトスタンダードは?
      • コーディックの知名度と普及度
      • 表示形式は?・・・文字や図表を確認できる程度の精度は持ちたい
      • HD対応
      • ビデオカメラ撮影映像対応
      • iPod対応
      • トラフィック/ダウンサイジングにも配慮
    • 以上を踏まえ・・・MPEG4に決定、試行錯誤しつつ登録
      • 会場から「こっちの形式がいいのでは?」などご教授あれば再検討したい
  • 印刷メディアとの作業比較
    • メタデータは動画も通常コンテンツも同様
      • バッチ入力ソフトによって短時間で入力可能
    • コンテンツの中身
      • 印刷メディアはオートシードフィーダスキャナで読んでいる
      • 動画はチャプタごとのリッピングエンコードに時間がかかる+ダウンロードにもやや時間がかかる
        • ILLにかかる時間を考えればそれほどでもない?
  • 今後の展開
    • コンテンツはまだ60程度
    • 公開講座、司書講習での特別講演(今年は那須正幹さん!)、海外との遠隔事業(特に韓国とのものが人気)など、権利処理はいるが未公開コンテンツは多い
      • それらが陽の目をみるように努力していきたい

質疑応答

  • Q. 私どもの大学でも昨年秋から試験公開中で、直面している課題があるのでお聞きしたい。1つは、紀要の過去分について。過去の著者の連絡先がわからないことが多いのだが、皆さんはどうされているか教えていただきたい。もう1点は、学生が紀要に寄稿している場合、エッセイ的なものを書いている場合もリポジトリに載せるべきか。学内で議論中なのだが、事例があればお聞きしたい。
    • A(フロアから). 私のところでも紀要の遡及で苦労したのは退職者の権利処理。DRFのMLで聞いたが、オプトアウト式、公開してクレームがあったら取り下げる形で現在は進めている。一つの事例。
    • A(入江さんから). 慶應の例だが、図書館は学会と契約しているので、学会がOKすればOK。図書館はタッチしていない。学会側が責任を持つ。
  • 入江さん:2点目、学生の方については・・・慶應では、僕らのリポジトリに載せるのは学内出版物としている。大学院生の優秀論文集は載せている。それは論文を書く人にとっても先輩のものなので良く見られている。学生のものでも出版物として出ていれば全て載せる。大学院生は載せるとCiNiiにもいくので喜ぶ。CiNiiに載せてくれ、と。就職のためにはCiNiiに載せることに価値があるんだ、と。
    • フロア:大学院生の自治会が発行している紀要も載せている。他に大学院生の書いた論文と教員のものが混じっているものも。学部学生の論文の事例は思いつかないが、紀要といっても公開された文献なら、中身は精査せずに同列として扱っている。
  • 入江さん:慶應も公表されたものは全て載せる。特に文系の大学院生には発表の場がないので、CiNiiにデータが行く場は重要。
  • Q. 札幌医大に。大学の研究者を中心としたリポジトリはやっていない?
    • A. 池粼さん:うちの場合、基本的には、地域医療への貢献を名目にして電子化を始めている。平成12年から。これをまず大きな柱として進めている。ただし、出発した時点でも、うちの大学に『札幌医学雑誌』という紀要があったので、そちらも一緒に載せている。発行時に許諾を得て載せていく。過去10年分は当初から載せたので、1990年以降分は許諾の上、載せている。せっかくそういうものがあるので、継続してやっている。平成20年度からCSI事業に参加して、それを契機に学内の色々な部署の紀要類・報告書類もあわせて編集委員にお願いして継続して今でも載せている、という状況。
  • Q. 続けて札幌医大に。学位論文はどうなっているか? また、英語の論文を載せることをサボっているというようなこともあるかと思うが、研究者がリポジトリにフレンドリーで、どんどんコンテンツをあげていただけるといいと期待しているのだが、どうか?
    • A. 池粼さん:リポジトリ立ち上げ段階で先生方が学術雑誌に投稿されたものを、国内分でも外国分でも載せたい、という希望はあって、聞いて回ったのだが。理由ははっきり教えていただけないのだが、個人の投稿論文は載せる意味が無い、ということだった。ストレートな言い方だが、リポジトリに載せなくても学術文献データベースに載っているじゃないか、と。二重に見られる必要はないのでは、と言われ、あまり無理強いはできず・・・「引き下がってくれ」と言われた。
  • Q. 著者原稿ということで、他で公開されたものを大学としても載せる、というのは、商業誌の価格高騰への抵抗あるいは意思表示として重要と思うので、もう一度がんばって欲しい。それから日本国内のPDF化したファイルも出版社さえOKすれば載せられる。見栄えがするのでアクセスあるいはダウンロードされる。出版社に遠慮せず機関リポジトリに載せたい、と声さえあげればOKしてくれる出版社もある。せっかくお宝あると思うので、足腰を鍛えて、お願いしたい。
    • A. 池粼さん:がんばりたい。
  • 入江さん:池粼さんの話はわかる、医学部に行くと・・・。一方で池粼さんに聞きたいのは、患者へのサービスは考えない?
    • A. 池粼さん:今お聞きしてはっと、そういうこともあるな、と感じた。確かに病院にも患者専用の図書館・室はある。医療従事者じゃなくて、一般の方向けの簡単に書かれたpaperというか、そういうのもあると思う。今、うちのリポジトリには函館の病院から広報紙をいただいている。患者さん向けの簡単な病気の仕組みや予防に関する小冊子が出ている。そういうものも搭載している。今おっしゃったように、一般向けみたいな入口を作って提供するのも手かな、と思う。
  • Q. 大阪女学院さんに。教材の電子化とリポジトリについて。直接のきっかけは新入生へのiPad配布と受け止めている。教材を作るのは教員なわけだが、それをどういったプロセスでリポジトリに上げている? また、このようにリポジトリで公開する、となったときの教員の反応は?
    • A. 森上さん:セルフアーカイブにはなっていない。教材公開についてはかなり難しい点もあり、本当に一部しかまだ公開できていない。公開そのものも今後の方針としては、最新版は公開せず、学内のみと考えている。次の版が出たときに前の版を公開する。ただ、メタデータは作るので、外から探してなんらかの方法で必要に応じ見ていただく形になると思う。
  • Q. 実際に使っているものは学内限定、旧版のみ外部公開?
    • A. 森上さん:基本はそう。一部、現用のものでも外部公開しているものもある。
  • Q. 東京家政大の方に。このような格好で構築を進めて、学内の反応は? 教員および学生
    • A. 鈴木さん:学内の、先生方は、雲をつかむような感じ。初期のリポジトリをしますよ、と広報したとき、最初にコンテンツを持ってきて下さった先生は継続的に持ってきて下さっている。登録当初は1%の先生方がコンテンツをお持ちいただいただけだったが、去年のCSIによって84%の先生方のコンテンツが公開できた。そのダウンロード統計等をお返しすることで反応があるのでは、と思う。
      • フロア:必ず反応があると思う!
    • A. 鈴木さん:学生さんについては、歴史的資料については平成24年度から共通教育科目の中に入ってきていて、オムニバス教育をしている。図書館長が機関リポジトリで歴史資料を公開している、という話をしていて、自校教育の中で見ていただいているかと思う。
  • 入江さん:最後に感想を。4大学のお話を聞くと、実は大学図書館の仕事の範囲、仕事の再構成を進められているように思うし、現場の考え方を変えようと動かれているのだと思う。個人的な意見としてだが、図書館からすれば機関リポジトリに見えるものが他の人には別のものに見える。機関リポジトリという枠組みではない方がもっと動けるのかもしれない。大学図書館の扱うものが広がる中で、全体の中での機関リポジトリの整理が必要なのではないかと思う。



