博士論文は「やむを得ない事由」がない限り機関リポジトリで公開される時代(オープンアクセス・サミット2013 学術情報のオープン化に向けて〜現在の到達点と未来の展望〜 参加記録その2)
前エントリ*1に引き続き、OAサミット2013参加記録その2です。
2日目・午前の時間はまるまる博士論文のリポジトリ登録・公開の話ですよ!
平成25年3月をもってCSI委託事業とSPARC Japanは共に第3期の事業を完了しました。ここで事業の到達点を確認するとともに、博士論文のインターネット公開やJAIRO Cloudの展開も踏まえつつ、未来を展望し、オープンアクセスの新たなスタートを切ります。
第2部: 9:30〜12:00
「博士論文のオープンアクセスを実現する」
前日、都内で飲んでて翌朝寝坊し(汗)
慌てて神保町は一橋講堂についたmin2-flyが目にしたものは・・・な、一橋講堂が埋まっているだと?!
今まで機関リポジトリ関連のイベントで一橋講堂に来たことは何度となくありますが、会場が埋まっているなんて状態を見たのは初めてでした。
しかも明らかに知らない顔ばかり・・・おそらくは大学の教務関係の方がかなり多くいらしていたんではないかと思いますが、博士論文のインターネット公開を定める学位規程に対する注目度の高さを目の当たりにしました。
なお、学位規則改正と学位論文のインターネット公開義務化についての詳細は以下のページ等によくまとまっているのでそちらもぜひ参照のこと。
自分はちょうど本人が学位論文に追われていたのであまりしっかりこの話題をフォローできていなかったのですが・・・
今回、参加してなるほどこういうことかと得心しました。DRFのメーリングリストで議論になっていたこととか。
以下、当日の記録です。
例のごとくmin2-flyの聞き取れた/理解できた/書き取れた範囲でのメモであり、寝不足でやや朦朧としている部分が間に混ざっている点にも目をつぶっていただければ幸いです・・・スライド等は後日公開されるはずなので!
引用したり業務の参考にする際にはぜひ、公式サイトでの公開物をご利用ください!
最初に司会:岡山大学附属図書館事務部長 富田健市さんから学位規則改正にいたる経緯などの説明がありました(スライドの切り替えが早くて記録しきれず)
基調講演:「博士論文のオープンアクセス化と研究・教育」(京都大学図書館機構長 引原隆士先生)
- 学位規程・・・文科省の規程にどこの大学も従う
- 論文の数・授与手続きの問題はあるが、基本的には同じ
- 学位授与から1年以内に印刷・公開するのが今までの規程・・・ここを変えなければいけない
- そもそも博士の学位論文とは??
- 公表の有無/雑誌掲載論文数とは(本来)無関係
- 大学独自の委員会が新規学術分野の創成を評価するもの
- 研究者の学識・研究成果の革新性を判断
- 第三者(世の中)にその評価をしてもらうのが印刷・公表の役割=審査の透明化(それがうまくできていないので査読本数規程に)
- 学位論文に関する予てからの課題
- 京都大で保存しているものは準貴重書扱い
- 公開原則なのに大学内のものは見にくい
- 審査書類なのに、頻繁に廃棄されていたり処理されていたりする・・・審査の透明化をしないといけないのに・・・
- 所掌部局の問題
- 学位の審査規定は大学の核。どの部署でもサポートしないといけない。学位審査ができない大学=研究大学ではない大学。所掌を投げ合っている場合ではない
- 京都大で保存しているものは準貴重書扱い
- 要旨データの収集について:
- 学位審査を認めた調査報告書がプロセスの中で変えられてしまうことがある・・・校正や誤植、そのミス・・・2004年当時までそれが世に出ていた
- 2006年の改訂で電子版公開を原則に/2010からリポジトリ公開も
- 学位審査を認めた調査報告書がプロセスの中で変えられてしまうことがある・・・校正や誤植、そのミス・・・2004年当時までそれが世に出ていた
- リポジトリの運用:
- 指導者・学位申請者の立場から
