かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

NIIオープンハウス2008に行ってきたよ


公の場ではじめて「『かたつむりは電子図書館の夢をみるか』というブログをやってます」と名乗ってから早一年。


今年もこの時期がやってきたぞ、ってことで行ってきました、NIIオープンハウス2008。


今回はワークショップの事前申し込みを忘れていてかなりばたばたして色々な方にご迷惑をおかけしたのですが*1、幸い当日受付でも参加可、椅子に余裕がありそうだったら座っても大丈夫、とのことだったので、午前の「次世代の目録所在情報サービスを考える」と午後の「CiNiiのいま、これから」の2つのワークショップについて、参加してきました*2
発表資料については昨年も公開されましたし*3、きっと今年も後で公開されると思うので、そんなに詳しいレビューはしませんが・・・ノートPCも持っていきませんでしたし・・・
簡単に、見てきての感想と、パネルディスカッションの盛り上がりなど。
量がかなり多そうなのでエントリをわけて紹介していきます。

*1:本当にありがとうございましたm(_ _)m

*2:幸いどちらも座れました

*3:http://www.nii.ac.jp/openhouse/h19/archive/index-j.shtml#csiのリンク先(*「資料はこちらでご覧いただけます」)参照

「次世代の目録所在情報サービスを考える」

*ブクマ等から直でこの記事へ来られた方へ・・・6/6の記事は(うちでは珍しく)全体で一つのまとまりとなっています。単独で見てわからないところがあったら6/6分の他のエントリをご確認くださいm(_ _)m


今年3月に公開されたNII次世代目録ワーキンググループの「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」(以下、「中間報告」)について、ワーキンググループの皆さんからの内容の説明と、パネリストの方々からの「中間報告」に対するコメント、そしてディスカッション、という構成で次世代の目録所在情報サービス・・・次のNACSSI-CAT/ILLについて考える、という構成のワークショップ。
パネリストも凄ければディスカッションに参加された会場の方々もまた濃かった・・・


「中間報告」についての説明パートでは、まず佐藤先生からNACSIS-CAT、ILLについてのこれまでの状況の説明と、大学図書館が置かれた環境の変化(特に電子情報資源の普及とそれに伴う利用者行動の変化)、そこから出てくる検討事項について説明があった。
かなり印象的で、その後の発表/ディスカッション等でも何度か触れられることになったのが、NACSIS-CAT参加機関別の書誌/所蔵登録件数について。*1
実に書誌作成件数上位20機関くらいで全体の半数近くの書誌を作っている一方で、1〜100件しか作っていない機関も501機関あり、1件も書誌レコードを作っていない機関も190機関以上ある、とのこと。
だからと言って「なんだ、一部の機関ばかり作ってて他はフリーライドじゃないか!」という方向の話ではなく、「参加機関は多様であって、それを一様に見るわけにはいかない」ということを意識しないといけないのではないか、と。
これは後々にも絡んでくる話。


以降は「中間報告」の3つのテーマそれぞれについて発表。
まずは東北大の加藤さんから、「電子情報資源への対応」パートについて。
現在のNACSIS-CAT、ILLは電子情報資源(電子ジャーナルとか)管理をするようにはなっていない。
電子ジャーナル等の場合はILLにはライセンス確認等も必要になってくるので、次期システムでは印刷体の所蔵と電子情報資源のアクセス権を同時に扱うことができることや、検索粒度の問題等にも対応すること等が必要。
と言うことで、CATと同時に「電子情報資源データバンク」を構築して、横断的に検索できるようにすることなどの提案について説明されていた。


次に帝塚山学院大学の渡邊先生から、NACSISのデータ構造とAPI公開について。
特にAPI公開については兼ねてNACSIS-CATでも公開すべき、と言う意見・要望が多いが、一方で(これも後にキーになる話題だが)「NACSIS-CATのデータは参加機関のもの」という理念もあり、慎重に検討している・・・と言うようなお話。
最後に、「参加機関のみなさんに考えてほしいこと」というスライドもあり、参加機関全体で考える必要性が強調されていた。