休憩タイム


Session.3 進展するシステム/データ連携

 コーディネータ:山地一禎先生 (国立情報学研究所准教授)

 

3-1. 金沢大学附属図書館 守本 瞬さん:「著者の識別に向けて オープンアクセス環境下における同定機能導入のための恒久識別子実証実験」

  • 東京は暑いと思ってクールビズで来たら寒かった・・・
  • 金沢大学はいつも著者識別についての実験の話をしている。一言で言えば「名寄せ」をしている
  • 識別子プロジェクトの目的:
    • インターネット上に散らばる同一研究者の研究成果を一覧できるようにすること・・・そのためにどうするか?
    • 表示名を自動的に一つにするのは困難/同一研究者を識別できる仕組みを作ろう!
    • 仕組みは平成22年度まででだいたいできた/平成23年度はそれを普及して色んな大学でやってもらうことが目的
  • 研究者同定のためのシステム間連携"構想図"
    • 各大学で機関リポジトリに著者識別子を入れる
    • JAIROは各大学の著者識別子データから、同じ識別子の著者を一覧できるようにする
    • 業績DBに入っている研究者情報も著者識別子で同定して、研究者リゾルバにハーベスト・・・研究者情報と書誌情報の連携
      • 「この論文の著者は過去どこにいた」までわかるようにするのが近い将来の目標
  • 平成22年度までにやったこと
    • 科研費番号を識別子に
    • リポジトリに入れる⇒JAIROにハーベスト
    • リポジトリと業績DB間のリンク
    • 業績D Bからプッシュして研究者リゾルバにデータを渡す実験
      • しかし現在、金沢大の業績DB作り直し中
      • 大学によって業績DBの作りが違いすぎて、ここの部分の連携は年度内の普及は諦めた
  • 平成23年度実証実験でやってもらったこと:
    • Dspace 1.7へのアップデート
      • 著者番号の典拠機能を標準装備
      • 識別子の入力が非常に簡単に
    • 識別子の遡及
      • 動いている機関リポジトリに作業を行う・・・登録済みの著者に一括付与
      • 現在わかる範囲でデータをリッチにすべく遡及を
    • cross walkの改修
  • 実験概要:
    • 実験参加:5大学(大阪市立大はDSpaceではないが自力構築)
    • 識別子の検討:金沢大は科研費の番号だが実験参加大は研究者リゾルバID採用が多い
    • (聞き逃し)
  • 今後の方針
    • 各機関での著者識別子入力の課題
      • 手順書の公開
      • 研究者リゾルバを典拠DBとして利用できるもに
      • 研究者リゾルバに必要に応じ新規著者を登録できれば

