かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

公共図書館に参考書・問題集をそろえることについて


なんか、4/22の日記(公共図書館における学生サポートとか - かたつむりは電子図書館の夢をみるか)で書いた「公共図書館に受験生とかの勉強用のスペース作って、ついでに学参とか問題集とか揃えて提供してみたらいいんじゃない?」という記事の、コメント欄が本文の2倍以上(もしかすっと3倍?)の長さになってきたので、ここらでいったん話の流れを整理してみたいと思った。
まあ整理するったってmin2-fly本人が「参考書・問題集置いちゃえゴーゴー!」積極派なので全然中立な感じではまとまってないと思うんだが。


特に話題になってるのはスペースの話じゃなくて参考書・問題集を置くことについて。
以下、要点のまとめ。

1.公共図書館で参考書・問題集を提供すること自体の是非について

懐疑的見解
  • 公共図書館の利用者は学生だけじゃないし、予算に限りもある
  • 個人では購入しかねる高価なものというならわかるが、それ以外までお膳立てがいるのか
  • まずは学校図書館で揃えるべき
肯定的見解
  • 「学生」にとらわれず利用者ニーズから考えるべき。資格がとりたいサラリーマンとか、学校に通っていない若者とかにもサービスの範囲は拡大しうる(「問題集・参考書」の範囲は受験問題集・参考書にとどまらない)
  • 「自分用の1冊」は個人で買うべきだろうが、それ以外の資料も見てみることは重要。でも全部買ってたらえらいことになる
  • 個々の学校図書館単位で十分な資料をそろえようとすると無理・無駄が出てくるし、学校図書館間の連携は現状あまり期待できない。また、学校に通っていない人へのサービス(前述)ができない

  

2.書き込み等マナー違反への対策が重要になるのでは?

対策案① 良く見えるところ(机の上など)や、資料ひとつひとつに書き込みしないような注意・呼びかけを貼る

利点
  • 「見えませんでした」「知りませんでした」という言い逃れはできなくなる
  • 大半のマナーある利用者にはたぶん有効
問題点
  • 一部の悪質な利用者には効果なし

対策案② 現場を押さえたら弁償などしかるべき処置を徹底。かつ、そのときの注意はバイトなどではなく責任ある立場の人がする

利点
  • 新しい資料を買う金が保障される
  • 「やっちゃいけないことなんだ」的な意識が芽生える(?)
  • バイトだと強く出られないところも責任ある立場(館長クラス? せめて課長)ならいける(はず)
問題点
  • そうは言ってもやる奴はやる

対策案③ 入退館管理ゲート/カメラ等を設置、荷物持ち込みの禁止など対策をとった上で、特に悪質な利用者については入館禁止にする

利点
  • BDSつけるなら資料の紛失も減る(鳥取県立が年間4桁⇒2桁まで減ったという情報あり)
  • 図書館内の治安も向上する(かもしれない)⇒同じく鳥取県立は警備員の配置が利用者に好評らしい
問題点
  • 金がかかる(たぶん実現不可能な図書館もたくさんある)
  • 一般の利用者まで減るかもしれない
  • モラルに十分訴えた上での最後の手段、とするべき

以上。
かなり端折った上、付け足してみたりもしたので「違うよ、全然違うよ」的な意見がある人はコメント欄にプリーズ。
もとの全文が見たい人は4/22の日記の方をご参照ください。


さて、まとめてみるとなんか肯定派も懐疑派も一理どころか二理・三理ありそうな感じ。
「参考書・問題集は学校図書館だろ!」ってのは実にもっともだと思う。
っつーか学校図書館レベルで完備できれば、学生にとってはそちらの方がありがたい場合が多いに決まってる。
俺も高校の頃は進路資料室においてあった「赤本」のお世話になりまくったしね。