説明の最後は千葉大の竹内先生から、運用体制の抜本的見直しについて。
大学図書館界は目録のスキルを失うべきではない」という思想と、「大学図書館間での書誌情報基盤の共有」を前提とした上で*2、如何に目録作業の負担を軽減化・合理化するか、というお話。
その中で、出版社等からのメタデータ入手(発生源入力)や、「目録センター館」構想について説明がなされていた。
後者は、先に佐藤先生からもお話のあった参加機関が2つに分化している(書誌データ作るところと作らないところが分かれている)ことを考えて、年に何件かしかオリジナルで書誌データを作らないところがたくさんある状況で1,000以上のNACSIS-CAT参加機関全体で書誌の調整するのは非合理的だ、と言うことから、外国雑誌センター館みたいに目録を集中して作る機関を選んで、そこがメタデータのスキルを持つ図書館員の養成の場ともなればいい、という提案。
実際、NACSIS-CAT叩いてても重複レコードとか割とばらばらとか、気づくことは多いしなあ・・・(汗)


以上で説明パートが終了で、今度は3人のパネリストの方からのコメント表明と、ディスカッションに。


コメントの最初はNEXT-Lでオープンソースの図書館システムについて取り組んでいる慶應義塾大学の原田先生。
指摘された点は多かったが、「理想論を追い求めることも必要、理想論をあきらめることも必要」、「拙速にならないことも重要、拙速な対応も重要」と言うことで、慎重になりすぎることや多くを求めすぎることへのコメントが印象的。
「とにかく時間がない」、とのこと。
そして、「NACSIS-CATが目録技術の崩壊を招いたのでは?」という爆弾投下も(笑)



次いで筑波大学の高橋さんからは国大図協が出した要望書についての話があった上で、発生源入力の限界と、やはりAPIの公開などについて。
API公開は参加館の合意が前提だけど、今は議論もされてないよ、と言う話。
「API公開は、(今回の話とは)切り離して進めては」という提案も。


最後は、鶴見大学の長谷川さんからNACSIS-CAT、ILL等の電算化がもたらした効果と、それでずいぶん楽になったはずなのに昔に比べて全然楽になっていない大学図書館業務の現状について、長谷川さんが研究されている大学図書館の館員数の話題などとも絡めてコメントされていた。
その中でいかに(NACSIS-CAT、ILL始動時のような)win-winの関係を築けるか。
そして現在、図書館全体/大学全体でイベント的な盛り上がりがないが、それがもっと必要ではないか、と言ったコメントだった。

ディスカッション


ここからいよいよ、仁義なきディスカッションがはじまる・・・
てことで以下、省力のため

  • 発言者(初めての場合は所属):発言


形式で記述していきます*3



  • 佐藤先生:原田先生へ。目録技術はコンピュータやMARCが崩壊させたのではないかと思う。公共図書館はNACSIS-CATがないが崩壊している(会場で笑)
  • 逸村裕先生(筑波大学):長谷川さんの「大学全体のイベント」について詳しく聞きたい。
  • 長谷川さん:図書館がやりたいことと大学がやりたいことは違う。図書館の目録の質の話を大学は理解していない。初年次教育とかの方が期待されている。その中でなぜNACSIS-CATにリソースを割かねばならないのかは図書館/大学ともに理解できていない。
  • 岡本さん(ACADEMIC RESOURCE GUIDE編集長):API公開と共同分担目録の理念、についての対比がよくわからない。何が一番のネック?
  • 渡邊先生:NACSIS-CATデータは参加機関の持ち物。参加機関内で声が一致して上がればやることになるだろう。
  • 佐藤先生:国大図協とWGの間で、討論はした。まずAPI公開についての理解(min2注:公開の是非、というよりはそもそもAPI公開ってなに、公開するとなにいいことあんの、なんかまずいことあるの? ってあたりの理解)がないので、実験的なことをしたいと国大図協にお願いしているところ。具体的にやらないと見えない。
  • 岡本さん:CATデータは公共財なのか、誰かのものなのか。誰か「(CATデータは)俺のものだぁ!」という人は?(会場へ)
  • 会場:(笑) さすがに誰も名乗り出ず
  • 原田先生:ボールを投げて、国大側からAPI公開への反対は出得るの? NIIが「こういうことがあるかも知れないが、問題あるか?」と聞かないと反対は出ないのでは?
  • 佐藤先生:なんらかの形で参加館の意見を聞きたい
  • 岡本さん:「ノークレーム制度」(「反対がなければやるよ」という制度)でやってしまっては?
  • 竹内先生:NACSIS-CATのデータは誰のものなのか? NIIが一元的に決められるわけではない。決めるのは参加館。目録情報は一次情報としての利用が前提で、例えばOCLCでも公開して利用が急激に増えた、という問題もあった。
  • 長谷川さん:APIを公開して面白く使える、となれば図書館の地位は上がるかも知れない。時間はないので、一気に走ってしまっても。
  • 佐藤先生:図書館の位置を上げる/下げるの2面性がありうる。だからまず実験。
  • 林さん(AFFRIC):AFFRICではAPIを公開しているが、NACSISのデータを多く利用している。NII由来データで目録を作って、API公開しているのだが、今のところクレームはない。しかし凄いことが出来た事例もない。
  • 佐藤先生:個別でやるのは問題ない。各図書館がAPIを出すのを止める権利は・・・




