かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

図書館情報学はどこにある?


「理想のOPAC」に関するライブラリー・アカデミー*1受講生の皆さんのブログから発展して、丸山高弘さんがエントリを書かれていますが。
本筋とあんまり関係ないところでちょっと気になったことが。

図書館情報学は、コンピュータがなくても資料や情報を組織化できることを証明しているにもかかわらず、その対象を「書籍」に限定してしまったことに、大きな不幸を感じている。資料組織論等は、図書館以外でも十分に利活用可能なのだが...残念ながら図書館の学術的分野にいらっしゃる方々は、そういう広がりを考えようとはしていない。もちろん過去にはアプローチもあったのだろうが、学会的業界的には異端的扱いなのだ。

「理想のOPAC」を考察するにあたり : 丸山高弘の日々是電網 The First.


・・・??
むしろここ最近の図書館情報学って対象を書籍から拡大しまくっているというか、メタデータ関連だと対象をリソース一般に広げて日々Dublin CoreとかFRBRとかRDFとかの話をばりばりしている集団だと思っていたんですが・・・あれ、もしかして自分の周囲が自分を含めて全般的に異端??


まあ実際には自分が異端と言うことはなく、「図書館情報学」としてくくられている分野が、割と早期から学際性を売りにしてきているだけあってやってるテーマによって発表場所が分散していて全体像が把握しづらい、ってことなのかも知れませんが。
例えばわが筑波大学図書館情報メディア研究科が購読している雑誌タイトルを見てみると・・・


こんな感じ。
このほかに入手ルートが違うものがあり、電子ジャーナルで特定タイトルとしては契約してないけど読めるものもあり・・・とかいろいろあるので実際には使える雑誌タイトルはもっとずっと多いですが。


この中で図書以外のリソースも含めたメタデータを中心に扱われる先生たちは情報処理学会とか電子情報通信学会とか、リストにないところで情報知識学会誌とか、海外の関連学会とかで論文を発表されたりなんだりしているので、国内で図書館の話をメインに扱う雑誌を読んでいるとあまり出くわさないのかも知れませんね。
逆に自分はあんまり公共図書館学校図書館系の話を追わずにInformation Scienceよりと、あとは大学図書館よりの話ばかり追いかけているのでそれらの系列の図書館でOPACがどういう文脈で語られているのかをきちんとは知らないわけですが・・・Project Next-Lの「Enju」みたいな話ってじゃあもしかして公共の人全然ついてきてないところ多々あったりするのか・・・


一方で読み聞かせとか朝の10分間読書とかいう話があり、他方でビブリオメトリックスとかセマンティックウェブとか自然言語処理とかの話をする人たちが寄り集まってできているのが「図書館情報学」というものなので、全体像の把握は意外に難しいと言うか、「隣は何をする人ぞ」なところは過分にあるよなあ、と。
ある問題について日本の図書館情報学が扱っていないのか、特定雑誌に投稿する特定の人たちが扱っていないのか問題。
でも結局現場に情報入っていかないところで検討されていても伝わらないわけだしなあ・・・