かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

論文を読むのに金がかかる件


ネタ元:http://d.hatena.ne.jp/drillhands/20070623/1182614189


コメント欄・ブクマコメントをあわせてみることで面白さn倍増。
草の根オープンアクセス?
しかし大学院生にもあまり知られてないとは本当に知名度低いのなオープンアクセス運動・・・


コメント欄でもブクマコメントでも言われているが、論文閲覧に金がかかることと知識の囲い込みによる大学の権威づけとは直接的には関係ない。
確かに昔の学者は知識の囲い込みによって権威を保ってた面もあるんだろうが、それは大学の授業で金を取ることのコンテクストだろう。
論文出版については、昔は手紙などでやりとりしていた学者同士の情報交換が、研究者の数の増加やら成果の増加やらでおっつかなくなって、出版技術の進歩ともあいまって間に商業出版を挟んで行われるようになった・・・っていうような感じではなかったかと思う*1
だから基本的にこの枠組みでは大学にも研究者にも金は入らないし、論文閲覧に(っていうか学術的な出版物の利用に)金がかかること自体、本来ならば不本意な話。
ネタ元では「一論文500〜1000円」って話だけど、海外の学術雑誌の購読料とかものによっては桁狂ってるからね*2
で、研究者自身の間からも「なんかおかしいだろー」って言ってオープンアクセス運動に・・・というような話は、ここ近年の大学図書館業界では特にホットなトピックなわけだが。
まあとにかく研究者も別に素人を排斥したいわけではなく、むしろ本当なら閲覧無料にして皆に見てもらえるに越したことはない、というのが本音である・・・はず*3


と、以上すべて商業出版社が出版している雑誌であれば当てはまる話なわけだが。
学会誌、それも国内学会誌となると、ネタ元で言われるような批判も最もではないかと思う。
まあ学会のほとんど唯一の財源であると言われればわからんでもないんだが・・・
最新タイトルはともかく、バックナンバーは電子化して無料公開しても罰あたらんよなあ*4
あとは機関リポジトリなどの個々の大学/図書館/研究者の取り組みにも期待大。
ネタ元みたいな意見がたくさん出てくれば機関リポジトリの構築・発展の動機づけにもなるよね!
・・・そして広報も。
図書館情報専門学群やら知識情報・図書館学類、否、下手すれば図書館情報メディア研究科の院生でも「機関リポジトリ? なんですかそれ?」な人がいる(新入生については某授業のおかげで知らない人はいなくなったと思うが)現状を思えば、一般での認知度が計り知れないくらいに低いことは予想済みではあるわけだが・・・
もっとも、別に「機関リポジトリ」知らなくてもリポジトリに入ってるレコードがGoogleで検索できるようになってれば論文の利用自体はできるわけか。
・・・それが著者最終版だったりする場合には、そのことをどうやって知らせるか、みたいな問題も出てくるけど。


ま、いずれにせよ「論文読むのに金がかかる」のは大学側の都合ではなく、基本的には出版コストの問題であり。
それについては、なんとかしようとしてる人もたくさんいるんだよー、ということでひとつ。
なんとかなるのかはわからんが。
最大の問題は大概の研究者の無関心?

*1:手紙(個人⇒個人)から論文(個人⇒マス)にメディアが変化したことによるその後の研究慣行の変化とか、そこら辺つっつくと面白いんだが、今回は本題から外れるのでパス

*2:前にも言った気がするが、年うん10万円なんて雑誌もあったり。ぺらぺらなのに。

*3:いや、本当の本音は「まあ俺は別にどうでもいいけどね」な気もするが。それを言ったらおしまいである。

*4:現にそういうことしてる学会もけっこうあるとも思うが。数は調べてないからわからないけど