ここで時間切れ(苦笑)
いやぁ・・・これは何と言うか、もっと時間をとって2時間くらいがっしりディスカッションとかだとえらいことになったのではという気が・・・(爆)


API公開について、実際に使ったりする側からすると、確かに参加機関の同意が大前提、って気はする。
特に所蔵データも使えるようにするのであれば、いつぞや自分がやったみたいに「ケータイ小説持ってるとこはどこどこ」みたいなデータが流用される可能性もあるわけで・・・*4


自分はそういうのも含めて「面白い」と思うし有益であると思うけど、みんながそう思うかはわからないし。
あるいは、「利用が急に増えた」っていうOCLCの問題みたいなのもある(午後のCiNiiの問題とも重なる)わけで、それを望まない参加機関にとって不本意かも知れないし。
そこら辺、正も負も合わせてきちんと参加機関で話をするのは、時間がないのを承知の上でもきちんとやっておかないと・・・「こんなはずじゃなかった」ってなっても困るし、それはやはりNACSIS-CATの本意でもないだろうし。
・・・つまるところ、つくづく、「共同」「分担」目録である、ってことがNACSIS-CATの面白いところであり、価値あるところであり、頭を悩ませるところでもある、と。
ぜひ、国大図協だけでなく、私大・公大・高専系も含めて、参加機関皆で考えていけるといいのではないか、とかなんとか。


・・・個人的にはぜひ公開してもらって、便利なサービスがわらわら湧いてくると良いと思うのですがね。
皆もの、ってことは難しいな。



・・・このあと、午後の「CiNiiのいま、これから」編があるわけですが、ここでいったん力尽きたので続きは後ほど・・・
・・・うう、会場で岡本さんに「議事録はかたつむりがなんとかしてくれるでしょう」と言われたからって真面目にメモ取りすぎたやもしれない・・・

*1:書誌登録と所蔵登録については、書誌登録=目録に登録されていない新しい資料について、自分で書誌を作るなりなんなりして新しくレコードを登録すること、所在登録=すでに書誌レコードのある資料について、「自分の図書館、持ってるよ」ということを登録すること、と理解しているんだけれど問題あったらご指摘お願いします

*2:「目録作れなくなったっていいじゃん」とか「もうNACSIS-CATもILLも要らない」とか言い出すのはナシで、ってことだと理解

*3:もちろん、発言内容については自分の聞き取りミス・解釈ミス・メモミス等があると思うので、精一杯書きとめましたが保障はできませんのでご了承願います。発言者の方で、「こんなこと言ってない!」という方がいましたらコメント願います

*4:ケータイ小説はどこの大学にあるのか? -あるいは、ブックハンティングの副産物? もしくは、GO! WEST- - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

「CiNiiのいま、これから」

*ブクマ等から直でこの記事へ来られた方へ・・・6/6の記事は(うちでは珍しく)全体で一つのまとまりとなっています。単独で見てわからないところがあったら6/6分の他のエントリをご確認くださいm(_ _)m



