かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

Googleが発見した10の事実とその嘘と利用者側の見地と

ネタ元:http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/tenthings.html
     http://openblog.meblog.biz/article/62790.html


別にここにあげられた10の事実をGoogleが発見したかどうかとか、そんなことにはあんまり興味はないんだが・・・

Openブログの方の、

「自分では知識を作成しないのに、他人の作成した知識を利用して、あたかもそれを自分の知識であるかのように扱う」
 一種の「知識泥棒」のようなものである。他人の知識の上にあぐらをかいて、自分ばかりが儲けている。そこには他人の作成した知識に対する「敬意」というものがない。
 その典型が、Google による「図書館情報の蓄積」だ。図書館にある情報を読み取り、それを自社のデータバンクに貯め込んで、世界中でいつでも好きなときに図書館情報を読み取れるようにする、という。(読売新聞・朝刊 2007-03-11 。英「フィナンシャル・タイムズ」の社説から。)
 なるほど、こうすれば、利用者は大喜びだろう。無料で本の読み放題なのだから。しかし、著者は大損だ。本が売れなくなり、いくら知識を作成しても、正当な対価を得られなくなる。 Winny と同様である。著作権をないがしろにして、著作者を虐待し、そのことで、将来の著作物の発生を阻害する。──こういう破廉恥なことができるのは、他人の作成した知識に対する「敬意」というものがないからだ。

っていうあたりが、見逃しきれない。
そもそも現段階で、著作権が生きてる本についてはBook Searchで全文提供してないし、数ページ見れるのですら著作権者の許可がある奴だけのはず。
っつーかOpenブログが貼ってるリンク先にそう明記してある。
初期の段階ではGoogle確かに暴走しすぎちゃった感はあったが、それはGoogle Printの時代の話で、今現在ではちゃんと著作権へも配慮を見せている。


さらに言えば、実際のところはBook Searchでフルテキスト検索が可能になったことで10年以上前の本の売れ行きが伸びた、なんて話もある(Google Book Searchへの参加で10年以上前の刊行本が売れるようになる? | カレントアウェアネス・ポータル)。
結局のところGoogle Book Searchの導入は著作権者にとっても有益だった、ってことで。
そりゃあ自分の本がより目につきやすくなった上に、検索した本をweb上で即購入できるようなプラットフォームまで提供して貰えたら有益に決まってるがな。


もちろん、Googleは別に皆の利益のためにやってるわけじゃなくて、自分らの広告収入のためにやっているわけでが、しかしそれはGoogle自ら認めているところである。
Googleに恐ろしさがあるとすれば、それは「誰かを食い物にして自分らが儲ける」なんてありきたりなことをやっているところではなく、「自分たちは善人だ」みたいなことをいって人をだましているところでもなく、そもそもが「Googleのやることはだいたい正しい」っていう風に世の中自体の価値観を作りかえつつあるところの方だろう。
もちろんGoogle八分の問題とかはあるにせよ、それって直接的に損害を受けるわけじゃない(Google以外のサーチエンジンが普及していれば受け得たかも知れない利益が失われるだけで、法的にGoogleを訴えられるような積極的な損害じゃない)し、そもそもそういうことを言う立場の奴すら今やGoogle抜きだと情報行動ができないか非常にしづらいような環境にあるわけで。
不利益をこうむってそうな奴はいないわけではないんだろうけど見えづらくて、利益を被ってる奴はいくらでも目に見える。
積極的に楯つくような理由はないし、楯ついてどうなるもんでもない。
基本的には放っておいてもどんどんwebを便利なものにしていくだけなんだし。


ま、それで気づいてみたらGoogleにほとんど世界が征服されていた、なんてことになるのかも知れないが・・・
ま、それはそれで、案外と楽しい世界かも知れないし。
映画「デモリションマン」に出てくる未来人の生活(秩序とコンピュータで情動面まで含めてほとんど管理されている)よりは幾分マシなんじゃないだろうかとか思ってみたり。