- 学位論文データ:
- 学位申請の話:京大の場合
- 公開対象は調査報告書+本文の、教授会で承認を受けたバージョン
- 申請の流れの中にうまく電子公開許諾の手続きも入れる
- 当時にも今にも変わらない質問:
- 著作権の問題
- 利用許諾
- この流れのなかで何をしたらいい?・・・学位申請者の権利を守る+審査過程の透明化+学位プロセスの正当性の担保
- 公開後・・・
- 公開直後に5,000件ダウンロードされた論文も
- 今は先にルールを定めた工学研究科が多い/規定改定で数はいっきに増えるはず
- 義務化したところでも公開されない場合の理由
- 本にしたい/特許申請/電子化しない方がよいという周囲の進め/センシティブデータの扱い/雑誌論文の別刷なので登録できないなど・・・多くは誤解に基づく
- 学位論文公開ルール化のポイント:
- 以上を踏まえて・・・5.28に京大の学位規則改訂
- 「やむを得ない事由」によって電子公開を回避しようという人も多い/クリアできるはずのことをやっていない場合が多い
- その場合には、要約を見て本編に辿り着ける手立てを用意しておくように、とガイドラインに
- 「やむを得ない事由」によって電子公開を回避しようという人も多い/クリアできるはずのことをやっていない場合が多い
- 研究指導の考え方の変革:
- 学位論文と論文誌の評価は別
- 研究の継続性と博士論文が単独で完結していないといけないことの関係
- 研究主体の変化・・・博士課程の学生が研究/指導者は研究しているわけではないことの確認
- 論文博士の扱いの厳格化・・・今これに意味があるのか?
- 社会人博士の研究推進厳格化
- 著者間の相互関係整理=二重申請の回避
- 図書館が対応すべきこと:
- 出版者からの著作権に関する許諾手続き支援など
- 学位論文の著書出版はオープンアクセスの障害ではない、との出版者の回答
- 博士論文をそのまま出版することはない、編集する。博士論文の側をオープンにすることの障害にはならない・・・との話
「学位規則の改正について」(文部科学省高等教育局大学振興課大学院係長 立松慎也さん)
- 博士論文の公表に係る規定:
- 博士論文は作成者による印刷・公表が昭和28年からずっと位置づけられていた
- 博士論文の公表をめぐる動き・・・
- インターネット公表の要請:
- 改正概要:
- 内容の要旨/審査の要旨をインターネット利用により公開・・・学位授与機関でやる
- 本文・・・学位授与機関の協力を得て、取得者がインターネットで公表
- 「学位授与機関の協力を得てインターネットの利用により公表」=高等教育長通知で規定。「機関リポジトリによる公表を原則とされたい」
- 機関リポジトリがない大学はその整備をあわせてお願いしている
- やむを得ない事由がある場合には・・・内容の要約をインターネットで公表するのでも可
- やむを得ない事由=立体形状による表現を含むなどしてインターネットで公開できない、著作権・個人情報保護等によりインターネットで公開できない(ただし、要求されれば各大学は紙ベースで見せなければいけない。「それはいいけどネットはいやだ」というときだけが対象)、出版刊行・多重公表を禁止するジャーナルなど(これも求められれば紙は見せないといけない、それはいいけどネットはいや、という場合だけ)
- 実際のフローの説明
- 改正後の運用について・・・
- 改正に伴ってこれまで文科省に紙を提出するようお願いしていたものも、電子版でOKとしました。公印ついた紙で送ったりしなくてOKです
「国立国会図書館による国内博士論文の収集について」(国立国会図書館関西館電子図書館課長 木目沢司さん)
- 博士論文収集についての国立国会図書館(NDL)の役割
- NDLは出版物の網羅的収集が使命=博士論文の収集も使命
- S. 10に文科省から移管⇒S. 50から直接受け付けるように
- 電子的な形態に移っても網羅的に収集し続ける
- 博士論文の電子版送付方法:
-