ただ、ろーじーさんがおっしゃっていたように、サービスの対象を「学生」と限定するのではなくて「平日の日中以外の時間に/勉強するスペースと/参考書・問題集類を使いたい人」という風に考えると、資格をとりたいビジネスマンなんかも入ってくるわけで。
現状、そういう人向けの参考書や問題集も提供されていないとすると、これは学校図書館ではどうしようもないので公共図書館でなんとかしてほしい。
もちろん、自分が本格的に読み込む1冊は図書館で賄おうとせず自分で買うべきだとは思うが、それ以外の資料を見るときとか、そもそもどれが自分にあってそうかを探すときには図書館に置いてあると便利なんじゃないだろうか。
都市部なら紀伊国屋新宿本店ばりに参考書類揃ってるところもあるから「そこで探せよ」っていうこともできなくはないが、地方なんかで大型書店がないところだと、「図書館で参考書をいろいろ見る→アマゾンで買う」みたいなコンボが使えないと、中身を確かめて必要な資料を買うことさえ難しそうだし。


一方で学参についても、いくら学校図書館が整備されても使えない人はいるわけで。
一番多いのは浪人生とかね。
自分の卒業した高校の図書館が使わせてもらえればいいのかもしれないが、学校図書館のメインターゲットは在校生なんだからそうそう浪人生の面倒ばかりは見てられないだろう。
「予備校に通えよ」って意見もあるだろうが、予備校に通えるだけの財力がない人はどうすればいいのか、ということになる。
別に浪人生に限った話じゃなくて、大学入り直したい社会人だとか、高校通わないで大検で大学進学狙う人とか、学校図書館は使えないけど学参的なものにニーズを持つ人は割といるんじゃないだろうか。


そこら辺へのサポートを充実してみるのもひとつ、図書館の生き方としてありなんじゃないかとは思う。
よく海外だと「公共図書館で勉強して立ち上げた企業が成功しました」みたいな例が紹介されてるが、別に起業に限らず利用者がなにかを達成するためのサポートを図書館が与えてる、ってことなんじゃないかね?
なら資格取得とか大学合格のサポートなんかも視野に入れても良いんじゃないかね?


一方で書き込みの問題については・・・まあ、参考書・問題集に限らず頭が痛いところではある。
そもそも「書き込みが前提の問題集」なるものを作るからいけないっちゅう話でもあるんだが・・・
あー、でも数学なんかだと補助線とか、引きたくなるかもしれないなー・・・


ま、ひとつには「図書館の資料には書きこむな」ってことを徹底する、一方で「そもそも問題集には書きこむな、ノートに答え書いて繰り返し解けるようにしとけ」みたいな教育をする、っていう風にしないとなかなかモラル面からは抜本的には解決しないような気もする。
そうなると技術力に頼らざるを得ないわけだが、そっちはお金がかかるんだよねえ・・・
「書き込みは弁償、消せる書き込みなら自分で跡形もなく消すこと」の原理を徹底させるかわりに、ある程度の書き込みは諦めて、随時資料を更新し続ける、みたいな感じが実現できればよいのかもしれない。
書き込み現場をどう取り押さえるかはなんかうまいこと考えてもらいたいが、まあカメラか職員配置かどっちかだろうね。


うぉっと、「参考書・問題集懐疑派も一理、いや二理・三理ある」とか言っといて懐疑派擁護をほとんどしてないぞw
まあ仕方ない。
現状だと参考書・問題集ほとんど揃ってないわけだし、肯定派を盛り上げてかないと現状では肯定派が不利すぎる。
あと現実問題として、将来自分に子どもができたときとかに家計に余裕がなくても子どもに十分な教育を受けさせてあげたい。
自分の経験考えると学校で出来ることには限りがある(たぶん中学の授業受けてるだけじゃ志望校には入れなかったと思う)が、当時の俺ほど資金的に潤沢な環境下に子どもが置かれるとは限らないわけだし。
都市部の予備校とかだとある程度「できる」子はただで通わせてくれたりするが(「超難関○○大合格○名!」の大部分はこいつら)、まずそこで「できる」と認めてもらえるだけの学力を身につけるにはある程度の下地が必要で、そしてその下地の形成に公共図書館を頼ることができたら心強いなー、とか思う次第。


さ、これで4/22のコメント欄と同じかそれ以上の長さになったかな・・・?