かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

『コア・コンピタンス経営』

コア・コンピタンス経営―大競争時代を勝ち抜く戦略

コア・コンピタンス経営―大競争時代を勝ち抜く戦略

コア・コンピタンスは図書館アウトソーシングに関する文献でも割とキーワードとして出てくるんだけど、いまいちよく意味がわからなかったので図書館で適当に借りてきて読んでみることに。
何気なく選んだんだが割と人気の本だったらしい。予約入ったから延長できなかったし・・・授業で指定でもされない限り、そんな現象めったにないのに。

結局、コア・コンピタンス=「他社には提供できないような利益を顧客にもたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体」ということらしい。
「長期的な視野を持ってコア・コンピタンスの発見と保持、そして発展に努力するとともに、それを製品やサービスの中でたくみに生かしていく方法を見つけなければいけない」
とかなんとかかんとか。ちなみに上記「」内は全部、巻末の訳者あとがきから抜粋。
短くまとめた説明なんてのはあとがき見りゃあわかる話なんだが、実際に本書で言いたいことを理解しようと思ったらちゃんと最初から最後まで読まないといけない。
要は、「大切なのはリストラ・リエンジニアリングで効率をあげることや、今の市場での占有度を高めることじゃなくて、未来に向けた競争に勝つこと。既存の市場の枠を超えた市場や、全く存在しない市場を自分で切り拓くことで、あとからその市場に入ってきたやつらよりも大きな利益を得ることができる。この未来に向けた競争に勝つために必要なのは、未来をイメージし、その未来へのイメージを誰よりも有利に展開し、最後にマーケットシェア獲得のための競争に勝つことだ」とか。
某芸専の暴君がコンピュータに関して新しい未来(まだ業務用のばかでかいのがうぃんうぃん言っていた頃に、「老若男女、みんな自分用のPC持ってて、それを簡単に使えるのがコンピュータってもんじゃね?」とか思いついてた)を考えて実現した人*1の話をしていたのを思い出した。本書の主旨もだいたいそんな感じ。
早いうちに新しい未来を思い描いて、それに向けて経営を進めてきた企業に後から勝つにはとんでもない経営資源がいる。で、そういう新しい未来を思い描いて実現するのは既存の市場の枠組みや方式だと参入機会のない、業界二番手以下の企業や新興企業である場合がほとんど。業界最大手は、これまで上手くいってたからといって今までのやり方に固執して、新しいことをしようという姿勢を失ったり、なかなか踏み出せなかったりする。だから、市場を支配していた大企業が全く新しい方式で挑んできた新興企業との競争に負ける現象がしばしば起こる(本書だとIBMとGE、CNN以外のテレビ局がよくやり玉にあがる。Canonコマツ、ホンダは大絶賛されてるが、「彼らもトップになって保守的になったら終わりだ」みたいに書かれてる)。
経営を考えるときに必要なのは過去の栄光を忘れて新しい未来を思い描くことだ、てことだろうか。
直接的に今の卒業研究に役立つ本じゃなかった反面、今後の研究活動とか生き方全般に対する大きな示唆を与えてくれる本ではあった。
ソフトカバー版、買おうかな。1冊手元に置いておきたい。

*1:アップルのジョブズだっけ? 違う気もする・・・あとで暴君に確認しよう