- 「やむを得ない自由」でインターネットで全文を公開しない場合・・・それでもNDLには入れて公開する必要あり
- 電子データはある場合・・・電子データを2番めの方法で送る
- 印刷物である/立体物等である・・・改正前と同じ方法でNDLに送付を
- 「やむを得ない自由」でインターネットで全文を公開しない場合・・・それでもNDLには入れて公開する必要あり
- 以上をまとめたフロー図を説明
- 電子データの形式について:
- PDF、できればPDF/Aが望ましい
- 外部情報源(フォント等)を参照しないこと
- 長期保存のために・・・暗号化やパスワードを設定したり印刷制限設定をしないこと。長期的保存+アクセシビリティのため
- 学位授与報告書の写しの送付
- 博士論文とは別にメールで送付を(詳細は省略)
- 収集したもののNDLでの利用:
- NDLで収集するのは原則、全文
- 参考資料も送りたければ送信用システムで送付できるようにする
- 学位論文規則改定前の論文は従来通りの方法での送付を!
「国立情報学研究所の学位規則改正対応」(国立情報学研究所学術基盤推進部学術コンテンツ課IR担当 前田朗さん)
- 学位論文の規則改正に対してしないといけないことは2つ:
- 博士論文をインターネットで公開すること・・・機関リポジトリでの公開が原則
- NDLに博士論文のPDFを提出すること
- NIIはこの2つのことをどう支援するか??
- 機関リポジトリについて:
- JAIRO Cloudの特徴:ここは前日の記録にもあるのでそちらを参照:http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20130610/1370853762
- NDLへの博士論文本文PDF提供も支援
- NDLへのデータ提供の詳細説明
- junii2 ver3.0の説明・・・学位関係データが追加されている
- ハーベスティングの開始はスライドよりちょっと遅れるかも?
大学図書館の取り組み:
慶應義塾大学・入江さん
- 図書館は学部学科からデータを貰ってサービスする
- 各管理元がPDFを出すのが基本
- 現状:
- 継続性を重視してコストをかけずに仕事をしてきた
- 40学部、100タイトル、4万論文を掲載している。三田の主要な紀要は全部入りつつある
- 博士論文について:どうしようか考えた
- 学生部が基本になって、そこから出てきたPDFを公開する
- 今までは紙でラインが完全にできていた・・・これをリポジトリにどう載せるかも明確
- 学生部が博論をPDF/Aにして持ってくる⇒それを図書館が載せる
- 何が問題か??
- 図書館的な大きな課題:
- 現状では紙と電子がばらばらに提出される可能性がある
- これまでの紙とこれからの電子をどう一緒に探せるように扱うか??
- そんな簡単には全部電子にはならない?
- 並行期にどう運用するか?
- XooNIpsのjunii2 ver3.0対応:
- 6月には現行バージョンでの対応を公開できる?
- 9月には研究会を開催し、詳細な解説と実習を予定している
岡山大学・山田さん
-
- 主に学内の体制の話
- 岡山大では既に平成23年から学位論文登録を義務化
- H23.12
- 学内プロジェクトと博士学位論文の登録を原則義務化
- 学位授与予定者に登録許諾確認+論文データを提出してもらう
- ただし、許諾しないという選択肢も残した・・・大きな反発はなし
- まあまあ公開も進みだしている
- 学内プロジェクトと博士学位論文の登録を原則義務化
- 許諾しない理由:
- 学会誌への投稿予定/企業活動に影響/共同研究者の同意がない/未公開データを含む etc…
- 今回の学位規定改正への対応:
- 具体的な経緯のお話
- 学位規則改正後の手続き/手順の説明
- 「やむを得ない」自由の扱いなど・・・本人希望の場合は研究科長決済/出版者ポリシーの場合は図書館で調査・・・その後、学長決済
- 今後の課題:
- やむを得ない事由の判断・・・大学に委ねられていると考えて差し支えないのか?
