「ラーニング・コモンズの本質:ICT時代における情報リテラシー/オープン教育を実現する基盤施設としての図書館」(名古屋大学附属図書館研究開発室 第35回オープンレクチャー)
現在名古屋遠征中。
ってことで今日は山形大学の米澤誠さんによる、標記のご講演を聞きに行ってきました!
日時:2009年3月16日(月) 18:00〜19:15
講師:米澤 誠(山形大学・学術情報基盤センターユニット・ユニット長)
タイトル:ラーニング・コモンズ(LC)の本質
場所:中央図書館5階多目的室
概要:自主的学習の場・新たな教育の場・学生の生活の場という3つの観点から、LCの意義を考察する。そして、LCの本質は,ICT時代における情報リテラシー(あるいはオープン教育)を実現するためのインフラであることを明らかにする。
以下、ご講演を聞きながら特に気になった部分の覚え書き。
例によって自分の気になったところについての記憶に基づくメモなので、その点はご了承願います。
- ラーニング・コモンズ論の3つの観点:
- 教育のオープン化
- 学生の自主的学習の場
- 大学における生活の場
- 教育のオープン化
- 自主的学習の場としてのLC
- 主として取り上げられることの多い議論
- 各種議論の紹介(自分の昔の原稿*1も取り上げられていて恐縮したり)
- 神田外語大学の事例紹介
- SACLA:Self-Access, Communication, Learner Autonomy
- ワークシート型の自習教材:(許可を得て)英語学習用に本を裁断して必要なところだけ使えるようにした教材を提供したり
- レベルに応じた自習教材の提供
- ラーニング・アドバイザーのオフィス:英語のための教員が常駐、ガラス張りでいるかどうか見える、WBでアポ取りできる・・・来た人が聞きたいことを聞ける
- ラウンジでラーニング・アドバイザーと気軽に英会話できる/英語しか使っちゃいけないフロアー
- モジュール教材:自分の学習等を記録するシート/担当教員による添削/英語の学習方法の基礎を身につける
- 英語教育以外にも応用できる?
- 学生の生活の場の必要性と生活の場としてのLC
- ラーニング・コモンズの構成要素
- 決まったモデルはない
- 「その大学の学生の教育・学習・生活を支援するものならラーニング・コモンズと言っていい」
- 情報リテラシーとの関係
- 得られた知見のまとめ:
- 図書館の世界から、大学の教育へと目を向ける
- 従来の図書館員の領域を超えて大学教育に貢献する意欲
- 大学職員の中でも図書館員は能力が高い。もっと活躍する場面を作るべき。
etc...
お聞きしていて大変刺激的と言うか、ちょうど自分が情報リテラシーっぽい教材作成とかに絡むことになったこともあって、大変参考になるお話が多く助かりました。
終了後には米澤さんのご厚意で図々しく懇親会にお邪魔した後、一緒に飲みにも行かせていただきそこでも色々とお話できてこちらも刺激的&楽しかったです(米澤さん、本当にありがとうございましたm(_ _)m)
学校教育/学校図書館での実践例とからめて考える、という発想が自分には完全に抜けていたのですが、言われてみればラーニング・コモンズで目指そうとしていることを(ところによってはずっと前から)取組み始めている例としてはそちらは大変参考になるところが多いですよね・・・基礎的なリテラシーを学ぶ場としては大学よりかなり長い時間を過ごすところでもあるわけですし。
教育のオープン化、自主的学習の支援、生活の場、という3つの観点からのラーニング・コモンズ論のまとめもこれまで自分がともすればごちゃごちゃにして考えがちだったりするところがすっきりとまとめられていて、すっと落ちてくる感じがしました。
今月末には名古屋大学附属図書館研究年報で米澤さんの原稿も掲載されるとのことですので、そちらも楽しみにお待ちしたいと思います。
・・・しかし・・・あらためて、ラーニング・コモンズって図書館にまるでとどまらない、高等教育とかもっと広く教育全般に関わる話ですよね・・・
米澤さんも高等教育を専門にされている方との協調の重要性について終了後にお話しした際に触れられていましたが、これはやっぱ図書館だけでどうこうってものではなく、大学全体を巻き込んで・・・と、まさに最後のまとめにあったことを強く感じたご講演でした。
さて、次は18日に開催される(ネット上にあまり情報あがってない?)名古屋大学の『ラーニング・コモンズ』フォーラムへの参加を予定。
3/17は・・・出先に持ってきた原稿をやりつつ、有名であるところの名古屋の喫茶店に入ってみたり、とか・・・?