 
 

3-2. 名古屋大学 情報連携統括本部 山本哲也さん:「クラウド環境における電子出版・リポジトリ連携実証実験」

  • 昨年、一昨年の2年プロジェクトで、一橋大学とも連携
  • やったこと:
    • 電子出版についての勉強・研究
    • それとリポジトリ連携をうまくつなげないか
    • スターターキットとして再利用できるように
  • 電子出版・・・『大学図書館研究』をOJS(オープンソースシステム)に載せる
    • http://www.jcul.jp/ojs/index.php/daitoken/
    • 公開はclosed. 目次までは見られる
    • 十数人の編集委員が投稿⇒査読⇒編集⇒レイアウト⇒公開までやってくれた
    • OJSはこれら全部をやってしまうOSS
      • 紙だけでやっていたようなところでもお手軽に電子出版を実現できる
      • 欧米圏開発なのでクセもある/日本語向けにカスタマイズ
      • 使っているうちにわかった情報を全てドキュメント/パッチとして作成
  • OSSを使った電子ジャーナル運用は現実的に可能!
    • カスタマイズ部分は素人ががんばってなんとかなった。PHP読むくらいはがんばれば。お金使っていない
    • 編集・査読等のフローは使わなければ使わない子こともできる/査読プロセスが特殊だったりしても公開の場には使える
  • リポジトリ連携
    • これができると、電子ジャーナルが増えるほど機関リポジトリコンテンツも増える
    • OJS向けのプラグイン作成。Web APIとして実装
    • コンテンツをどかどか配信できる。それを中韓形式をいったんはさみ、汎用SWORD投稿システムに
    • OJSからリポジトリまでの千はつながった
    • 何が起こるかはこれで考えられる
  • 発表まとめ
    • 学術情報流通の電子化を促し、その結果としてコンテンツが拡充していく

 
 

3-3. 島根大学 学術国際部図書情報課 福山栄作さん:「文化遺産の記録をすべての人々へ!」

  • ここに立つのは久しぶり! 前回は4年前?
    • そのときおまけで話した遺跡のことを4年間やることに
  • 電子化の仕様
    • PDF、300dpi公開版 + 600dpiの2値データ
  • 自治体アンケートの結果
    • 回答数400件(分母は1,800)、年間1冊以上発行が大半、電子版の報告書作成はけっこうある
    • 奈良文化財研究所への抄録提供は半数以下
    • 登録希望はけっこうある
  • 利用
    • 増えてきている
    • 最終的に研究者が行きたいのは冊子体/とらえずとして電子が使えるのは便利
    • CiNii/NDLサーチと連携したい・・・大学図書館公共図書館との連携へ
  • 昨年度改修で・・・・低速回線でも大容量PDFをアップロードできるように
  • 広域移籍クラウドイメージ
    • 広域クラウド・・・複数県域をまたがるもの
    • さらに将来のイメージ・・・集積遺跡クラウド(データの集積⇒ミラー等も用意できるように)
  • さいごに:複線的な事業モデルへ向けて
    • 委託終了後も安定して運営できるモデルについて画策中

