かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「復讐之手引」を図書館で閲覧できる論拠


ネタ元:http://hontohe.exblog.jp/5744443


これ見て「あるあるv」とか思ってるうちに思い出した話。
min2-flyが過去、図書館で借りた中でもっとも借りにくいと思った本が「復讐之手引」という、小説でもなんでもなくガチで延々、復讐の手法について載っている本。
「復讐」って言っても「嫌がらせ」みたいな些細なレベル(それでもかなりヤバいのばっかだった気もするけどな)から、殺人の手口まで詳細に解説しているというえげつない本で、実際にそれに掲載された手口を用いた事件まで発生したっていう曰くつきの代物。
ちなみにmin2-flyは別に復讐がしたくて借りたわけではなく、中学校の夏休みの自由研究に使うために借りただけだったんだが・・・いやー、今思い起こしてもなんであれを図書館に置いてたのかがさっぱりわからない・・・リクエストがあったんだろうか・・・「教育上よくない」なんてレベルじゃなかったと思うが・・・


ほかにも毒殺に関する解説の類とか、いろいろとヤバい本が図書館には置いてあった。
で、当時まだ純真だった(突っ込み不可)俺は「なんでこんな危ない本を図書館に置けるんだろう? これ見て事件とかが起こったらどうするつもりなんだ!」という風に思わず図書館に「チャレンジ」*1してしまいそうになったんだが、しばらく考えるうちに図書館にそういう本が置かれることは理にかなっていることに気づいた。

  1. 確かに、「復讐之手引」みたいな殺人解説書(「こんな手口があるけど使っちゃだめですよ」とすら書いてない。「いじめられて自殺するくらいならいじめっ子を殺せ!」って書いてある)を広く普及させると、実際にそれを用いた事件が起こったりして危険かも知れない。
  2. しかし、もし図書館に置かないでも、出版されてしまった以上はそれらの本が入手可能であるということで、買って読んだ人がこの手法を用いて殺人を行おうとした場合、買って読めない人は事前にとりうる防御策をその本に書かれた「情報(あるいは知識)」がないためにとれず、「復讐之手引」を読んでいればとりえた防御策をとれないために殺されてしまうかも知れない。
  3. そもそも「出版された」ということはその中で書かれた殺人法について既に知っている奴がいるわけで、もしそうした本が出版・頒布されないとしたら、殺人法に関する知識を独占している奴にこれを実行された場合、知識のないものは防御策がとれないことになってしまう。
  4. 以上をまとめると、殺人法に関する知識を広めることは確かにそれが用いられる危険が増すものの、この知識を広めず一部の者に独占させた場合には「実行されたら防げない」という新たな危険が生じる。どちらを優先するかは難しいところではあるが、現に知っているものがいる以上は知識を広く頒布し防衛策をとりうる状態を保証する方が好ましいのかもしれない。ゆえに情報へのアクセスを保証する機関である図書館は、「復讐之手引」などの使い方によっては危険な資料についても提供する必要が出てくる。


・・・まるで銃を認める社会と認めない社会みたいな殺伐とした話(銃があるから銃を使われるが、銃がないと銃やその他の暴力から身を守れない)だが・・・


まあ銃は社会に持ち込ませない、っていう選択肢が取りうるが(いや実際はやくざさんとかが持ってるけどさ(汗))、情報についてのそれは難しい(中国とか頑張ってるけどね。はいはい検閲削除、検閲削除)以上、頒布させて陳腐化した方が賢明な気はしてくるよなー。


・・・いや、実際本当のところどっちが安全かは知らないけどね・・・
復讐之手引に書かれてる手法なんて防御不能な奴多いし。
それでも知らないよりは知ってる方がマシではあるが。


復讐之手引―恨みを晴らすための実践的方法

復讐之手引―恨みを晴らすための実践的方法

*1:アメリカとかで図書館に置くことに苦情が寄せられた本とかを"challenged book"とかいう。ちなみに去年、一番チャレンジされたのは子育てをした同性愛者のペンギンカップルを題材にした絵本