かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

SPARC Japan連続セミナー2007 第1回:「計量書誌学からジャーナル・論文のパフォーマンスを測る-2-」


NIIで開催されたSPARC Japanの連続セミナーに行ってきました。
国際学術情報流通基盤整備事業


しかし7/12のThomsonサイエンティフィックセミナーといい、最近ビブリオメトリックスづいてるな自分。


講演者はオーストラリア国立大学のリンダ・バトラー先生と、エルゼビア・ジャパンの足立泰さん。
バトラー先生はオーストラリアで来年から実施される予定の研究評価の枠組み(RQF)*1に如何にビブリオメトリックスが取り入れられているか、という話をされていた。
各分野の特性に配慮することを重要視されていて、例えばコンピュータサイエンスでは雑誌掲載論文だけでなくカンファレンスでの発表なんかも評価に組み入れられたり、人文・社会分野では本や本の一つの章なども単位に含んで引用関係を測ったり、ということをする予定だという。
かつ、一つの指標だけを示すのではなく、いくつかの指標を組み合わせて評価をしていくという・・・


質疑の際に千葉大の土屋先生もおっしゃってたが、すごい手間がかかりそうな評価方法だなあ(汗)
えらいコストがかかるだろうことも承知の上である、とのことで、「研究活動を正当に評価する」って本当、大変だよなあ・・・。


しかし学位授与機構なんかを見てても思うところであるのだが、ピア・レビューは研究の基本とは言え、この手の研究評価を各分野の研究者コミュニティが中心になって行うのって研究者への負担がとんでもないことになってやしないか。
職分が上がれば上がるほどその手の手間にさいなまれるのは評価に限ったことではないが、優秀な研究者が研究に専念できないことって勿体ないような・・・。


・・・研究評価を専門に請け負う集団とか構成したら儲からないかな・・・難しいか・・・?




エルゼビア・ジャパンの足立さんの方はエルゼビアのデータベースであるScopusを研究動向や研究活動分析どう活かせるか、という話をされていた。
データベースを研究評価に生かすって言うとThomson(ISI)のWeb of Scienceあたりがよく出てくるところであるが、Scopusの方でも色々要望があって実装しているらしい。
企業・機関・政府向けに生データを販売するサービスも始めたとかで、値段の方は・・・どうなんじゃろ?
個人的には拍子抜けするほど安かったが(それでも俺の生活費数年分にはなる)、一般的な価値観からすると高いと思うのやも知れん。
会場の反応を見る限り、図書館情報学関係者はあと2桁は高い可能性があると踏んでたみたいだが。


Web of Scienceの方は厳選することに重きを置いているデータベースである一方、Scopusは収録範囲の拡大に意欲的なので、住み分けはうまくいくんだろう、きっと。
しかし場にThomson社員さんやオープンアクセス運動関係者もいる中での講演は異様な緊張感があったような・・・気のせい? 気のせい?


こちらも盛んに繰り返されていたことだが、エルゼビア社内には計量書誌学の専門的な研究部門はないたしい。
データは提供できるが分析は・・・ってことで、まあこれはThomsonさんの方とも通じるところであるような。
・・・やっぱ、研究評価とか動向分析とかを専門にやる業者立ちあげたら儲かんねーかな・・・ある程度業績が伸びたところでどっちかに買収してもらって足抜けしたら一生安泰なんじゃ・・・妄想?

*1:もっとも、今度のオーストラリアの選挙で現政権が敗れるとどうなるかわからないそうだ