かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

アウトソーシングの実務

安部 雅博(1953-). アウトソーシングの実務. 1999, (ISBN 4-495-55281-3)

いわゆる「花田理論」(業務への外部資源の活用を外注、派遣、コンサルタントアウトソーシングの4つに分ける考え方)に基づいてアウトソーシングの導入方法などについて書いた本。「アウトソーシング導入には戦略性が必要」という考え方で貫かれてるので、アウトソーシングそのものの説明以上に、導入する前に考えておかないといけない経営戦略や業務分析について書いているパートの方が長い。


特に興味を魅かれたのは

1.(理論上は)企業の業務でアウトソーシングできないものはない
2.アウトソーシングには全社的な視野から行うものと、部門単位で行うものの2種類がある。基本的に企業のアウトソーシングは前者であるべきで、後者はどうしても急を要する場合を除いて行うべきではない(部門単位でのアウトソーシングは全社的な経営戦略との矛盾や、他部門との整合性の問題を起こしやすい)。

の2点。
1.についてはインパクトの強さから。言われてみればそのとおりではあるんだが・・・製造部門や営業部門みたいなラインや、渉外みたいなスタッフ業務のコアにアウトソーシングを導入って割と度胸がいるよなあ。
2.は自分の専門から。大学図書館におけるアウトソーシングの大部分は、著者が「あまりやるべきではない」って言ってる部門単位のものなんじゃないかと思う。大学全体について考えた上でアウトソーシングを導入しているっていうケースは少ない。これって問題だよなあ・・・っていうのはまあ、随所で指摘されてることではあるんだが。


ちなみにこの本は大学図書館アウトソーシングについて(事例紹介以外で)書いた論文ではほぼ必ず参考文献になっている。
教科書的・導入的でわかりやすいから、ってのが大きいんだろう。
ほかにもいくつかアウトソーシングについて書かれた本を図書館で借りて読んでみて、一番参考にしたいと思ったものを一冊購入しようと思うんだが、とりあえずこいつはそれと別口で買っておいた方がいいかもなあ。