質疑応答

  • Q. 名古屋・山本さんに。電子ジャーナルプラットフォーム・OJSについて。実際のところの使い勝手は? 気軽に採用してどういうところに利便性がある?
    • A. 山本さん:公開インタフェースとしては綺麗でいい。自信を持って言える。ロゴの入れ替えやちょっとしたカラム変更も可能。それはいいもの。あとは投稿してのワークフローと編集プロセスだが、大学図書館研究で困ったのは、編集者が一人に査読するシステムではなく、編集委員全員にお願いするものの全員分集まるかはわからない、ということ。それはOJSには実装されていない手順。プロセスにシステムがあっていれば十分使えそうだったのだが・・・バージョンもメジャーバージョンが3に上がっているので使えそう、と思っている。
  • Q. OJSとリポジトリ連携のセットを、今後どういう風に普及させていく?
    • A. 山本さん:細くつながった、というのがやっとできた状態。ただ、一個構想してみているのは、内輪の機関リポジトリ向けに、例えば博士論文は許諾を待つ間に魂込めだけしておいて許諾と同時に公開、ということはできそうに思っている。中間形式にはそれなりの実用性はあると思う。普及の方法は・・・まずは内輪で便利に使って見せることだろう。OJSは大学図書館研究さんではそれなりに稼働している。もう1〜2つは必要。名古屋大学の中で紀要を電子化したいと思っているところがあるので、まず内輪の大学の中や、図書館自身の紀要で上手に、便利に使えるかによると思う。
  • 山地さん:機関リポジトリとの連携にフォーカスして議論するとすれば、聞いていてわからなかったのだが、『大学図書館研究』が持ち回りで変わったとき、機関リポジトリに分断されたコンテンツをぽこぽこ入れることを想定している?
    • A. 山本さん:確かに著者所属に行くので、分散してそれぞれアーカイブされるものと思っている。
  • 山地さん:セルフアーカイブ的にSWORD投稿できる?
    • A. 山本さん:SWORD投稿システムがそうなっているので、大学図書館研究の場合は個人が自分のリポジトリに入れることもできるし、紀要のようにまとめてアップロードできるようにも。
  • 山地さん:前者の場合、汎用投稿システムは誰が使うことを想定?
    • A. 山本さん:誰だろう? できる、ということを示したかったのだが、あれが実運用になるかというと・・・。
  • 山地さん:図書館を離れたそうだがぜひ、続けていただければ。
  • Q. 遺跡リポジトリの福山さんに。今後、事業モデルをどうするかということがあったが、文化庁あたりから遺跡リポジトリのサポートを得られる見通しはある? 何か具合案があれば。
    • A. 福山さん:昨年度は収束どころ、受け皿を各方面あたっていたところ。文化庁さんからはだんだん、昨今の情勢を理解いただいている。将来的には国策のレベルで考えることが必要であろう、ということで。学会の方でもそういうお話をよく聞く、「こうあるべきだろう」という。そこで奈文研さん、ここは文化庁の直轄なのだが、抄録データベースをやっている。その先にあるのが遺跡資料リポジトリ。報告書を研究者が探す、その先でそのまま見られたらなお結構。ただ、まだ遺跡資料リポジトリの方の全国展開ができていない。また、入力インターフェースも。目指しているのは自治体によるセルフアーカイブなので、そこにはまだ課題がある。そこで今年、奈文研さんと共同研究をして将来構想をやっていければ。それから復興支援についても、現場では紙がないので使えない、リポジトリならネットワークと電気があればなんとかなるということで、今後に期待している。
  • 山地さん:遺跡リポジトリと広域クラウドと集積クラウドの関係をもう一度。
    • A. 福山さん:モデルとしては個別サーバモデルが最初、第1期。ターゲットは各府県域。その流れの形で報告書が出るので県単位で1つのクラウドシステムがあるのがいいだろう、と。最初は大学個別サーバを作り、それはハードルが高いということでNIIのクラウド上に遺跡サーバを作った。管理費用が軽減した。NIIのクラウドと個別サーバの違いはサーバ管理がいるかいらないか。次の広域は、大学が個々の県域を管理するのは負担だろう、と考えた。具体的には関東地区。関東地区で個別に遺跡サーバをあげるのは困難で、関東ブロックを管理するために枠組みを変える形で、と考えたのが広域クラウド
  • 山地さん:県域が移る、ということ?
    • A. そのイメージ
  • 山地さん:そのとき誰がお金を出して運用する?
    • A. そこのブロックの中核となるところ。大学あるいは県や都。それを越えた時、最終的に必要になるのが集積クラウド。これは広域クラウドとは異なる正確。階層構造にすべてのサーバ群があり、PDF自体もここに入れる。個別サーバ群が潰れてもコンテンツを利用できる。震災にあたってシステムを使えなくなるのは困る、電子化するとなくなる/使えなくなるのでは、という声があり、こういうものを作る。さらにミラーサイトも使えるようになって、1つが潰れてもミラーで使えるようになる。
  • 山地さん:webサイトではなくコンテンツアーカイビングのサービス?
    • A. サーバ機能も持つ。登録機能も持って、下位にある個別サーバ群はクロールするイメージ。それをひっかき集めることも、生きているときはそちらに投げることもできる。NIIのJAIROが実データも持つイメージ。でも各大学のリポジトリが生きている間はそちらを指す、またJAIRO自体が登録サーバでもあるイメージ。そうなると個別サーバの意味も変わる。地域に対してリッチコンテンツを追加する時などには個別が便利、汎用レベルなら集積だけでいい。各大学の地域連携度に応じたモデル。
