かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

ノルウェーの大学図書館が…

ノルウェーの大学図書館がブラックウェル社の電子ジャーナルを辞めた理由 | カレントアウェアネス・ポータル

カレントアウェアネスポータルは国立国会図書館が提供する、図書館に関する調査研究情報サイト。
カレントアウェアネス-Rは逐次更新されているんだが、割と更新時間が公務員が働いていてはいけないはずの時間だったりして不思議…残業? 自宅から更新とか?
たぶん図書館情報専門学群生の就職先としては最高峰に位置づけられる国立国会図書館だが、その運営体制とかってあんまり授業で扱わないんだよなあ・・・テーマがローカルすぎるからか? でもそういうのやっても面白いと思うんだけどな。


まあ国立国会図書館はさておき。
ノルウェーのでかい大学図書館(Bergen Univesity Library)が、Blackwell社との交渉が決裂して、Blackwell提供の電子ジャーナルが使えなくなってしまったそうな。
当面は文献複写で対応するらしいが・・・いやいやいや。
図書館員の手間もさることながら、利用者の手間がえらいことだよな。
便利さ的には
 電子ジャーナル > プリントジャーナル > 複写
って感じ。
今まで電子ジャーナルが使えたのに、いっきに複写まで利便性が落ちるのはきつかろうて。
しかもBlackwellと言えばElsevier、Springerと並ぶ大手中の大手なわけで・・・
雑誌の価格高騰がいくら深刻*1とはいっても、なんとか回避できる手はなかったもんかなあ。


海外の雑誌の場合、出版者が大手数社にほとんど占められていて、それぞれが電子ジャーナルのパッケージ販売(いくつかの雑誌をセット販売)に力を入れているもんだから、今回みたいに出版社まるまる交渉が決裂して、膨大なタイトル数の雑誌が読めなくなる、って現象が起こる。
まあその分、電子ジャーナル化がかなり進展してたり、Refworksとかのシステムに対応してたりと、サービスの質自体はかなりよろしいんだが。

その点、日本の学術情報流通は学会単位での雑誌出版が多いから、電子化もなかなか進まないしサービスもあんまりよくない反面、価格は安いし、購読やめるときだって雑誌ごとに契約切ることができるからノルウェーの場合みたいに一社との契約に失敗していくつも雑誌を読めなくなる、なんてことは起こらない。

どっちが良いのかって言われると俺は微妙なところだと思うんだが・・・
やっぱ日本の学術雑誌って使ってて不便なことに思うことが多いけど、一方で俺でも個人購読できる程度の値段に抑えられてるのは非常にありがたい。
海外の雑誌、それも電子ジャーナルは使ってて超便利だったりするけど、とてもじゃないが俺個人じゃ購読できないし、図書館だってえらい負担になっている。
はてさて、どうしたもんかね。


とりあえずBlackwellは俺には今のところ直接影響ないが、Elsevierとの契約切られたら俺の研究分野はえらいことになるので、筑波大は交渉決裂しないように頑張ってほしいところです。
あとはオープンアクセスとかの運動で雑誌の価格が下がるように祈るばかり・・・。
もしくは図書館の予算がめちゃめちゃ増えるとか?
あ、そういえばそっちの方向で攻めてる研究ってあんまりないな。
問題は金の出所だけど・・・自力で稼ぐか? 広告料とか? 夢はふくらむなあ・・・

*1:ちなみに知らない人は知らないと思うが、海外雑誌の価格高騰は割と洒落にならない。年間購読料が100万円の雑誌(特別厚いわけでも、特別内容が充実しているわけでもない、なんの変哲もない雑誌)とかざらにあったりする。高すぎるので買わない図書館が増える→出版社がますます価格を上げて売上減に対応→・・・というスパイラルを繰り返してて、一般に「シリアルズクライシス(雑誌の危機)と呼ばれる