「国会図書館のサービスを使おう」「学術情報サービスCiNiiとその周辺」(Wikimedia Conference Japan 2013参加記録その2)
ひき続いてWCJ2013参加記録ですよ!
Wikimedia Conference Japan 2013 (WCJ2013) では、各種催しを企画しています。基調講演にはウィキメディア財団のJay Walsh(ジェイ・ウォルシュ/Head of Communications, Wikimedia Foundation)、知の構造化センターの吉見俊哉(知の構造化センター副センター長/東京大学大学院情報学環 教授)両氏をお迎えします。
このほかの講演などについては講演概要とタイムテーブルを参照ください。ウィキペディア執筆への様々な取り組み、ウィキペディア研究、執筆ワークショップ、写真教室などを検討中です。
はやいときははやいが遅いときはとても遅い、それがかたつむり〜クオリティ。
とかそんな言い訳(にもなっていない)はさておき。
午後の最初の休憩まではB会場、Wikipedian向けにNDLやCiNii等の便利なツールの使い方を紹介するセッションに潜り込んでいます。
発表者が原田隆史先生と大向一輝先生なので、個人的にはなんという身内感・・・ですが、そのお二人がWikipedian向けにどんなお話をされるのか、という点で興味があってB会場に来てみました。
以下、当日の記録です。
例によって例のごとくあくまでmin2-flyの聞き取れた/理解できた/書き取れた範囲での内容であり、ご利用の際はその点、ご理解いただければ幸いです。原田先生はスピードもはやいですし取りこぼしも多いかと思いますが、請う御容赦(汗)
誤字脱字・事実誤認等お気づきの点があれば、コメント等でご指摘いただければ助かりますm(_ _)m
「国会図書館のサービスを使おう」(原田隆史先生、同志社大学/国立国会図書館)
- タイトルがプログラムと変わっているけど中身は一緒!
- 自己紹介と趣旨:
- 同志社大学教員 兼 国会図書館非常勤調査員
- このテーマで話して、という依頼が来たのは国会図書館サーチを作るお手伝いをしていたため
- その最初に、国会図書館の検索サービスを使っている、あるいは使う予定の人々、あるいは対象となる職種の方に集まっていただき、どう思っているかを聞いた
- その際に、15回、毎回10数人、人を集めてやった。大学生、高校
性生、マニアっぽい人々・・・ - その結果を活かす形で国会図書館サーチを作った
- そこでお話を聞いた際に、「呼ばれて仕方ないので国会図書館のページを見てみたが、予想もしない機能があったり、知らないサービスがのっていることに気づいた。それを広報しないといけない、と言われた
- 国会図書館の予想以上に、サービスが知られていない。結果として使われない
- 何をしているかだけでも構わないので20分紹介して、と言われたので今日、話す
- 目新しい話ではない。国会図書館のサービスに詳しい方なら知っている話ばかりかも? 御容赦ください
- 来館者向けサービス:
- 基本的に本は書庫に入っている。コンピュータで検索してカウンターで出してもらう+コピーしたいときは複写カウンターへ
- 納本した本の書誌を作成・提供・・・デジタル化/外国機関との提供も
オンラインサービス:今日の中心テーマ
- 立法情報:国会会議録・法令検索サービス
- 様々な調査資料・外国立法情報等を公開
- 国会の会議検索システム
- 帝国議会会議録(明治〜昭和22)を探せるhttp://teikokugikai-i.ndl.go.jp/
- 国会会議録検索システム(昭和22〜)http://kokkai.ndl.go.jp/
- 日本法令索引http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/
- 調べ方案内:
- リサーチ・ナビhttp://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/
- どうやって探すか、探し方を教えてくれる
- 資料の種類/テーマ別/画像・・・探し方の情報を公開
- webで公開されているデータベースのナビ(Dnavi)も!