  • 山地さん:どれくらい現実的なものかはわからないが、当初考えていたよりステークホルダーが増えている。それがシフトするのか、変わるのか、住み分けるのかわからないが、その中で大学図書館が果たした役割は何?
    • A. この業界の方は紙が大好き。電子じゃない。プロジェクト立ち上げ当時から、関連の先生は紙ありきで、電子の利用価値を認めていなかった。しかし島根の場合は9割以上のコンテンツが学外から利用できるようになって、今後資料群は倉庫に預ける。そういうときに「リポジトリがあるから大丈夫だね」と思ってくれるようになった。この分野の先生たちが電子の利便性を享受しだした。ただ、電子ですべて表現できるわけではない。電子の永続性の注意点は文化庁の文書にもある。
  • Q. 守本さんに。研究者プロファイル/リゾルバの利用も想定されているようだが、機関リポジトリは原則、所属者のコンテンツを登録する。リゾルバや識別子が進むと、どの人がいつどこの大学にいたかの情報も把握しやすくなる。通常、業績DBを各大学で持っている場合は、その大学にいた間だけでなく過去から現在まで差別なく書かれると思う。そこら辺の区別がつきやすくなることのメリットはどう考えられている?
    • A. 守本さん:業績DBには過去分もあるのに機関リポジトリにあるのは在籍時分のみ、というのは確かに。著者識別子を機関リポジトリの個々のアイテムが持っているし、JAIROにも流れ、研究者リゾルバはじめ研究者情報サービスも同じ番号を持っていると、その番号をキーにした連携はできるはず。大学のリポジトリと大学のDBの間だけでは不完全でも、JAIROと研究者リゾルバというような、日本国内の研究者情報と論文情報のリンク関係を、異なるリポジトリから持ってきたキーによってお互い参照できるようになる。将来的には。さらに今は日本のJAIROと研究者リゾルバしか話していないが、将来的には研究者リゾルバとORCIDをマッチングできれば、ORCIDのIDから個々の日本の機関リポジトリまで飛べる。そこがメリットかな、と思う。ぜひ著者識別子を今のうちから遡及を。
  • 山地さん:ということは、紀要論文ではなくOAを対象としたようなものに著者識別子をつけることを想定? 紀要はどうでもいい?
    • A. 何が重要/重要ではないは図書館員にはわからない。先生の成果に満遍なく入れておけば一網打尽にできる。図書館員は「これだけつければいい」を判断せず入れればいいのではと思う。
  • 山地さん:これで実験が終わり、運用フェーズということだが、これで学術情報流通にリンクが増えるのはわかるが、何がどう変わる?
    • A. 機関リポジトリの世界でJAIROとかに集まっているのは論文の情報の集積。書き手の名寄せは一応、できるが、その先生がどういう研究をしていて、どういう講演・講義ができるかは全くわからない。論文情報に「この人を知りたければこの番号」というのがあれば、番号から研究者の情報、将来的には海外データベースの情報も入れば、「この論文を書いた人についてもっと知りたい」、「この人の書いた論文を読みたい」ということが容易にできるようになる。論文情報と研究者情報の密接なリンクで素早い情報流通が可能になると考えている。
  • 山地さん:各リポジトリが研究者リゾルバにリンクするとして、そこは安定的に運用することになっているんですか??
    • A. 安達先生:研究者リゾルバはKAKENデータベースの中間にいて、データを綺麗にするためのツール。KAKENをやる限りは維持する。IDは何通りも出てくる。常にそれを綺麗にしなければいけない、というのがコンテンツ作成の辛さ。今、KAKENは移行フェーズで、実験的なものからメインサービスにしていくつもり。他にもいろんな研究成果ポータルが世の中にはある、というか作らないと、という機運がある。その中でどうなっていくか。見えないところもあるが、NIIはJSPSと連携して、サービスというよりもコンテンツに付加価値をつける基本のデータベースとして運用する、というのが基本方針。
  • Q. 守本さんに。著者識別子について、文献レビューや機関リポジトリまわりの実践を見ていると、デジタル図書館の世界ではオブジェクトの識別子に対して著者の識別子をつけることは、付加価値をつけたサービスを作る上では自明のように語られている。世界では。それは歴史的に見て、図書館の目録は当然、オブジェクトと著者にIDをつけている。それと同様に論文データベースもやっている。それらは全て、識別子を著者につけると何が嬉しいか自明で、著者に切り分けてレビューとか検索に便利とか論文投稿に便利とか色々あるが・・・自明であるが、その上で、今までは図書館のカタログのように1つのデータベースや論文のような1つのコンテンツの中で起こっていた。それがリポジトリのような分散型のオープンなデータベースの時代になってきた中で、同じようにオブジェクトに識別子をつけるだけでなく著者に識別子をつけることの困難さとは何かに関心があるらしい。
  • 山地さん:時間が迫っているので質問をまとめて。
  • Q. 図書館カタログの識別子の困難さとも商用DBの識別子でもない、分散型の状況の中での識別子の付与って、1つの大学なら100〜5,000人の識別子をつけることの困難さって?
  • 山地さん:続きは情報交流会で。集まってやってもらうので、面白いと思った方はその場で議論に参加を。




