かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

ず・ぼん12号「委託導入後の図書館の変化・働き方の変化 委託 図書館解体が進むのか 再生のきっかけになるのか」

ず・ぼん」は図書館とメディアの雑誌。
たまにしか出ないものの、割と頻繁に公共図書館の委託について触れている。
自分の専門は大学図書館の委託(専門ってもまだ学部生だけどな)なので公共とはちょっと畑が違うとは思いつつ、まあなんか関連あるだろうと思って書籍部にて購入。

しかし…前々から公共図書館の委託に関する論文読むたびに思ってたんだが、
大学図書館公共図書館で同じ「委託」という問題について扱うときのこの温度差はなんだろう?
大学図書館の場合、「重視しているサービスに専任職員を集中させて、その他の業務は業者にアウトソーシング」っていうのは私大を中心に受け入れられはじめていて、実際に委託化した図書館でも割と好意的に受け入れられることが多いんだけど、
公共図書館だと「委託=絶対受け入れられない!」みたいな論調が目立つ。
大学図書館では素直に受け入れられている業務の細分化についても、
「図書館の業務はすべてつながっていて、切り分けなどできない!」とか、
「誰でもできそうな貸出業務についても、それを通じて実際の利用者の傾向を見ることができる。委託によって専任職員がタッチしない業務ができるのは問題だ」とか。
あるいは、委託スタッフと職員の関係についても、
大学図書館だと「専任職員と委託スタッフが協力して作業にあたる方が業務は効率化できる」って論議が普通にされているんだけど、
公共図書館だと「委託スタッフに専任職員が直接指示を出すのは法律違反だ!」みたいな感じで論議が…いやまあ、実際法律違反なのかもしれんが…ううん…

まあ、「ず・ぼん」自体左翼を名乗っている雑誌だから当然なのかも知れないんだが、
全般に公共図書館系の著作物については昔の学生運動や左翼主義運動に近い空気を感じるんだよなあ…
それについて「ず・ぼん」編集部では編集後記の中で「昔はそういう活動をしていた人たちが図書館業界に入ってきて…」みたいな説明を試みてるんだが、本当にそれだけなのかな?

考えられる理由としては、こと委託についてはもともと公共図書館は目録・装備を書店に委託している図書館がほとんどで、ここからさらに委託するとなるとカウンターやレファレンスみたいなパブリックサービスに食い込んでくるのに対して、
大学図書館はまだ目録も自前なところがいくつかあって、委託についてもテクニカルサービスに留まる場合が多いから拒否感が薄いとか。

あるいは、先の貸出しの話なら、大学図書館なら貸出ログ全部とっといて貸出状況チェックするのは容易だし、そんなことしないでも選書の大半は教員がやっちゃってたり、もともと集書する分野が限られているからそんなに困らないのに対して、
公共図書館は扱う範囲がだだっ広いのに、プライバシーの観点からあんまりログとかとりたがらないから、貸出・返却時に利用者傾向を把握することが重視されているとか?

ほかにも理由はいくらでも考え付くな…
委託に限らず、そこら辺の図書館員の意識を館主別に分析とかするとけっこう面白いかもしれない。
今やってるテーマ片付いたら次はそっちやってみようかな…
まあいつ片付くとも限らないのだが…