お昼休みを挟んで、午後のワークショップは「CiNiiのいま、これから」。


割と人数の多かった午前からさらに人数が増え、会場は人がひしめいているような感じでした。
そうだよなー、みんなCiNii興味津々だよなー。
ワークショップの構成は最初に学術コンテンツ課長の尾城さんからCiNiiの現況の簡単な紹介があって、その後5人のプレゼンテーターの方から説明がある、という形式。
例によって資料は後に公開されると思うので、プレゼンテーションについては自分の気になったところを抜き出していく感じで。

尾城孝一さんから

  • CiNiiの利用は急増していて、システムが追い付かない。最近レスポンスが遅くなっているのはそのせい。特に午後、14時くらいが「魔の時間」
  • 現在、CiNiiの書誌は1,200万件。本文搭載300万件以上。個人登録者1万人以上、サイトライセンス登録機関800以上。
  • 本文ダウンロード回数は2007年、1年で1,000万件以上。
  • 「学術コミュニティに不可欠の共有財(コモンズ)」になりつつあるし、変えていかないといけない

研究者の立場から:清水先生(千葉大法経学部

  • 同僚15人くらいに認知度を聞いて見た・・・「あれって『さいにい』って読むの!?」ってリアクションが一番多かった(みんな『しーあいえぬあいあい』って読んでた)
  • キーワードや著者名が確定している時は満足。
  • (キーワード等が確定しない時は)ヒット件数が多すぎるのが不満。本文のキーワード検索とかは実装しないでほしい。題目・アブストラクトにキーワードが入っていないような論文に引っかかってほしくはないし、そんなところにコストをかけなくていい。

図書館員の立場から:筑木さん(京大附属図書館)

  • CiNiiは日本語論文サービスの中で中心的な位置づけ
  • 京大ではリンクリゾルバを入れて、CiNiiともリンクさせている
  • 今のタイミングなら、医学におけるPubMedのように「日本(語)論文を探すならCiNii」と呼ばれる存在を目指せる
  • そのために、CiNiiだけで日本語論文が事足りるよう収録誌の拡充、オープンアクセス文献へのリンク、学位論文検索、研究者単位での論文検索(著者典拠の拡充?)を。

情報リソース専門家の立場から:岡本さん(ARG)

  • CiNiiへの不満はあげればきりがない・・・期待への裏返しである
  • つかいにくい(アイコンの位置が悪いなど)、つながりがない(webで無償公開されているコンテンツへのリンク欠如など)、有償の壁(ペイパービュー
  • CiNiiに期待することはオープン化。すなわち無償提供と外部提供(API公開など)

情報デザイン専門家の立場から:篠原さん(ソシオメディア株式会社)

  • 情報が見つけられやすく、つながりやすくすることは、学術研究の発展に不可欠
  • 「偏在」(特定の場所に分散)から「遍在」(どこにでもある)へ

新CiNii開発の立場から:大向さん(国立情報学研究所

  • Google連携との効果について・・・PDFダウンロード月100万?!
  • 負荷が増大した・・・「先に作ったものが、あとで利用が10倍になるなんて考えないし考えて作るなんてありえない」
  • 次期CiNiiは完全に再設計。「ユーザサービスとしてのCiNiiのベストを尽くす」
  • 要望があれば、今なら間に合う(1ヶ月後だともう無理)
  • 次期CiNiiのコンセプトの一つはウェブAPIによるエコシステム作り。
  • 情報源としての人にも着目(研究者リゾルバαみたいな)、徐々にフィーチャーしていく
  • 次期CiNiiは2009年4月リリース!

CiNiiのいま、これまで:阿蘇品さん(国立情報学研究所、飛び入り)

  • CiNiiの今をあらためて説明
  • 約半数の本文データは無料提供、さらに定額契約で大半が個人課金なしで利用可能

・・・面白い(笑)
六者六様というか、同じものの話をしていても視点が違うとこれだけ色々な話が出てくるか。
そしてここから、こちらも仁義なきディスカッション。
・・・相当みんな言いたいことたまっていると思うので、予想以上に熱い感じになっていきます・・・



ディスカッション

(パネリストから、お互いについて)