- やむを得ない事由が解消したときのインターネット公開を実現できるか・・・修了後の学位授与者を追えるか?
- 要旨公開について・・・授与後3ヶ月後の公開を実現できるか?
- 抜き刷りに基づく学位論文など・・・NDLへの対応をどうするか?
- 全文を公開しない場合の大学での本文閲覧はどうするか??
麻布大学・増田さん
- 麻布大学・・・これから博士論文について取り組みはじめる
- その疑問点を整理して、少しでも他のこれからやる大学に役立ててれば
- 疑問点への回答はこの後の質疑応答で明らかになる??
- 改正内容・・・一言で言えば紙⇒インターネットに公開手段が変わるだけ
- 「なんか不安」というところもあると思うけど、気持ちの問題。今までほそぼそ公開していたのがインターネット公開になって誰でもアクセスできることへの不安
- その解消のために疑問点を整理したい
- 著作権処理の疑問点:
- 「既に公表」に該当する条件とは? 印刷公表していればいいの?
- 「やむを得ない事由」があるときに公開するという「内容を要約したもの」とは? 「内容の要旨」でもいい?
- 「内容の要旨」・・・許諾が得られない場合はどうなる? 論文本文と同じ扱いでいいの?
- リポジトリ登録の疑問点:
- NDLから電子データの形式についてPDF/Aに、暗号化も印刷制限もするな、とのことだが、設定してしまうと提出方法が変わる? 自動収集どうなるの?
- 論文全文、内容の要旨、審査結果の3つのコンテンツは全部同じテーブルがいいとか、推奨方法はあるの?
- 大学等での全文閲覧供与について:
- やむを得ない事由があって全文閲覧を大学が保証する場合、大学は応じなければならない? 特に特許関係
質疑応答
まずは各大学からの疑問・質問について、各関係者から回答を
文科省・立松さん:
- 1. 雑誌掲載等、既に公開されている+インターネット公表できないものは?
- 状況によるが、博士論文と全く同一のものが電子ジャーナルで公表されているなら「やむを得ない事由」にしてもいいと思う。
- 2. 「やむを得ない事由」は各大学で判断していいのか?
- アウトラインは示したとおり。それを参考に各大学で判断を
- 3. 「既に公表」は何を以ってか?
- 各学位授与機関の協力を得てインターネットで公表した、場合。印刷公表は該当しないので、印刷公表していてもインターネットで公開は義務
- 5. 「学位論文の要旨」が公表できない可能性は?
- 論文の要旨の作成は著作権法上の翻案にあたらないし問題ない。法令規定上、論文の要旨は公開するもの。研究・論文作成指導においてその充分な理解を広めて欲しい。
- 6. 大学における全文閲覧の保証について、応じないといけない?
- ここは改訂では一切いじっていない。大学は求められれば応じることが義務。特許などの心配事はあるかも知れないが、求めに応じて公表することは法令上決められている。論文指導、研究指導においてその点は注意して欲しい。
国立国会図書館・木目沢さん
- 1. 「やむを得ない事由」があるとき、抜き刷りを送っていいか、あるいは掲載料を払ってOAに、というのはどうか
- 2. 紙のものは?
- 紙のまま、印刷物をNDLに送って下さい
- 3. データ提出後に出版することになったら取り下げられるか?
- 取り下げについてはいろいろなケースがあると思う。個別に検討する。原則として、NDLで受け入れてシステムで館内公開されたものはとりさげられないが、個別相談に応じる
- 4. PDF/A推奨とのことだが、普通のPDFでは? 紙からのスキャンは?