休憩タイム


Session.4 成長するコミュニティ 

コーディネータ:米澤誠さん (東北大学附属図書館総務課長)
  • このセッションでは全国/世界、地区、県域という3つのレベルの発表をいただく

 

4-1. 北海道大学 三隅健一さん:「機関リポジトリコミュニティ活性化のための情報共有」

  • 昨年度のその他の主な活動・・・RSPを招いての会議:1月に札幌で開催
    • RSP = Repository Support Project・・・イギリス国内で様々なリポジトリ担当者育成の活動を実施
    • 会議ではDRFRSPそれぞれの研修活動の報告・意見交換
  • RSP:2006年に活動開始
    • 目的:リポジトリ数・コンテンツ数の増加、質の多様化、best practiceとスタンダート確立
    • DRFとも重なるところ大。ほぼ日本と同じような取り組みが起こっていた
  • RSPのサポート活動:
    • 電話・メール
    • オンサイト サポート
    • バディ・スキーム・・・同行者紹介
      • 隣組織や同じソフトウェアを使うところを紹介
      • 学内に1〜2人のリポジトリ担当者のサポートとして心強い
    • 研修、イベント
  • DRFからは研修で用いた手法(すごろく)や広報の寸劇等を紹介
    • 食いつかれた/けっこう似たような雰囲気?
  • DRF/RSPそれぞれの新任者研修
    • 日英とも同じような内容だが・・・
    • 異なる点:イギリスでは担当者異動が少ないため、新任者研修は数を減らしてきている
    • RSPワークショップ「効果的な広報活動のためのコミュニケーション・スキル」・・・企業の広報研修を20年以上やっているプロが講師
      • 「説得」するためのコミュニケーション
      • 登録義務化だけではコンテンツは増えない。リポジトリ登録を教員に理解してもらう必要
    • 毎年、WSはイギリスでやっている・今年度はDRFでも取り入れていきたい
  • 中堅者研修
    • DRFは昨年度から/RSPはこれまでに7回実施
    • イギリスでは中堅になっても中堅者研修に出て、スキルを磨いている
    • 講義と同じくらいグループディスカッション/寝るのも研修を受けるのもみんな一緒(ホテルを借りきってリラックスして受ける)
      • 市街地から離れた湖水地方に缶詰にして、お互いのコミュニケーションを図る/人脈・ネットワークづくりに
  • RSP研修の工夫・・・
    • フィードバックの重視/SurveyMonkeyで取る/今日のCSIのアンケートもそれ
    • オンライン研修セミナーを使った研修:Webinar・・・DRFでも取り入れたい
  • DRF/RSPには多くの共通点
    • 目的、研修に力を入れていること、研究者の理解促進が大きな課題(Big challenge)・・・
    • お互いの優れた点も見つけた。DRFRSPの先進性を、RSPDRFからhita-hitaのような広報活動の話が
    • お互い似たもの同士、優れたところもある、仲良くしない手はない
  • さらなる情報共有/交流のため・・・DRFRSP、UKCoRR(イギリスのリポジトリ担当者の集まり)によるMoUを締結
    • 今後はまずOpen Repositories 2012のポスターセッションに連名で発表
    • DRFのイベントにキーパーソンを呼ぶ
  • 非常に実りのあるものだった!
    • 今年度のDRFのWSはわくわくできるものになるだろう
  • 残り時間・・・COAR総会レポート
    • DRFからはポスターセッションに参加
      • ポスターは今日のセッションにほぼそのまま出している
    • 登録義務化の促進/リポジトリと他システム、とりわけ業績DBとの連携/国際的なリポジトリ担当の協力が話題に
    • 残り時間は写真紹介

4-2. 龍谷大学図書館事務部 芝野朋子さん:「近畿における機関リポジトリコミュニティ形成の支援(近畿領域3プロジェクト)」

  • みなさんこんばんは・・・すみません、「こんにちは」でした(会場笑)
  • プロジェクト事業概要:
    • 機関リポジトリ連続研修会の開催で機関リポジトリの導入を推奨する
    • 近畿の外でもコミュニティ形成を支援する
    • 先進的な活動をしている大学を訪問し、リポジトリコミュニティの情報を聞き、近畿に還元する
    • 近隣の未構築機関に出向いて構築の後押しをすること
  • 連続研修会をよりよくするため・・・昨年度から継続してアンケートを実施
    • リピータの多さが特徴
    • リポジトリ構築状況・・・構築済みもいれば検討中・構築中など様々
    • 不安点・・・事業を担う職員の確保
      • 未構築機関にとって業務の増加や図書館自身の人材不足がネックに
      • その補完のためにもリポジトリコミュニティを活用してもらえれば
    • 今後の希望テーマ:
      • 学内合意形成、技術面、データベース連携・・・各々、しなければいけないことを挙げている
    • 感想欄(書取れた部分のみの抜粋):
      • 「実務でしなければいけないことをすべて盛り込んで下さったので、参考にさせていただきます」
      • 「熱意があれば、やりとげられる。仲間がいるというのはとってもうれしことです」
      • 「とりあえず進めてみる姿勢が大切だと思いました」 などなど・・・
  • 連続研修会のその他の活動:スライド参照
  • まとめ・・・
    • 最大の成果=独自経費による研修会の実施
    • 2年間で10回の研修会・・・理念・意義だけでなく実務的な面も知ってもらえる/イメージ・土壌の醸成
      • そこで共用リポジトリサービスの説明会・・・構築へのステップに/8機関のJAIRO Cloudエントリへ
      • 中にはすでに公開している機関も
    • 独自公開も2つ、検討中が2つ
  • 平成24年度以降・・・
    • 経費的に自立/手弁当での研修会実現へ
    • 近畿同様、大学の密集している名古屋/東海地区でのコミュニティ形成を目指しNIIに申請中
      • ここにできれば日本全体が変わりうる?/近畿領域3プロジェクトでもサポート
  • 最後に・・・
    • 連携機関+NIIの皆様に感謝申し上げます


