かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

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第4回DRFワークショップ「日本の機関リポジトリとそのテーマ2008」 (1)事例発表 −いくつかの進行中のリポジトリ (図書館総合展1/10未満レビュー? その4)


もう図書館総合展が終わって1週間経ってしまいましたが・・・(苦笑)
いよいよ自分が2日目に参加したDRF4の発表資料が公開されたので、随時レビューしていきたいと思います。


いきなり全部レビューするととんでもなく長くなりそうなので、まずは第1部「いくつかの進行中のリポジトリ」について&その前に行われた北大・逸見館長のお話から。



北海道大学附属図書館・逸見館長のお話

    • 1.コンテンツの数と質
    • 2.利用実態の把握
      • 利用者には学生もいる・・・教育との結びつき
    • 3.研究者の理解
    • 4.リポジトリの担い手
    • 5.NIIの助成からどう自立するか
      • 財源
        • 図書館が財務とどうやりあうか=理解を得るか
      • 大学の中の図書館の機能について理解を得るか?
        • 自分の言葉で話せるか?
  • min2-flyコメント
    • 最初にこの後で話される内容についてを予感させる(予告的な?)お話があってその後の話がかなりわかりやすくなったんじゃないかと思う。
    • NII助成からの自立については真剣に考えておかないと。これだけ大々的にやって、研究者の理解と協力を求めておいて、どっかで財源を失って立ち消えにでもなろうものなら大学図書館は研究者の信頼を恒久的に失いそうで怖い。



事例発表 −いくつかの進行中のリポジトリ


http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?DRF4より抜粋・転載。発表資料も同ページで公開)。

    • 雑誌掲載論文の収集についての具体的な話
      • JAISTでは収集方針の見直しで平成20年の7月から登録される雑誌論文数が倍増(246件⇒559件)。
      • さらに現在では昨年度末の3倍(730件)に。2月末には4倍を目指す。
    • コンテンツ増加の要因・・・「(教員の)業績データベースに載っているものは、オプトアウトでリポジトリに自動的に登録する」方針
      • 学長、研究科長、理事等の承認を得た
    • 出版社の許諾条件に合わせて出版社を分類、論文集集
    • 質疑
      • 業績データベース自体にはみんなすぐ登録するの?
        • 前年度のものを集めて登録している。(前年度のものなら)ほとんどの先生が入力しているはず。
      • データベースの更新は図書館でチェックしている?
        • 年に1回、前年度のものを見ている。
      • オプトアウト方式を通知した際の教員の反応は?
        • 反発はない。実際にオプトアウトをした人は1人だけで、その人はリポジトリのことをよく知っていて自分でコントロールしたい人だった。
      • JAISTの例は出版社からの応答の例として使っていい?
        • 同じ雑誌ならOKだろうが、出版社に論文リストを出してほしいとか細かい条件もあるので実際に聞いてみて。
  • なぜ、コンテンツ登録数が伸びたのか(大阪教育大・谷口さん)
    • 特別なことは一切していない
    • 協力的な教員への説明会
    • 教員への個別説明
      • 話が盛り上がって、30分の予定が2時間になることも
    • 説明会で許諾確認リストを一斉配布、合意を得る
    • 紀要+教員から寄せられた雑誌論文も追加
    • 平成20年度は学内刊行物と科研費報告も
      • 学内刊行物のうち10タイトルは複写が特に多いもの
      • 科研費報告については研究協力課との連携
    • 「図書館と教員の良好な関係」
    • 色々あって現在は登録作業が追い付かないくらい
    • 質疑
      • 現状を維持する上での不安は?
      • それがわからないのが不安。アクセスログが消失してしまったときとか。技術的な知識がないのも不安。
      • 何か(ログ消失の)他に失敗ってある?
        • はじめのころ、業者がPDFの画像を150dpiでやっていたことがあった。業者もわかっていなかった。
      • 業者をこちらが育成する視点もいる?
        • 業者にもわからないことがある。
      • 協力的な教員って最初からわかるの?
        • 個人的な声掛けから。3〜4人から。
    • iLisSURFという電子図書館のソフトで機関リポジトリを運営。
      • DSpaceでもE-printsでもない。
      • 最初は紀要公開のシステムだった。
    • (もともと図書館システムと連動した電子図書館ソフトなので)リポジトリOPACと連携
      • OPACから検索できる
        • 本と登録論文を一括で探せる
        • リポジトリ側にもリンクがある
      • 図書館業務システムとも連携
    • パッケージソフトなので他(DSpaceだのE-printsだの入れてるところ)と情報交換できないのがつらい
    • 2010年に図書館システムのリプレイス・・・「どうしよう?」
    • 質疑
      • 紀要のための教員用データシートとか今もある?
        • 今も使っている。
      • 公開しないコンテンツは持ってすらいない?
        • 公開しないコンテンツはPDFファイル自体図書館で持たない。
      • リポジトリのメンテナンスは図書館システムと一緒? 対応してもらえるメリットはありそうだが、リース代が高くつかない?
        • 当然、別々の方が安いと思う。単独で入れるならiLisSURFはナイ。が、一つのシステムで(図書館システムからリポジトリまで)全部やりたいならあり。
  • min2-flyコメント
    • 北陸先端の話は、「コンテンツ収集の方策」ってことでさらっと紹介しているけど、学長や理事等の承認を得たオプトアウト方式(オプトアウトしなければ自動でリポジトリに登録することに)って、見方によっては「義務化」って言葉を使っていないだけで"Institutional mandate"(所属機関による登録義務化)なのでは・・・。ハーバード大学のMandate方針とかだってオプトアウトはできたはずだし。
    • 間にワンクッション(業績データベース)が入っていることをどう考えるかが問題か。業績DBへの登録の義務化の程度によってはガチでInstitutional mandateに近いものになると思う。
    • いっそ関係各位の許可とって基本義務、ってことにしちゃってROARに"Institututional mandate"ってことで登録しちゃえばどうか。日本にmandate方針が一つもないのもいい加減、さびしいし。
    • ってことでJAISTがやっているだけでも凄いのに、このあと閉会の際の北大・逸見館長のお話の中で「北大でも真似したい」という話があったり。北大規模でこれやったら普通にえらいこっちゃで。マジ実現してほしい。
    • 大阪教育大の「図書館と教員の良好な関係」という話は重要。最初の逸見館長のお話でも「研究者の理解」や「図書館の機能についての理解」という点が指摘されていたけど、リポジトリの活動で研究者とのつなぎを作れたならそれを活かしていかないことには勿体なさすぎる。リポジトリのためにってだけでなく、大学全体にとっての益に出来るはず。




JAISTの取り組みについてやたら言及したのは本気で「これはやべぇwww なんで誰もそこにもっとガンガン突っ込んでいかないんだwww」と思ったから、と言うことで。
Institutional mandateは機関リポジトリのコンテンツ収集における切り札だよね。
「義務化」ってところが重要と言うよりは「オプトアウトで断られない限りは自動で登録していける」ってところが大きくて、要は教員はリポジトリに反対であるとかではなくいちいち自分で登録したり許諾取ったりファイル探したりが面倒って話であるので(爆)、出版社版使ってOKな論文とかについてはいちいち先生に許諾取らなくてもどんどん登録してってOKってことになればそりゃ論文数伸びるよね。


そんなこんなで個人的に大興奮しつつ午前の部は終了。
午後のテーマ別ディスカッション、ショートコミュニケーション&横浜宣言についてはまた次回。