- PDF/Aは推奨。Macからだと作りにくいし、PDFに準拠していればOK。紙からのスキャンは、できればテキストデータ付が望ましいが、紙のスキャンでも受け入れる。
- 5. 収集論文の場合、「やむを得ない事由」があってネット公開しないものを来館者に見せる?
- 見せます。インターネット公開できなくても館内閲覧はできる。どうしても、閲覧自体を拒否したい場合は個別相談を。
- 6. 暗号化等の設定をしたらリポジトリからのハーベストに影響するか?
- 収集したファイルを利用したり長期保存に、暗号化されると支障が出る。できるだけそういう措置をしないで欲しい。どうしてもリポジトリではそういう措置をする場合は、処理をおこなっていないファイルを、送信システムで送ってほしい(min2-fly:つまり暗号化すると自動収集はされない)
- 7. 3つのコンテンツの扱い
- NDLとしての推奨方法はない。NDLは全文だけが欲しいが、他のデータも持って行って欲しいならまとめて登録しておいて
続いてフロアも含めた質問
- Q. インターネット公開の場合、著者版は認められるのか? また、学協会によってはオープンアクセスになっているのでリポジトリに入れなくても・・・という場合もあると思うが、それをインターネット公開にかえていいのか?
- Q. 「やむを得ない自由」で要旨しか出せないけど著者版なら全文出せる、とかいうときはどうするのか? あるいは、リポジトリの推進についても、CiNiiに載っているものを他にも公表するのか? 建前ではない話が色々出てくる。特に医学部は著者版がダメとなると6割くらいは雑誌論文そのままなので公開できなくなるし・・・
- A. 文科省・立松さん:著者版で学位を授与している?
- Q. 出版者版は版組もしているもの。著者版は、本文や図表があって、というように、ページ数が増えていて版組もないが内容は一緒、というようなもの。
- A. 文部科学省としては、博士の学位をどの論文で審査し授与したかの規定。そのため当該論文の公開を求めたい。著者版に対して学位を授与しているわけではないですよね? 学位を授与した対象論文を公開して下さい。
- Q. その場合、審査の場合は著者版かもしれないし出版者版かもしれない。著者版で審査したらそちらを出さないとおかしい、ということ?
- A. 状況によるが、学位審査をする場合、何でもって学位を与えたかが対外的にわかる形で公開してほしい。
- A. 京大・引原先生:医学系に難しい問題があるのはわかるが、著者版で学位を承認されたらそれでいい。学位を何で認めたかが重要な点。出版後に内容が変わっていようが著者版で学位を出したならそれを登録すればいい。「要約」というのは内容がわかるものであって要旨とは別。学位審査を終えた段階で出されたもの+要約+要旨が同時性を持っていないといけない。書き換えがあれば、それは改竄。
- 司会・富田さん:各大学が審査したもの、それを以って学位が与えられる。実際は色々あるだろうが、原則はそうなる。次に、OAにすでになっているものともう1度、というのは? リポジトリという点では意義があるが、先生方がわざわざお金を払ってOAにしたりしたものなら、もう一度リポジトリは厳しいと思うが・・・そこを形式的に縛ると先生方の協力が得られなくなるのでは? 運用がはじまってケースが増えてきたらまた検討を。
- Q. この制度を積極的に活用・実効性のあるものにしたいので7月に教員向けに説明会を行なう。その際に、この制度で博士論文をインターネットで公表することが、大学・著者にとって不利益をもたらさないこと、利益をもたらすことを示す必要がある。そこで、特許の関係で不安とよく言われるのだが、もう少しそこを詳しく。
- A. 引原先生:学位審査の課程で公表の審査会を行なうはず。その時点で、特許の30条規定にあたって「公開した」ことになる。なので、特許申請した段階で却下される。大学としては、学位審査の前に特許をとる必要がある。また、学位審査と特許は別なので、特許が心配ならそこは学位論文から外さないといけない。どうしても特許と学位審査を同時にやるなら、公開後6ヶ月以内に特許申請できるように知財担当部署に事前の連絡を。
- Q. メリットについて。インターネット公表すればアクセシビリティがあがるが、NDLには全ての情報が集まることになる。それをポータルのような形で公開しない?
