かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

日本図書館情報学会誌vol.53, no.2


届いたのにずっと読んでなかった日本図書館情報学会誌のvol.53, no.2をバイト先(プール)の受付で読む。
ちなみに今日の実質客数は1人。
のどかだ。


個人的に一番面白かったのは気谷陽子さん(筑波大学附属図書館/図書館情報メディア研究科)の"「学術情報システム」の総体としての蔵書における未所蔵図書の発生"。
NACSIS-CATやNACSIS-ILLの加盟館全部をあたっても研究に必要な図書がない場合があるという、直観的にわかるんだけど実際どうなのかわかってなかったようなところを突く研究。


筑波大学で1999年に学位認定された博士論文の引用文献について、それらがNACSIS-CAT等でヒットするかを確認し、未所蔵/所蔵と出版地・出版者・出版年・分野との関連についてロジスティック回帰分析を試みる・・・という手法がとられている。
出版地(日本・英米・欧州大陸・その他)や出版年、出版者(出版「社」か学会とかか政府機関か大学か)で未所蔵/所蔵が変わるだろうことはまあなんとなくわかるんだが。
分野については割と・・・というか個人的にかなり意外な結果が出ていた。
人文科学と社会科学でそんなに差が出るものか・・・うむむむむ。


REFORM等もそうだけど、こういう実証的な研究って、感覚的にわかってたことの裏付けがとれたり、逆に感覚的な理解と異なる意外な結果が返ってきたりして、読んでて楽しい。


それにしても、やっぱ図書についても必要なものがNACSIS-ILL使っても手に入らないことってけっこうあるんだね。
まあ元から大学図書館の所蔵になじまなさそうなものも混じっているらしいのでそこは差し引いて考える必要がありそうだが。
未所蔵図書を引用した人はどうやって入手したんだろう・・・買ったのかな・・・うーん・・・