かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

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図書館総合展フォーラム2012 in 仙台+バスツアー(南三陸町図書館/名取市どんぐり子ども図書室)に行って来ました


5/27(日)、5/28(月)と図書館総合展フォーラムに行って来ていました。


主目的は5/27の午後に開催されたフォーラム「東日本大震災とMALUI連携」の公式記録作成。
岡本真さん(id:argさん)に急遽、お声かけいただいて行って来ました。
実際の記録については以下を参照:


当日の夜にはアップされていたという、書いた当人もびっくりの速さ(上記サイトへのアップロード担当は自分ではなかったので)。


というわけでフォーラムについては上記サイトをご参照いただくとして。
翌5/28には、津波によって図書館全てが流された約半年後にプレハブ+移動図書館で仮設図書館を再開した南三陸町図書館と。
津波被害はなかったものの震災で建物が使えなくなっていた中、資金面/建築技術面での援助などを受けて「どんぐり子ども図書室」をオープンした名取市図書館を尋ねる、バスツアーに参加してきました。


上記サイトにもリンクがありますが、両図書館については岡本さんによる以下の記事も参照。


岡本さんの記事時点では南三陸町図書館はベイサイドアリーナという体育施設の前に、プレハブ+移動図書館で開館していましたが、現在はベイサイドアリーナ2階の一画に移って再開しています。
当日の写真等も岡本さんがあげてくれているのでそちらを参照:


どちらも図書館長・図書館員の方が自らご案内いただきました。
その歓待っぷり(南三陸町では岡本さんが抱きつかれそうになっていましたw)に、岡本さんやsaveMLAK、関係の皆様の活動があらわれているのかな・・・というのは個人的な感想。


以下、両図書館/室を訪れてみての、同じく個人的な感想です。
当日はそのほかに両自治体の仮設商店街にも立ち寄ったのですが、そちらの感想は正直「〜は美味しかった」とかにしかならないのでここでは割愛。
一言だけ、南三陸町のしいたけかりんとうは絶品なのでお立ち寄りの際にはぜひ購入を。

南三陸町図書館

  • 前述のとおり、体育施設の2階を一部、区切って図書館スペースに
    • と、いうとわびしいイメージになりそうですが、そんなことは全然なくいい雰囲気になっています
  • 書架のほかにカラーボックス等も使用。角にはちゃんと緩衝材が貼ってあって怪我への配慮が感じられる
  • 開館日の表示が「平日、土日、祝日」と気合入っている
    • 岡本さんによればこれは震災以前から、とのこと。武雄市の計画について「365日開館などは既に図書館で実施している事例もあり」*1と「ともんけんウィークリー」で言及がありましたが、南三陸町もその一例ですな
  • 震災関連図書がかなりの数揃っている
    • これについては図書館の方々の間でも議論があったとのこと。「地震津波を忘れたくて図書館に来たのに」という人もいるだろう、という配慮から
    • 最後は3.11以前から(チリ地震時の津波被害を受けていたこともあって)関連資料の収集・公開に力を入れていた方針を引き継ぐ決定をくだされた(以上、岡本さん情報)


滞留している見学者に混じって、というか我々の方が邪魔になっていたわけですが(汗)、一般の利用者の方も使われていました。
若者、たぶん自分よりも下、少年と青年の間くらいの男性ではなかったかと。
少し前に大流行した本を手にとって「懐かしい! すげえ懐かしい!」と声をあげていたので「あ、この人参加者じゃないや」と気付いた次第。
僕らのあいだを窮屈そうに通り抜けながら、じっくり借りる本を吟味していました。


名取市どんぐり子ども図書室

  • 東海大学のプロジェクトにより、檜の間伐材で建物を組み立て、中の書架は地元の杉部材を組み合わせて作ってある
    • そのため中に入ると檜の香りが凄い。図書館の方いわく、それでも開館時よりは薄まってきているとのこと
    • 苦手な人も中にはいるそうですが、自分はけっこう好きでした
  • すべてが木で統一されているので館内の雰囲気はかなりいい。居心地もよく、あったかい感じ
    • 道民にしか通じない言い方をすると、海から離れた場所の道の駅とかにあるログハウスっぽい建物のイメージ(たぶん道民にも通じない
    • 実際にけっこうあったかい、とのこと。暖房器具はエアコン+ストーブ3台で、1−2月でも朝、ストーブをつければエアコンまでつける必要はほとんどなかったとか
    • 壁はさすがに木だけではなく断熱材も入れてある
  • 書架は同じ形をした杉部材でできたパーツを、長さだけ変えたものを組み合わせてできている。格好いい
    • 強度はやや不安に思うものの、けっこう持つとか。なら自宅にも欲しい感じ
  • 「子ども図書室」と言いつつ、実際には児童書だけでなく一般書も多い
    • ヤングアダルトも対象に含んでいる、ということもあるのだろうけれど、子どもと一緒に訪れる保護者の方もターゲットにしている?
    • 普通に借りたい本があった・・・あとでこちらで探そうと思いつつ、あの場所だから魅力的、ということもあったかもとか思ったり

両館に共通して言えるのは、どちらも震災から復旧中の図書館/室ということ抜きで見ても面白いし、居心地がいいし、資料を手にとって読みたくなる空間でした。
正直、入ってしまえばツアーの主旨を忘れて本を読んだり借りたりしたくなります。
本があればなんでもいいかと言えばそんなことはないわけで(わくわくしない書架なんて世の中にはいっぱいあるので)、どちらも雰囲気はもちろんのこと、蔵書構成等も考えられているからこそなのだろうとか。


あと、どんぐり子ども図書室に顕著ですが、参加者の間で「あれはいくらでできるんだろう・・・?」ということがよく話題にあがっており、明らかに自分たちにも何か活用できるんじゃないかと考えている様子でした。
「様子でした」とかいうと他人ごとのようですが自分もどこかで使う機会ないかなあ、とか思うような感じだったり。
学校図書館とか、もしあの図書室レベルのがあったらそうとういい感じ。




その他に石巻市東松島市*2の被災状況等もバスの車窓から見学しましたが、そちらの感想はまたいずれ。
いっかいの図書館蝸牛ゆえ、語りえぬことは語らずに。

*1:ともんけんウィークリー: 武雄市の新・図書館構想における個人情報の取り扱いについての要請

*2:余談ですが自分は6歳まで現東松島市、当時の矢本町在住でした。当時住んでいた家もまだありますが、山よりの立地だったので特に被害はなかったとのこと