かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

ジャーナリズムはPLoS ONEがお好き? -朝日新聞編-

先日、スペイン・ハプスブルク家における近親婚についての論文が掲載されて話題を集めていた*1オープンアクセス雑誌、PLoS ONEですが。
その前には世界最速カビ論文*2なんかも掲載されて話題を集めたり、あと最近だと利用に基づくサイエンスマップ*3の論文もネット上で大いに注目を集めていました。


そんなメディア露出の激しいPLoS ONEのブログで先日こんなエントリが。

中身全然読まないでタイトルだけで思わずうなずきそうになる説得力。
PLoS ONEという雑誌は査読の方法が独特(方法と解釈が妥当なら載せる方針とか。ゆえに迅速)なこととオープンアクセス雑誌(読者は誰でもただで読める。購読料でなく投稿料でペイするモデル)なこと、かつPLoSシリーズの中では特殊な位置づけ(査読体制と掲載論文数がめちゃめちゃ多いこと、基本的に科学論文なら分野問わずなんでもあり)にあることから、「ゴミ捨て場になるのでは?」との懸念が聞かれることもあるのですが*4
一方で査読論文としての扱いが整うとともに、研究成果をいち早く発表できるということで、今回のスペイン・ハプスブルク家論文や世界最速カビ論文、サイエンスマップ論文みたいな人目をひきつけるような研究成果も多く、メディアへの露出もなかなか激しい部類に入るのでは・・・という感じもします。


しかしこいつはあくまで感覚。
実証を旨として生きる(本当か?)図書館情報学者の卵としては、「で、実際のところ多いんかね、メディア露出?」ってことを確かめてみねばなるまい・・・!!!


ってことでなんかいろいろタスクがたまっていたにも関わらずちまちま調べてみました。
本当なら色々なメディアでの露出を比較してみるべきでしょうが、さしあたり手元に網羅的な検索ツールがあったのが筑波大学で契約している朝日新聞のデータベース「聞蔵?」だったので、今回は朝日新聞における著名学術誌の露出度(出現頻度)を見てみることに。
期間は最近出てきたPLoS ONEに配慮して過去1年間とします。
検索語は色々試してみて該当雑誌が一番出ると判断した語をそれぞれ使用、「著名誌」の選出基準は感覚です。


では、以下調査結果。

    • 表. 2008.4.22-2009.4.22の期間中における朝日新聞(朝刊・夕刊含む)への主要学術雑誌の出現頻度
雑誌名 出現頻度
Science 71
Nature 61
PNAS(アメリカ科学アカデミー紀要) 41
CELL 4
LANCET 4
JACS(アメリカ化学会誌) 3
Physical Review Letters 2
PLoS ONE 12


おおおー、やっぱ多いなPLoS ONE!
Science、Nature(ちなみに姉妹誌は全て除く)、PNASに次いでこの中では4番目の出現頻度*5
この中で唯一JCR2007でインパクトファクターのついてない雑誌としてはかなりの健闘っぷり・・・と言うか、トップ3誌以外は業界内で有名でも雑誌名はめったに出してもらえないところが多い中でのこれはなかなか面白い結果ですね・・・
上位はどれも分野を限らない雑誌群なので、やっぱ特定分野に拠らず人が食いつきそうな論文を掲載しているとマスメディアの食いつきがいいんでしょうか。
2ちゃんねるのPLoS Oneスレで「Nature or PLoS ONE」なんてフレーズも出てましたが*6あながち間違いでもないのかも、と思ったり。
Natureも人目を引くような論文が大好物のはずですが、Natureで駄目だった場合の次・・・に速攻で出せるところとして(独力で話題性を作れると考えるのであれば)PLoS ONE、って選択肢は(もちろん最初からPLoS ONEの方がさらに速いですが)メディア露出=一般受けの意味ではありなのかもなー、とかなんとか。


・・・まずは投稿する論文を書けって話ですが・・・(苦笑)