  • 清水先生:(筑木さんへ)図書館はなにしたいの? お金があるとコンテンツ豊富なのはわかるが、うちはそんなにコンテンツない。
  • (岡本さんへ)オープン化はいいけどお金はどこから出るの?
  • (篠原さんへ)ユーザビリティテストの被験者をやったんだが、気合い入れて床屋行って着飾って行ったのに手しか撮影されなかった。先に教えてよ。
  • (NIIの2人へ)初心者とプロを別に誘導するような仕組みがあっても。
  • 筑木さん:確かに、京大は電子ジャーナルの数が多い。だからリストの提供だけでは無理があり、論文タイトルDBからのリンクリゾルバがいる。
  • 阿蘇品さん:CiNiiの契約価格は極めてリーズナブル。サイトライセンス契約でもMaxで100万円+税。min5万円/年。大手の大学なら、1論文当たり60円〜70円で見られるようになる。海外電子ジャーナルの1論文あたりにかかるコストと比べてもはるかに安い。
  • 岡本さん:CiNiiの想定ユーザの問題もある。研究者なら研究費も使えるが、市民には難しい。CiNiiでとったアンケート結果を独自に分析したところ、一般のユーザは増えてきていて、6.3%が無料コンテンツの少なさに不満を覚えている。市民でも使えるようにするには個人に課金しないモデルがいる。CiNiiでは難しいと思うが、ファイルのダウンロードごとに広告が入るとか。
  • 篠原さん:オープン化していかにビジネス化するか、というところで「エコシステム」が重要。ビジネスとしてのエコシステムをいかに組むか。/ユーザビリティテストについては、ユーザに構えさせないことが大事なので(笑)>清水先生
  • 大向さん:想定ユーザが一番大事。システム側では、多様なインタフェースをつくれる準備はする。デフォルトから外れたインタフェースはそちらでやってほしい。


ここから、フロアの質問受付。
・・・ごめんなさい、「今ならまだ間に合う」の言葉につられて真っ先に手挙げました(爆)


  • 佐藤(筑波大、自分です):CiNiiを使っていて、一番しっかりしてほしいと思うことの一つはやはり本文リンク。特に、すでに無料でwebにあるコンテンツへのリンクがない、と言うのが不満。図書館系でも『Library and Information Science』や『カレントアウェアネス』、『ディジタル図書館』は無料で本文見られる(LISは部分的に)のにCiNiiではリンクがない。これらはリンクリゾルバ(S・F・X)でもリンクされないので、結局Google等で探さないと見つけられない。また、機関リポジトリ搭載コンテンツでもリンクがないことが多い(筑波大の某紀要本文を見ようとしたら、リンクリゾルバ⇔CiNiiをぐるぐるまわる羽目になった。IRに載っているのに)。有料ジャーナルは機関によって契約状況が違うので一元管理は難しいと思うし、リゾルバが有効と思うが、無料ジャーナルはできるだけリンクを張れるようになんかならないか。
  • 阿蘇品さん:想いとしては、できるだけ「どんづまり」のメタデータをなくしたい。リンク先がさらにメタデータ、というケースもなくしたい。電子化も進める一方で、本文リンク率は上げたい。
  • 大向さん:ネットに公開した情報ってなんなのか。CiNiiからだと有料だが、他では無料で見られる、というコンテンツもあり、それにはどういう立場をとるのか。全てオープンにするのも難しく、それなりのコストはかかるが、ネットでオープンになっているものはたやすく辿りつけるようにしたい。あと、CiNiiにアドセンスはいつか貼りたい(笑)
  • 時実先生(愛知大学):学生にCiNiiをよく使わせている。今のCiNiiは検索の勉強に適している。フィールド検索機能は新CiNiiでも残してほしい。
  • 大向さん:残ります。色々出来るようにする中で、色々なパターンがあると思う。
  • **(関東学院大学、ごめんなさい、お名前聞き取れませんでした):関東学院大学はリンクリゾルバもないので、OpenURLを使っている。新CiNiiでも変更を加えずに使えるよう、残しておいてくれると助かる。CiNiiの仕組みが変わったからといって、大学図書館システムも改修しなければならない、となると大学は困る。連携プロトコルAPI仕様も早めに出してくれると助かる。
  • 大向さん:OpenURLは変わらない。大枠を変えず、心配をおかけしないようにする。仕様も前もって公開する。
  • 安達さん(國學院大學):引用リンクも重要。拡充を。
  • 阿蘇品さん:検討する。
  • 鈴木さん(富士通):企業図書館に勤めているのだが、個人課金はとっぱらえないか? 他社でもよく聞くことだが、それまで大学で使えていたものが、卒業して会社に入った途端に使えなくなる、と言うのでは困る。
  • 阿蘇品さん:それまで大学で使えていたものが、卒業して就職したとたん使えなくなった、という不満はよく聞く。なるべく個人課金はなくして機関定額の範囲に収めるよう、学協会には働きかけているし、今後も続けていく。
  • 岡本さん:自分も大学にいたころを考えるとよくわかる。大学図書館の今後として、卒業性のホームライブラリーとしてふるまう、その一つとして卒業後もCiNiiが同じように使えるようなサービスを提供する(そのかわりに寄付金を募る)というのもありかと思う。システムは、NIIでなんとかして(笑)
  • 渡辺さん(埼玉大学):国家政策としては、これからどうする? NII、NDL(国立国会図書館)、JST(科学技術振興機構)がバラバラでは困る。それぞれが生き残りのために特色を出したいのもわかるが、一般の人からすれば違いなどわからない。今後、国家政策としてどうするかが国際的な評価にもつながる。ドイツにはそういうシステムがあるが、日本語論文を今後世界に公開する際にどうするのか。仲が悪いのは承知しているが(会場で笑い) 例えば一般の人にはCiNiiからNDLのコピー取り寄せサービスへ連携するとか、三者の協働を求めたい。
  • 阿蘇品さん:おっしゃることはよくわかる。「特色を〜」のところはグサッと来た。細やかなフォローが出来ることが望ましいが、実現には壁が・・・
  • 林さん(AFFRIC):農水も「なんで他のサービスから探せない!」と言われる。国内の無料ジャーナルの網羅的リストがない、という問題がある。調査をしたり、リポジトリを作ったりすることが必要なのではないか。海外からの日本語文献へのニーズ、というのも実際に受けているので、日本語ジャーナルの包括的なリストやDOI等について検討してほしい。