- A. NII・前田さん:ポータルの要求はあったんだけど予算がつかなかった・・・
- Q. そもそもNIIには全部の情報いかないですよね? なら、なんらかの形で、NDLがどうせ集まってくる情報をなにか見せたりしないの?
- A. NDL・木目沢さん:そういうニーズは存じているので検討したい。
- Q. 知財に関して。自分の大学には複数大学連合の研究科があるのだが、学位申請した方の大学で博士論文を登録してリポジトリに公開すると思う。一方で、A大学とB大学の両方が関わっている研究に基づいて、両方の大学でリポジトリ登録することは可能? その場合、NDLはどうなる?
- Q. 京都大学の引原先生のお話の中でデータのタイムスタンプのことを考えていなかったのではっとしたのだが、junii2の改修で学位授与日が入るが、タイムスタンプというのは学位申請の時点かのように聞いた。授与日とイコールにならないはずで、申請日のメタデータも持ったほうがいい?
- A. 引原先生:微妙なことにお気づきになられた。本申請の段階でデータはいったん上がって中身は確定するはず。確定していないのは調査報告。申請後に調査報告が終わって評価が定まる。論文は申請時のまま。そこがグレーなのはわかっている。そうするとタイムスタンプはずれる。つまり誰かがeditingしていて、そこと学位審査は別。教務のプロセスとしては申請時に中身は確定し、学位を教授会で承認した時点ですべて確定する。以後の改竄はないはずなのだが、今までは曖昧だったことは知っている。
以下、やり取りがあまりかみあっていなかったようですが、質問の意図としては従来の規程(雑誌や図書の形で等で既に公表されているものは、学位取得後に再度、印刷・公表する必要はない)と、新規程(雑誌・図書の形で公表されていても(たとえ電子ジャーナルがあろうとも)、インターネットで学位授与機関の協力を得て公開されていないものは、学位取得後に学位授与機関の協力を得てインターネット公開するか、やむを得ない事由があるとして要約公表にするか)で制度の根本がだいぶ変わっていることの確認である、とのことでした(と、あとで聞きました)。
最後まで質問が尽きないまま、博論OA化に関する第2部は終了。
一番最後に書いた部分ひとつとってもこの先しばらくは解釈とか「こういう場合は?」とか議論・事例が尽きなさそうです。
それにしても、今回の参加者数や顔ぶれを見ても、この博論のリポジトリ公開義務化の話は、機関リポジトリが図書館業界の枠を超えて、日本の大学全体における認知度・その重要性への認識を高める好機だよなあと思ったり。
きっととんでもなく大変で今後ご苦労も多いことかと思いますが、ぜひ日本の大学図書館/リポジトリ担当の皆様にはここを好機とがんばっていただきたい・・・とか他人ごとのように言ってていいものでもなさそうですが。
本件でお手伝いできることってなんかあるのかな。
あ、博士論文をリポジトリに登録するとすごくアクセス数伸びますし、一般のかたのブログで引用されてたりもするので、コンテンツとしてすごく魅力的なのは間違いないです。
査読論文そのままでないにしても、多くの博論は論文を下敷きにしているわけなので、結果的にグリーンOAに近い状況も実現できるわけですし、それが今後ずっと登録され続けるとすると日本の機関リポジトリ、マジ半端ない。
あとは検索の手立てを何か用意出来れば・・・できれば既存の文献探索ツールの中に、それも日本でトップクラスで使われているやつの中に取り込んでくれるといいと思うんですけどね・・・(チラッ
さて、これにてOAサミット・主に機関リポジトリよりの部は終了。
午後は第4期に突入してスタイルも新たになったSPARC Japanセミナーですよ!
以下、次エントリへ。