前々エントリ*1、前エントリ*2に引き続き、OAサミット2013参加記録その3です。
2日目・午後の時間は第4期に入ったSPARC Japanセミナーですよ!
今回は第4期SPARC Japanの活動をスタートさせるにふさわしくSPARCのExecutive DirectorであるHeather Joseph氏をお招きし、米国におけるSPARCの活動状況についてお話をいただきます。また第4期のSPARC Japan活動方針をご説明させていただき、日本版SPARCの方向性について模索してみたいと思います。SPARC活動の拠点である米国での最新動向を担当者から直接伺える貴重な機会ですので、是非ご参加いただけますようお願いいたします。
SPARC Japanセミナーはこのブログコンテンツのいったい何割を収めているんだという、ほぼメインコンテンツですが(苦笑)
さすがに関西に就職してもうそう頻繁には行けないかなー、と思っていたところ、今回はOAサミットの一環として開催されたおかげで参加することができました!!
それも米国・本家SPARCのHeather Josephさんがいらしている回ということで、記録もいつも以上のボリュームになってしまったような・・・
以下、例によって当日の記録です。
例のごとくmin2-flyが聞き取れた/理解できた/書き取れた範囲のメモですので、ご利用の際はその点ご理解いただければ幸いです。誤字脱字・事実誤認等、お気づきの点があればコメント欄等でご指摘ください。
では、さっそく米SPARCのJosephさんのお話から!
「Open Access: Delivering on the Promise」(Heather Josephさん、Executive Director, SPARC)
- 通訳を通して話すのは久しぶりなのでなるべくゆっくり話すが、問題があったらうでを大きく回して欲しい
- そうしたらゆっくり話すようにする
はじめに:どのようなプレッシャーが学術情報流通にあって、そこからどんな新しいソリューションが求められるようになったか
- 学術情報流通システムには何が起こっているのか?
- 1. 新しい技術
- インターネット
- 学術成果を共有するためのさまざまな方法
- 2. デジタル情報の氾濫
- デジタル情報がいかに急速に増大しているか
- ヒトゲノムプロジェクトの場合・・・ 指数的なのびを見せる/これはどの学術領域でも起こる
- 情報がどんどん出てくるようになると、人や機械のネットワークを活用して理解できる形で情報を活用する必要がある
- 3. 研究論文へのアクセスに関する、図書館における財政負担
- 今のままのシステムで理にかなった方法で研究をするのは難しくなっている・・・それが意味することとは?
- あるトピックについて検索してみて、読みたい論文がならんだリストを得たとする
- 研究者はこれにどう対応する??
- 学術情報を共有するもっといい方法があると思う
- 立ち止まって、学術情報の共有の方法、最善の方法を考え、作りなおす必要がある
- そこで出てきたアイディアが・・・オープンアクセス
オープンアクセスとは、それを今までどう実現してきたか
- オープンアクセスとは? Budapest Open Access Initiative*3から・・・
- シンプル/パワフルなこの定義に基づいて色々活動してきた
- オープンアクセスの現状は?
- 1. オープンアクセス雑誌
- 9,000以上のOA雑誌が既に存在。いろいろな分野/世界中で存在
- OA雑誌に論文を載せる著者も増えている
- 当初はゆっくりだった伸びが、次第にハイペースになってきている
- 今後、OA雑誌掲載論文の数が、購読雑誌に掲載されるものを追い越すタイミングも予想されるように
- 遅くとも2021年にはそうなりそう/早ければ2017年にはそうなるとも言われている
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- OA雑誌は当初、懐疑的な意見が多かった・・・持続可能なモデルなのか??
- しかし2013年までにOA雑誌は持続可能なばかりか、収益もあがるものと証明された
- 出版業界の中で現在もっともハイペースで成長しているのがOA雑誌。2011⇒2012の年間34%の成長率
- 金額はまだまだかもだが、これだけ成長がはやいことには注目しておかなければいけない
- OA雑誌は当初、懐疑的な意見が多かった・・・持続可能なモデルなのか??
- 2. オープンアクセスリポジトリ
- 3. アクセスインフラの充実
- アクセスそのもののインフラ+再利用のためのインフラ
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- 再利用を促す上で重要なのが・・・オープンライセンスの利用
- その中でもOAにおいてもっとも重要でよく使われるのがCreative Commons
- CCBYは中でも最も使われている。デジタル情報を最初に作った人にクレジットしていれば、あとは何をしてもいい、というライセンス
- CCBYはOAにおけるgold standard。CCBYを使う著者の数も増えている。OA雑誌に投稿する著者の伸びと同じような傾向
- 再利用を促す上で重要なのが・・・オープンライセンスの利用
- 4. オープンアクセスポリシー
- オープンアクセスに関する重要な要素の最後はポリシー
- 2つの種類:大学のポリシーと国・助成団体のポリシー
- オープンアクセスに関する重要な要素の最後はポリシー
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- 大学のポリシー
- 最も有名なのはハーバード大学のポリシー
- 大学のポリシー
- これらのことは研究者や学者にとってどんな意味を持つのか??
- メリットが目に見える形で見え始めた・・・自分の成果をより幅広く届け/より多くの読者に届けられる
- 研究成果へのアクセスが増えるのびならず、それを使って何かをすることも今までよりもできるように
オープンアクセスのコンセプトを実現するためのシステムの中にある課題と機会
- いろいろなことが実現したが、まだまだ課題はあるし、機会もある
- 再利用可能性について:
- その実現のために、SPARCはさまざまなコミュニティと協同している
- そのOAがどの程度、再利用可能としているかの枠組みを定めたり(HowOpenIsIt)
- 研究者・学術コミュニティの文化の変容を起こせるか:
- 「なぜ自分の研究成果をOAにする必要があるのか?」という質問を投げかける研究者に対してよりよい答えを提供する必要がある
- 最大の障害は研究者の不安感・恐れ。購読出版と同じようにOA雑誌にのっても見返りは得られるか
- それに応えるには今までと違う方法で出版活動の質を評価することが必要
-
- 従来の研究者にとっての指標・・・インパクトファクター(引用の数に基づく)
- しかし他にもいろいろな方法を使うことが、デジタルな環境ではできる。引用だけではなくても良いはず
- 従来の研究者にとっての指標・・・インパクトファクター(引用の数に基づく)
*2013-06-10 追記 どうやら1日にあげられる容量の制限を越えてしまっていたようです(汗) 続きは翌日の記事として再掲します、気づくのが遅れ申し訳ありませんでしたm(_ _)m
*1:機関リポジトリの今とこれから…350機関/100万超コンテンツの現在とその先(オープンアクセス・サミット2013 学術情報のオープン化に向けて〜現在の到達点と未来の展望〜 参加記録その1) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
*2:博士論文は「やむを得ない事由」がない限り機関リポジトリで公開される時代(オープンアクセス・サミット2013 学術情報のオープン化に向けて〜現在の到達点と未来の展望〜 参加記録その2) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
*3:Budapest Open Access Initiative | Read the Budapest Open Access Initiative