かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

レファレンス・サービスを促す図書館施設計画について考えよう


世の大多数の大学をしり目に、筑波大学は早くも夏休みに入りました。*1
夏休みに入った、と言うことは裏を返せば試験があったということで、M1であるところの自分も『図書館施設計画論』という授業1科目だけでしたが試験がありました。
論述式で4題、持ち込み可とは言えなかなかヘヴィな試験だったのですが、その中の問題の一つが今回のエントリのタイトル。
実際はもっと細かい背景とかも説明されていたのですが・・・まあ、要は「これからの図書館像」にあるような「レファレンス・サービスの(充実と)促進」を実現するための図書館施設について考えよう、と言うものでした。
で、まあもうテストも終わったし、特にこの問題について言及するなとも言われなかったので、テスト時間の半分を1問につぎ込んだ自分の労をねぎらう意味も込めて自分の回答についてwebにアップします。
いわば公開答え合わせ。
自分も100%書いた内容を覚えているわけではないので、ところどころ実際の回答とは異なるかも知れませんが・・・そこら辺は請、御容赦。
あと、本来ならどう考えたって文献の引用等をしながら語るべき問題と思いますが、今回はテスト時間中の回答であったことを考えて引用等は一切ナシでお送りしたいと思います。
つまるところはまさに「戯言」エントリ、ってことで。


さて。
レファレンス・サービスを促し「課題解決型の図書館」(ここでは公立図書館に限定する)を実現する上で必要な要素は複数あると考えられるが、自分は最も重要な要素の一つはPCを操作できる環境の整備である、と考える。
現代において「作業を行う」≒「PCを使う」ことであり、調べものが必要となる作業を行うにはPC使用環境が不可欠である。
よって図書館内にPCを使用する環境がない場合、自宅・オフィスなどで作業を行い、レファレンス・サービスが必要な場合に来館することになるが、このモデルではある課題が解決した後、作業を続ける中で新たにレファレンスへの需要が生まれた場合、再び来館するコストがかかる、ということになる。
これに対し館内にPC使用環境がある場合、作業を進めながらレファレンス需要が生まれるたびに随時レファレンス・サービスを利用する、と言うことが可能になり、往復のコストがかからないことからレファレンス・サービスの利用が促進されるのではないか、と考えられる*2
よって、レファレンス・サービスを促す図書館施設には来館者が作業を行うに十分なだけのPC環境(デスクトップまたは持ち込みのラップトップを利用できるデスクなど。もちろん、LAN環境の整備も含む)が必要であると言える。


次にPC環境のレイアウトであるが、ここで重要になるのは(従来の図書館施設計画に見られたような)PC使用環境と図書館資料を「分けて」配置するべきではない、と言う点である。
先に述べたとおりPCはもはや「情報源」としてではなく、作業を行うのに必須のツールである、と捉えるべきであり、その使用環境と資料を分断することは資料を用いる作業を阻害することとなる。
NDC9番台(文学)等、作業に直接関わらない可能性の高い資料とは距離をとっても良いかも知れないが、少なくともレファレンス資料足り得る参考図書や郷土資料、また新聞・雑誌等とPC使用環境は距離が近いことが望ましい*3
また、レファレンス・デスクについてはこれらの作業環境に隣接している方がレファレンス・サービスを促すと考えられる。
作業環境とレファレンス・デスクが離れている場合、作業場から長距離を移動する必要があるため移動コストから質問が行われにくくなるが、距離が近い場合には逆に気軽な質問を促すだろう。
出来れば作業環境から手を挙げてレファレンス・ライブラリアンを呼べる程度の距離感が望ましいが、これはPCスペースの大きさによっては大声を出す必要があるため難しいかもしれない。


また、新聞・雑誌スペースとPC作業スペースが隣接しているべきである、と言う先の条件から考えると、新聞・雑誌スペースは入口付近にあった方が利用されやすいであろうことと併せて、PC作業スペースは1階(入口階)に配置されるべきと考えられる。
以上を踏まえると、レファレンス・サービスを促す図書館施設のレイアウトとしては以下のような配置が考えられる。

・・・自分、画力ねぇーっ。
(別にペイントだから下手なわけでなく実際のテストに書いて出した絵もこんなレベルでした)


なんか頑張って理論書いても絵がさっぱりだと説得力が全く感じられない好例であった。
っていうか今気付いたけどこの配置、どこにカウンター置くんだよ。
PCの捉え方も別に新しくないっていうか、新千代田区立とかこんな感じっぽいしなあ・・・
っていうか書き終わって気付いたがこれまんまラーニング・コモンズだな。
ってことは、この配置でレファレンスデスク置くと、たぶんクイックレファレンスが激増するんだろうなー。
「すいません、このソフトの使い方なんですけど・・・」とか。
「PCの調子が悪くて・・・」とか。
件数増やすだけならいいんだろうが、さてはて・・・まあ、レファレンス・サービスを施設で促す、ってのもなかなか・・・さてはて・・・


要は、レファレンス・サービス促したいなら、図書館の中で作業を行える環境を整えようよ、ってだけの話なんだけどね、自分がしたのは。
・・・単位来るといいなー・・・

*1:もちろん、早い分だけ早く終わるんだぜ。しかも春休みは他の大学より短いから、長期休暇の合計もこっちのが全然短いんだぜ

*2:断るまでもないかも知れないけれど、ここではオンライン・レファレンスは考えない。施設計画語れって言われているのにオンライン持ち出すと・・・なことになるし(苦笑)

*3:出来れば館内全部でラップトップ使えればいいと思うが、それだと施設計画を語れないのでここでは考えない