かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

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「DDD 2」


DDD 2 (講談社BOX)

DDD 2 (講談社BOX)


来たよ来たよ来ましたよ、奈須きのこ小説最新作、「DDD」の続刊が!
表紙からして今まで見覚えのない人で「すわ何事か・・・?!」と思ったが、中身を読んで「奈須が○○を書いてる?!」とさらに驚愕した次第。
なにこの抜群の季節感。
夏の青春と言えばやはりそれなのかー。
でも所詮は奈須、熱く綺麗なだけのお話などは望むべくもないのであった。
いいんです、DDDにそんなもの求めるだけ無駄なことは第1話がファウストに載った頃から百も承知。
むしろ奈須の小説にあんな挿絵が掲載されるようなシーンがあっただけでも奇跡ではないかとかなんとか。


以下、ネタばれがふんだんにあるので注意。

  • S. VS. S. 1-2

「DDD 1」の書き下ろし短編でちょこっと出てきたキリスが本格的に活躍する話。
ねじくりまがった青春スポーツストーリーでもあるが、奈須に書かせれば球児たちの夢も血みどろの殺戮劇になるのであったー。
どんだけ「殺し愛」なのよ、と。

  • フォウマルハウト

奈須きのこ全作品史上最強馬鹿、日守秋生登場!(いや、実際の登場はS. VS. S.だけど)。
ネタパート/日常パートやファンディスクでのはっちゃけっぷりならいくらでもアホな子はいたと思うが、ガチの殺害シーンでここまでお馬鹿さんをさらけ出してくれる○○○はあまりに可愛すぎてああもう大好きだ。
見た目も格好良ければ実際かなり強いのに、格好いいあだ名がないことや格好いい名乗りを挙げられないことについて真剣に恥じらったり、キマれば格好よくなるシーンをさっぱりキメられないあたりの好感度はもはや異常です。
どんな理由があって○○○やってるのか明らかになるのが楽しみだなー。
あと、なにげに所在が頼りになるセンスあるキャラとして扱われてるのは本当にその通りだと思う。
「一を聞いて十を知って五くらい聞かなかったことにしてくれる」って、本当にすげえいい奴だな。
・・・いい奴、かな?

  • 最後の短編(タイトル忘れた。Vt in day・・・???)

「石杖火鉈、いっきまーす!」な超短編
17歳とは思えないグラマラスな成長っぷりと石杖所在最強の敵としての恐ろしいまでの成長っぷりはこの子に対抗できる手段とか本当にあるんですか、って感じ。
あと何気に対戦相手みんなに二つ名をつけていることに関する兄からのツッコミが痛々しい。
ラストページのおまけを見る限りいちいち対戦スコアまで付けていたようだし・・・カナタさん、中二病っすか・・・?
リアル邪鬼眼使いカナタ!
ただしこいつの邪鬼眼はガチで発動できる上に最初っから最後まで発動しっぱなし、みたいな!


そんなこんなで、「S. VS. S.」の裏で暗躍していた自称悪魔も含めると、「出そろった」とまでは言わないまでもかなり役者が揃ってきた感のある「DDD」。
1巻の段階では次々と出てくるA異常症患者にその都度アリカが対峙する、「空の境界」みたいなバックに一本ストーリーの通った勝ち抜き戦になるのかと思いきや・・・
日守秋生の登場と彼が追ってる「ハートレス」の存在とか、「D」ランクの上の「E」ランクについてカナタが拘泥しているらしい様子とかが見えたことで、いっきに「Fate」みたいな群像バトルロイヤル劇風味を帯びてきました!
ややもすれば「設定厨」と言われるくらい端役キャラにまで細かい設定を振る奈須きのこ、キャラが増えれば増えるほど文筆家ではなくゲームマスターとしての真髄が発揮されるのではないかと多いに期待。
月姫」「空の境界」「Fate」世界観以外の奈須きのこワールドに期待するところ大なのです。


あと、今回の「DDD 2」で明らかになったのは、奈須は厨くささを厨くさいことを理解した上であえて用いてるんだなー、ってこと。
格好いい二つ名や名乗りを求める日守に対してアリカが最近の流行りじゃないとか苦言を呈してみたり、地の文で「80年代のセンス」って評してみたり。
カナタが片っぱしからA異常症患者に二つ名を付与していることについても「それをやっていいのは15歳が限界」的なことを言ってたりして、あからさまに中二病扱い。
「あー、やっぱこいつ全部わかってやってるのなー」って言うのが今回ですっきりはっきり。
一方で「シンカー」、「スクリュー」などの変化球を「どんな怪人だよ!」と評して興奮してみたり。
まさに現代の男の子(青年男子)。
石杖所在の今後の言動から目が離せない!
やっぱカナタにリアルに突っ込んでフルボッコにされたりしてくれるんだろうか?!