 

4-3. 香川大学 学術室 情報図書グループ 大園岳雄さん:「香川共同リポジトリプロジェクトの現状と課題」

  • 香川大学のポスターは見ましたか? ひときわ異彩を放つもの
    • うどん県プロジェクトで作ったものなので借りてきた
  • ここ2〜3年の普及活動:
    • 遺跡資料リポジトリのために香川県域を回る・・・H.21
    • DRFtech-Kagawa開催・・・H.22
    • 香川共同リポジトリプロジェクト・・・H.23 ←New!!
      • 構築支援事業
  • プロジェクトについて:
    • 基本的にはJAIRO Cloudの香川版
    • ソフトウェアはWEKOではなく山口大学等で使っている別ソフト
    • 大学・高等専門学校等に限らない機関を対象に
  • H.23の活動
    • 広報活動
      • 地方の公共団体の試験場/香川県図書館学会でプロジェクトについて発表
    • システム構築支援
      • 香川大学が図書館システムの一部としてサーバとシステムを調達
      • サーバ保守も香川大学が今後、負担
    • コンテンツ作成支援
      • CSI委託事業費を用いる
      • 参加予定機関の冊子体コンテンツ電子化とメタデータ作成を担う
      • 2,735件のコンテンツを電子化・・・それ以後は参加機関の負担/著作権処理も
  • 活動を通し見えてきたこと:
    • OAに関する理解は得られる
    • それをコンテンツ提供機関において新構築するのは人材/経費上、厳しい。近畿は元気でいいなあ
    • 大学での認知度は高い/一歩外に出ると「なんだそれ」という反応
  • 今後の目標:
    • 県内高等教育機関での構築率100%を目指す(大学6つ+高専1つ)
    • 普及活動の一層の実施
  • 「香川共同リポジトリは大学という枠組みを越えたコミュニティによる知の発掘を目指します」!