- リサーチ・ナビhttp://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/
-
- レファレンス協同データベースhttp://crd.ndl.go.jp/jp/public/
- 図書館のレファレンスサービスの記録を国会図書館が収集・探せるように公開
- 登録数10万件。億単位のQ&Aサイトには劣るが、資料の裏付けがある結果が示されている点で面白いはず
- レファレンス協同データベースhttp://crd.ndl.go.jp/jp/public/
- 電子図書館:資料のデジタル化とweb上での提供
- 古典籍・明治期の本などをデジタル化してwebで公開している
- 明治以前のものと明治以降(近代デジタルライブラリー)http://kindai.ndl.go.jp/
-
- インターネット資料の保存・収集
- webページ等のうち、公共機関のものを集めて、更新前のものとあわせて保存
- Internet Archiveは世界を集めている/日本の一部をNDLが集めている
- IAのブリュースター・ケールさんとも連絡を取っていて、日本の分のwebページは貰っても要るのだが、今は公開できない
- インターネット資料の保存・収集
- 電子展示会:資料をまとめて提供http://www.ndl.go.jp/jp/gallery/
- 最新は昨年12月公開の「江戸の数学」
- 東日本大震災アーカイブ(開発版):震災に関する資料を集めて、日本中の震災アーカイブのメタデータも集めて、統合検索を実現
- 3月公開予定。タイムラインや写真集合等を見られるようにしているので公開されたら見てみて!
- 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ):国会図書館、都道府県図書館、日本中のデジタル資源提供機関等の統合検索サービス
- ぜひ、使ってください!
「学術情報サービスCiNiiとその周辺」(大向一輝先生、国立情報学研究所)
- 国立情報学研究所(NII):
- NIIの学術情報サービス:
- 研究に使う資料を集めたり、取りまとめて検索できるようにしたり、本物のデータを提供したりしている
- おおむね提供物は4種類:
- 論文情報
- 大学図書館が何を持っているかの目録情報
- 研究者が研究費を取ってきた、その報告書のデータベース・・・日本でどんな研究が盛んかを俯瞰できる
- 大学が個々で持っている、自分の成果・・・それを色々情報を集めて提供している
- 今日のメインは論文の話:
- 論文をネット上で検索・入手できるサービス。2005年くらいから開始
- それ以前は、インターネットではないだけで、端末からの検索はできた
- それをwebにあげて、検索だけなら誰でもできるようにしたのが最近。今はGoogleなどからも探せるように
- 連携しながら情報入手を良くしようと頑張ってきた
- 現在は月間2,000万アクセスくらい
- 今や大学生はCiNiiを見ないで卒論を書くことはない。「卒論請負サービス」とも呼んでいるが、研究資料のダイレクトな提供に役だっている
- CiNii Articles(論文検索/本の検索はBooks)に入っているもの・・・
- 400万件あるうち、本当に誰でも読めるのは45%、200万弱くらい
- そうでない、定額アクセスのもの・・・同じくらい
- 誰でも有料のもの・・・10%くらい
- つまり誰でも200万くらい、大学にいれば380万くらいは誰でも無料で読める
- CiNii Books:
- 全国の大学図書館が持っている本の情報を検索できる
- NDLとの違い・・・日本の本だけではなく海外の本がかなりを占める一方、漫画等の大学にないものはない
実際のデモ
- 検索機能は奥が深い・・・研究でちゃんと使う際にはなんらかの基準で探せる事が重要
- CiNiiの特徴・・・ほぼ全ての分野を網羅している
- 色んなプラットフォームがあるが、まんべんなく持っているのは少ない。代替サービスはない
- 多様性を知るために、なんでもかんでもCiNiiに入れてみるのも手だが・・・
- おすすめ:論文ったー:Twitterのバズワードを検索・提示
- http://twitter.com/ronbuntter
- 今だと節分関連の論文/ちょっと前だとアイドル関連で丸刈り論文が多かった
- こういうのもウォッチしているとけっこう面白い
- おすすめ:論文ったー:Twitterのバズワードを検索・提示
- 他にも・・・高校生向けのCiNiiを使ったサービスなどの例も:
- APIによって機会可読な情報を提供しているからでもある
- CiNiiの限界:がんばってはいるが究極的に素晴らしいものとも言えない
- 収集したものしか表示できない・・・「この分野でうちが扱っていない学会がどこか」はリストしていないので、抜けているものがありうる
- ない学会についてはまず学会の方に「CiNiiに載せろ!」といって欲しい
- そもそも電子化を嫌っているところもけっこう、まだまだある
- 査読有/無の区別がシステムではできていない・・・専門分野の人には常識でも、そうでない人には正しい情報か否かはわからない
- 被引用の数字等も見つつ?
