かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「丸善ライブラリーニュース」が復刊だそうで

丸善ライブラリーニュース」は、昭和33(1958)年に創刊した図書館関係者の皆様にご愛顧いただいた図書館に関する総合情報リーフレットです。18年の休刊期間を経て平成20(2008)年に復刊させていただくこととなりました。
今後、最新の事例・情報をご提供することはもちろん、知識創造の伸展と学ぶ力を育てることへお役にたつよう心がけてまいります


18年間の休刊、と言うことで当年とって22の自分は休刊以前ものを読んだことは当然なく。
以前の「丸善ライブラリーニュース」がどんなだったかもわからないわけですが・・・でも今回、2008年からの復刊に寄せて発行された「丸善ライブラリーニュース 号外」を見る限りでは、かなり刺激的で面白い媒体になりそうな予感。
初っ端、表紙に掲載された代表取締役社長の言葉を除けば号外最初の記事にあたるのが土屋俊先生の「図書館のこれから」と題した記事なのだが。
「土屋先生にしては大人しいタイトルだなあ・・・」と思ったら、その冒頭でいきなり

話題は「図書館のこれから」についてであって、「これからの図書館」ではない。
(略)
つまり、すでに達成済みの使命を持つ図書館が、これからも存在し続けるのかということが問われるべき疑問であり、「これからの図書館」の存在が自明だと考えることは許されない。

とおっしゃっていたり。
こいつは凄い。
なにがすごいって、「ライブラリーニュース」の名を持つメディアの復刊に向けた号外で、トップバッターの記事にこれを持ってくるってことは、「丸善ライブラリーニュース」は単に最新情報を伝えるだけの媒体に留まるつもりは端からない、ってことの表明とも受け取れる。
土屋先生の記事の末尾は、

かつてこの媒体は最新知識、先端事例の窓口として図書館関係者へ寄与したと思われるが、先端情報はインターネット経由で直接皆が入手できる今、そのような啓蒙はもはや不要であり、将来を展望して議論するためにこそ、コミュニティの共有物として貴重な媒体となることを期待したい。

と締めくくられているのだけど、この号外をざっと眺めた限り、本当にこの「丸善ライブラリーニュース」にはそうした議論の場、コミュニティの意見交換の場としての役割を期待したくなるものがあるし、期待できるのではないかと思えてくる。
続く東京都立中央図書館吉田直樹さんの記事(「図書館のRFID(ICタグ)」)も単なる紹介記事ではなくてこの先の議論を煽っていこう、と言う感じがあるし。

ACADEMIC RESOURCE GUIDEの岡本真さんのPORTAに関する記事(「5年の歳月が育んだもの −荒野の日々を超えて」)も、PORTAの機能紹介だけでなく(むしろ機能紹介部分はごく一部)ブログ界隈のリアクション*1やPORTAがもたらすだろう影響(技術的な意味ではなくトップランナーとしての存在感として)、PORTA実現の影にあったであろう個人や組織の話にまで言及していて、まさに議論の材料となりうるものであると同時にすでに実際の議論としても機能しているように思える。


っつーか、普通に雑誌として読んでいて興味深いし面白い。
このクオリティで今後も無料でweb配信していくなら読まないわけにはいかないだろう、って感じ。
贅沢をいえばテキスト形式でも提供して貰えるとなお嬉しいなあ、とか思わないでもないが・・・PDFでweb上で読めるだけでも国内の図書館系メディアとしてはめっけもんだし、まあそこら辺はおいおいでも。


しかし・・・面白すぎて今夜は早寝するつもりだったのに、ついつい読んじゃった上にエントリまで書いてしまったじゃないか・・・
明日はつくばくんだりから図書館総合展のあるパシフィコ横浜みなとみらい駅周辺)まで行くために早起きしないといけないのだが、大丈夫かなあ・・・(汗)

*1:自分のエントリ(やりやがった、NDL - かたつむりは電子図書館の夢をみるか)についても言及されていてびっくりした。