かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

森博嗣、その後


前に著作権と図書館とかの話で言及した森博嗣のブログで、もろもろの反応に対するコメントがされていた。


http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/05/post_1159.php

5/8に古書の扱いと著作権について書いた。そんなに反響は多くはなかったものの、熱心なご意見を幾つかいただいた。感謝。補足の意味で、3点ほど改めて書く。既に過去に書いたことだが、要約して再度。
 1点め。僕が書いたことは、「こうあるべきでは?」という僕の意見である。現状が(たとえば法的に)どうなっているか、これまでどういった経緯があったのか、それらがどう解釈されているのか、という点に関心はない。そうではなく、僕が観察して、「ここがおかしい」と思ったから書いた。
 「こうするのが本来では?」という意見を出すと、「君は現状の規則について知らないのか?」と反論されることが(特に会議などで多く)ある。それに対しては毎回、「ええ、知りませんよ。べつに知りたいとも思いません。どういったかたちが理想か、という議論をしているのに、そんな知識が必要でしょうか?」と答えている。

いや、現状の規則がなんで制定されてるとか、これまでどういう経緯があってそうなってる、ってことを知らずに話しても同じところぐるぐる回ったり、すでに終わった議論蒸し返したりするだけで無駄じゃあ・・・
っつーか研究者なら先行文献とか読むだろ普通・・・


とか、いろいろ思うところはあるわけだが。
よくよく考えてみれば森博嗣は一介の研究者兼作家なわけで、著作権だの出版流通だのの研究してるわけじゃないんだよなー。
と、なると、素人が直観的に感想を述べたのに対して、普段からそういうことを考えてる連中が専門家的に反論するんだけど、全然論がかみ合わない・・・というよくある現象なのか、結局。
その場合、素人の先入観のない意見からなんか生産的な結果が生まれることもあるから、一概に批判するべきではないのかもしれない。


・・・まあ森博嗣の文体が偉そうすぎて素人くさくないのが鼻につくわけだが・・・芸風か? それなら仕方ない。


ただ、

 3点め、図書館や古書店の話をすると、「でも、それで読者は増える」とか「これで本が売れる効果もある」という反論があるのだが、読者を増やそうとか本を売ろうという話をしているのではない。「それでは古本業者は死活問題だ」という声もあるが、それもテーマではない。著作権を守るにはどうすべきか、という話をしている。読者を増やしたり、本を多く売ることが目的ならば、それはまた別の方法で解決すべきである。

ってあたりを見ると・・・えーと、結局どうして欲しいんだ、とか思うわけだが。
著作権って著作権者の(人格的な意味と経済的な意味での)利益を守るための権利だろ??
読者が増えて、本が売れることを取り締まってまで守るべき意義ってなんじゃらほい。
結果的に読者が増えたり、それで収入が増える効果が期待されるとしても図書館や古書店の存在を容認できないくらい、ただで読まれることが苦痛なのか??


よくわからん・・・放っておけばいいんだろうか・・・
放っておけばいいんだろうな。




(以下、追記)

>放っておけばいいんだろうな。
いやよくねえだろ、自分!
森博嗣のブログの記事がきっかけでそこかしこで色々話題が盛り上がったことは個人的にも非常に楽しかったし、立場ごとの見解がいろいろ出てて意義もあったんじゃないかと思うし。
著作権関係者と新古書店関係者と図書館系と森博嗣ファンか。
そーいう機会になりうるものをみすみす「ま、放っておくか」とかフィーリングでも言っちゃいかん。
猛省。
金の沈黙よりも銀の雄弁。