・・・濃い・・・
短い時間で、なんて濃い話題をしていたんだと改めて見て実感。
ざっと見ただけで、

  • JST、NII、NDLの連携(CiNiiにJSTへのリンクない、とかさー)
  • 無料ジャーナルの網羅的リスト作成やDOI付与等の試みの必要
  • 大学卒業者等へのサービスをどうするか
  • 新世代CiNiiでも残してほしい部分、「変わってもらっては困る」部分


などなど、などなど・・・これら全部、岡本さんのプレゼンにもあるが、「CiNiiへの期待の裏返し」でもあるよなー。
検索部分は無料で誰でも使えて、こんだけ本文リンクもあるってんだから、「学術コミュニティに不可欠の共有財」という最初の尾城さんの話は現状でもかなり実現しつつあるように思うし、もっとその立場を強めて欲しい、って思ってる人がたくさんいるってことだよね。
かくいう自分もその一人だし。
いいぞCiNiiー、もっとやれー!
検索技術的なところはなんもわかりませんが、無料でweb公開されているジャーナルリスト作成とかは時給安めでも作るならお手伝いします。*1



そんなこんなで、今年も非常に興味深く楽しかったNIIオープンハウス。
他にポスター展示も見ましたが、「テキストとデータベースレコードの対応付けに関する研究」とか、こちらも興味深いのが色々と。


今回も筑波・非社会人学生(院生)は自分だけだったみたいですが・・・面白いからみんな来ればいいのに。
もっとも、今回はワークショップ定員が早々に埋まったのも一因なのかもしれないけれど・・・このメンバーで会場70人(実際はもっと収容できたそうな)は勿体ないよなぁ。
そこは来年はもう少し定員増やしてもらってもよいのでは、とか思ったり。
一橋講堂で、ってのはさすがに無理があるかも知れないけれど(苦笑)



明日は大図研オープンカレッジに行く予定。
・・・しばらく東京づいてるな、自分・・・

*1:無料と言わないあたり我ながらせこい/なんなら現物支給でも。1時間働くと、情報処理学会の1つ600円の論文を1回DL出来る権利が・・・とか