かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「図書館情報学検定試験」にチャレンジ!


先日の日本図書館情報学会春季研究集会で根本彰先生らが発表されていた、「図書館情報学検定試験(2007年準備版)」。


その実際に行われた試験の問題と解説が、下記のサイトで公開されています。


っていうことで、「我こそは図書館情報学の徒なり」と思いながらも検定試験会場になっていなかったためにまだ試験を受けられたことのない図書館系の方はLet's challenge!
問題は全て5肢択一形式の24問、制限時間は60分とのこと。
実際の試験はマークシートで行われたとのことですが、自分でやるときにはメモでもなんでもとれば良いのではないかと。
残念ながら問題用紙のみではなく問題・解説・解答が一体となった形式で公開されていますが、1問1ページで問題文がページ先頭に書いてあるので、うまいこと解説や解答を隠しながら進めて行って下さい。
2007年に10大学の図書館関係の授業で実施した際の解答分布なども合わせて記載されているので、自分の間違った問題がどれくらいの正答率なのかを知ることも出来ます。
ちなみに平均正答数は13.7、正当率57.1%とのこと。
図書館情報学系の学部所属者は平均正答数17.48で他に比べかなり高め。
また司書への就職希望者の平均正答数は「強く希望する」人15.50、「希望する」人13.83。*1


では、以下はmin2-flyの解答結果と全体の傾向のレビューに入るので、自分で問題にチャレンジしてみたい人は続きは挑戦し終わってからお読み下さいー(あえて「続きを隠す」記法はしないよ)。

























min2-flyの解答結果

  • 所要解答時間:17分
  • 正答数:22/24
  • 間違った問題
  • 問6 「次のなかでブラウジングに関する記述として、正しいのはどれか」

 正解は3の「特にこれといった目的はなく,新着雑誌の記事を拾い読みした。」
 自分の回答は4「引用文献の書誌データを知りたいので,雑誌文献データベースで調べた。」
 ・・・いや、マークではなくメモでやっててまさかやらないだろうとは思っていたのだが、やらかしましたマークミス(汗)
 間違いようのない問題を痛恨のケアレスミスで落として1点減点。
 ちなみに平均正答率は66.7%.

  • 問17 精度と再現率に関する問題。

 大方の予想通り精度と再現率を取り違えた・・・わけではなく、そもそも「精度」の計算をなんか変に間違って覚えていた。
 これはどうしようもなく1点減点。
 ちなみに平均正答率は45.5%.


・・・うう、なんか非常に恥ずかしい間違いをやらかしてしまった・・・orz
それでも図書館情報学系の平均正答数17.48に対し自分の正答数22ならまあ、落第点扱いはされずに済むのではないかと思いたい・・・
むしろ序盤の法整備に関する問題群の方が難しく感じたのだが、そっちは案外あっていた。
あとさすがに外部委託関係の問題を間違えなかったのは助かった気分。
しかしいずれにせよ「精度」を間違ったのは痛恨なので反省して今度はきちんと覚えよう。


2007年試験の解答者(10大学の図書館関連授業受講者等、549名)全体の傾向について、先日の春季研究集会で配られた問題によれば、もっとも正答率が低かったのは問1「日本の公立図書館政策」、29.0%。
"「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の大臣告示"、"「図書館法」の制定"、"『市民の図書館』の出版"、"『中小都市における公共図書館の運営』の発表"の4つの出来事を年代順に並べる問題で、解答分布をみるとほとんどの回答者が「図書館法の制定」、「中小レポート」、「市民の図書館」がこの順であることはわかったんだけれど、「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」がどこに入るのかがわからなかった模様。
正解は、"「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の大臣告示"がされたのは2001年と一番最近の出来事。
よく考えればわかるとはいえ、なかなかに難しい問題だねこいつは。


次に正答率が低かったのは問9「FRBR」、30.1%。
FRBRに関する正しい説明を選択肢中から選ぶ問題。
これはさあ・・・自分だって割と学会でよく出てくる話だし、Next-Lで取り入れてたりLC書誌コントロールの将来で話題になったりしているから知ってるってだけで、図書館情報学系でも知らない人がたくさんいるのは無理もないだろうよ・・・。
名前は聞いたことあってもFRBRがどんなものかまでは知らない、とか普通にありそうだし。
むしろ正解した30.1%が凄いと思う。
・・・たまたま情報組織化系の授業でやった大学があった、とかいうオチではあるまいな??


3番目に正当率が低かったのは問2「ランガナータンの思想」、30.2%。
選択肢の中から「図書館学の五法則」に当てはまるものを選ぶ、と言う問題なのだが・・・え、これの正答率こんなに低いの(汗)
ちなみに正解は「5. 図書館は,利用者の時間を節約できるようなサービスを提供すべきである。」で、これはランガナータンの第4法則(「図書館利用者の時間を節約せよ。」)に該当*2
誤答で最も多かったのは「2.図書館は,貧しい人々が自ら学ぶことができる貧者の学校となるべきである。」で解答者の30.4%、正答より多い数の人間がこれを選んでいる。
みんな設問中の「インドの図書館学者」って記述に惑わされたのかなあ・・・ランガナータンの5法則はある種の理想ではあるけれど、そういう「図書館は弱い者の味方だ!」みたいな理想とは全然ベクトルのことなる理想を掲げているあたりが面白いと言うか有用である(そこら辺はバックランドとかアーカートとかにも通じそう)と思うのだが。
最近は授業でランガナータンとか習わないのか知らん。


そんなこんなで、まあ自分の知識の再点検の役にも立ちそうな図書館情報学検定試験。
来年度以降も継続して実施されるようであれば、所属大学で試験がある人は受けて見ると自宅でやるより緊張感があって良いかもー。


・・・そういえば、Shizukuのid:milkyaは会場で実際に受けられたそうだけれど(http://d.hatena.ne.jp/milkya/20071030/1193772314)、結果はどうだったんだろうか・・・

*1:ただし「まったく希望しない」人は14.28なので、単に学年が上がって進路が固まってる連中は成績が良いのかも

*2:余談だが自分は5法則の中でこれが一番好きです。