- 究極的に論文の正しさはわからないので、注意を
- 国内論文限定・・・分野によってはそもそも日本語文献がないところも
- Bio等。文献そのものが英語でしかないといくら探してもひっかからない
- 英語論文についても興味を持ったらチャレンジを!
- 人文科学系なら日本語しかないことも多いので、こちらに
- Google Scholarがあるから、という人もいるが・・・
- 論文をそこだけで探せるサービス、というのはな。Google Scholarも、CiNiiのデータが欲しい、と言ってくる。それがないとPDFファイルが論文かどうかすら判定できない。出版社・学会が作っている論文リストがあるからGoogle ScholarやMicrosoft Academic Searchが動いている。あれがあれば論文が探せる、わけではない
- 収集したものしか表示できない・・・「この分野でうちが扱っていない学会がどこか」はリストしていないので、抜けているものがありうる
- 最後に:
- まだまだやらないといけないことはいっぱい・・・400万でもまだまだ足りない
- 逆に・・・デジタルしかない論文/誰でも簡単に作って自分でアップできるようになって、ひとところに論文が集まらない。どうする?
- 会議録・・・分野によっては、特に情報系では雑誌より国際会議の方がいいが、そこの収集・管理もがんばらないと
- リコメンデーション・・・読み切れないので、日本語論文を読んだ人に「この英語論文も」とか
- 電子ジャーナル・電子ブックへのナビゲーション
- 定額アクセスできる人を増やしたい・・・普通の人でもいくらか払えばCiNii論文読み放題、にすることが、知識世界に貢献する方法かと思う
- まだまだやらないといけないことはいっぱい・・・400万でもまだまだ足りない
質疑
- Q. いつも使っているんだが、ダウンロードできないものが多い。読みたいと思っても、けっこう欲しい論文がない。有名なものは手に入るが、手に入れたいものが手に入らない。すぐ欲しいときに、今後、NIIで学会に提供を求めていくことはされる?
- Q. CiNiiの検索履歴からリコメンデーションを行なう、というようなことができるとおもしろいと思うが、そういうのは考えている?
- A. パーソナライズドサービスはやるかやらないか。やるならお金がかかるので、どれくらいならやっていいか悩んでいる。また、CiNiiの論文だけが論文ではないので・・・最近注力しているのは、文献管理サービスになるべく1クリックで登録できるようにしつつ、そっちの方でリコメンデーションしてもらって・・・どう考えてもCiNiiのデータでないとできないことがあれば、そこは僕らがやる。分担したい
Wikipedia・・・に限らず何をする際にも便利なサービス(群)×2の紹介セッション。
にしても、あらためて列挙するとNDLのサービス群の多いこと・・・
CiNiiについてはこれですね:"ない学会についてはまず学会の方に「CiNiiに載せろ!」といって欲しい"。
探してみるとけっこうCiNiiに載ってない雑誌も多いわけですが、CiNiiに直接言うよりは学会に言って、学会側がCiNiiに載せないと・・・と思ってくれるように働きかけるほうが良い、と。
この次と、さらにその次の時間は、自分の発表前後だったこともあって取れていなかったり(汗)
次はけっこう飛んだ時間のA会場のセッション、ですが、さて、すぐアップできるかどうか・・・。