質疑応答

  • Q. 大園さんに。各市町村の報告書発行機関以外に、今後、広報活動のターゲットがあれば。
    • A. 大園さn:今後、どういった機関を対象に含めるかということだと思うが・・・よその共同リポジトリ、特に沖縄は地域学として進めているが、在野、研究機関に属さない人にも話しを持って行こうと考えている。機関としては博物館、美術館、文書館、県立図書館。その中でおそらく、コンテンツの質の問題が話題にあがってくると思うが、質を判断するのが誰なのかしっかり把握していない。間違いない機関が発行したものなら質は保障されるだろうが、オープンなコンテンツの質判断は受け手の問題とも思う。学術とは限るが生産物は積極的に受けていきたいと思っている。
  • Q. 米澤さんから、3人に。香川大学からは大学の枠を越えた普及活動の話があったが、大学の中には十分、普及活動は行き渡っているだろうか?
    • A. 三隅さん:まだまだ理解されていないんじゃないか、というのが率直な感想。リポジトリがあるということは、構築のために話をつけることがあって、先生方がコンテンツを登録することが次にある。後者はすべての先生方には行き渡っていないし、それは皆さんの大学でも同じだろう。Green OA文献を増やすために広報活動を進めたい。
    • A. 芝野さん:大学としては「気運だけ」「白紙、その他」という状況でも、研修に来ている図書館員がいる。図書館員個人はやりたくても大学が認めてくれないところがある。構築しているところでも認知度はものすごく低い、例えば龍谷大学でも低い。なにかひっそり、やっている。先生方に個別に話をするとくいついてくれるが、全体・組織としてとなると大学の中での位置づけは難しいのが現実。
    • A. 大園さん:セッション1でもあったが、紀要はある程度めどは立った、と感じている。香川大学リテラシー教材で、CiNiiに本文の出てこない紀要を調べさせようとしたのだが、リンクされていない論文を探すほうが大変だった。紀要はほとんど見通しが立ったと思う。補完するのは未構築機関での構築や、大学以外の研究機関にどう声をかけるか。そこは構築済みの機関が積極的に声をかける必要があると思う。研究者がどれだけ機関リポジトリに理解を示しているかというと、まだまだ数は少ないと思う。
  • 米澤さん:図書館コミュニティの中ではだいぶ成長してきた。一方で大学の中で、あるいは大学がOAや機関リポジトリというものについて成長しているのか。そういった観点から、これから大学というコミュニティに対してOAを浸透させるにはどういった立場がありうるか。お三方に。
    • A. 三隅さん:1つは、義務化が、コンテンツ登録の義務化によってコンテンツ登録を当然とすることが理解していただく点では大きいのでは、と思う。もう1つは、さっきの繰り返しになるが、地道に先生方1人ずつに会って対話するとか、説明会を行う等の方法で浸透していくイメージで進んでいければいい。
    • A. 芝野さん:<オフレコ>
    • A. 大園さん:大学レベルでの義務化が一番、効率はいいのだろう。リポジトリとは関係ないが、1年生向けの必修科目で今年から必ず図書館の時間をとることになった。これまでもリテラシーの取組はしてきたが、義務化すれば一番、一発。リポジトリも義務化が一番効率がいいのだろうとは思う。あとは、それとは別に、リポジトリ業務以外のところで、教員とのつながりを作ることも手になると思う。例えばカウンターに来る図書館の先生方、よく使われている先生に声をかけてみる、ILL依頼があったら声をかける、というような方法で普及していくやり方もあると思う。
  • Q. リポジトリにある程度、シンパシーを持つのは教育やサービスを厭わない先生。そういう人がかならずいるはず。見方を増やす、そして「先生の論文はものすごいダウンロードがあります」とフィードバックすれば「よし!」となる。便利で、預けておけば「予習するときはリポジトリを見ておいて」というとか。薬理学では和漢薬の講義もあるのだが、それはリポジトリを見れば何を話すかがわかる。予習レベルの学生向けに。それから、大学病院で漢方を扱う先生に、和漢薬を薬理学者がどう見てるか、ということで・・・年上だからか、こちらが迫るとシラバスに書いてくれる。リポジトリをいい仕掛けとして、学生の方からも「先生、あれ入れてくださいよ」と先生から蹴り上げるとかいうこともあるのではないかと思う。
  • 米澤さん:学内でも普及が必要ということだろうが、機関リポジトリにはOAを進めるという目的もある。そこにも貢献しなければいけない。そういう意味で、機関リポジトリはもちろんですが、OAを大学・社会に広めるためにどういったことが考えられるかも考えなければいけないのではないだろうか。DRF等も活動しているが、広く大学/社会へのOAの浸透についてどう考えられているか、お考えあれば。
    • A. 三隅さん:皆様今年もOpen Access Weekをよろしく、というのがまず1つ。あとは、社会に広げるというのは・・・使えるようにしておくことが一番の効果ではないかと思う。探していて、何かしらの・・・Google等、何かしらの方法でコンテンツがヒットする、というのが、どこかにちゃんとあるというのが一般の市民の方、社会にとっての嬉しい点。コンテンツをきちんと増やしていくのが一番の方法ではないか。
  • 米澤さん:OAWについて具体的な協力が欲しいことはある?
    • A. 三隅さん:10/22-28が今年のOAW。グッズを置くことから始められる。三角形のスタンドを置いたりすることで、学生さんの目にとまるようにとか。「Open Accessというものがあるんだ」ということから全ては始まる。目に触れた人が、学生から研究者になっていく段階で自然にリポジトリの活動が普及していけば。
  • 米澤さん:最後に私から。NIIの大向先生が書いた『ウェブらしさを考える本』に、webとはもともとオープンを志向してきた、ということでティム・バーナーズ・リーの言葉が引用されている。<バーナーズ・リーの言葉の引用>・・・というように、ウェブはオープンを目指してきたもので、学術研究はオープンを前提にしてきたという話がある。学術情報はオープンであるべき、ということを崩さずに、今後を考えていく必要がある。最後に登壇者に温かい拍手を!



その後、今日・明日と演題にあがらない皆さんによるポスターセッション(1機関1分)と情報交流会で1日目は終了ー。
全体に印象的なのは共用リポジトリ/共同リポジトリ/独自構築、どの路線にせよ新規構築機関がどんどん出てきていることですね。
現在240機関以上、いずれは400を目指す・・・という路線は非常に現実味があり、意義も大きいもののように感じています*1


他方、既に構築済みの機関でも名寄せ・外部とのリンキングやOJS連携等、新たな取組も続いており・・・と。
そういった「新たな取り組み」に関しては明日2日目の午前にも色々出てきそうなのでそちらも期待大です。


と、いうわけで続きはまた明日ー。

*1:いずれブログにまとめ直そうとも思っているのですが、実際、中小規模の機関にも様々な形でコンテンツがあり、それらも電子化していくと利用は大機関のよく知られた論文に負けず劣らずあるわけで、一度オープンにした場合にはどこにどんな需要があるかわからない・・・というよりどこにでもあらゆる需要がありそう、といった様相です。ただし発見の手立てがないといっきに厳しくなるわけですが