かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

『モノケロスの魔杖は穿つ』から発展して、大学と大学図書館の生存戦略の変化を考える

モノケロスの魔杖は穿つ (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)


昨年に1巻が発売されたときは書店で発見できなかったんだが、先日2巻の発売に合わせて1巻も近所の書店に置かれていたのでまとめ買い。


小説としての中身は・・・随所で言われているが、もう、凄い。
「本州パンチ!」が出たときはどうしようかと思った。
「忍者はノーカン」とか。いやいやいや。


そんな感じで小説自体の中身は楽しんで読んだんだが、それとは別に面白かったのは1巻の巻末についている生き物の生存戦略の話。
生存戦略には「増殖」「競争」「移行」「順応」の4戦略しかなくて、それらがこの順で発動するとかなんとかかんとか。日本社会についても20年周期でこの4相が一巡する傾向があるとかうんたらかんたら(ちなみに現在は「増殖」。2010から「競争」とのこと)。
詳しいことはきっとどっか別のところで紹介してくれていると思うので今度探そう。


で、生兵法は怪我のもと、とは知りつつこの4相を大学・大学図書館にも応用できないかと考える。


戦後の大学の場合は「増殖」は当然、戦後の学生数増加にあわせて大学がぽこぽこ設立されていたときと考えられる。


で、少子化に伴って*1、現在は限られた学生を如何に獲得するかの競争の時代の中にある、と考えても良いだろう。
ブランド戦略による差別化とか、推薦等などの充実による青田刈りの強行とか。


競争が激化して来ると(そろそろそこら辺の相に入っているのかもしれないが)、大学の在り方自体について見直そうという「移行」の相が出てくる。
リカレント教育とかはその一環かも知れないが・・・どんなのが考えられるだろうな。希望者はたくさんとるかわりに卒業が難しい米国式になるとか? 
うーん、なんかもっと画期的な変化が起こりそうな気がするんだが・・・
そもそも「大学」という枠組みが崩れて、キャリアのルートが多様化する、とか? 
なんも具体的じゃないが。


で、ある程度多様な変化が起こってきたらそれぞれについて「順応」が試みられて、定着の段階に入っていく、と・・・。
ここら辺になると10〜20分考えたくらいじゃなんにも出てこないが・・・。


大学図書館の場合はどうだろう?


「増殖」は蔵書数や雑誌購読数が好調に伸びていた頃として。


「競争」はそれらが予算的な問題や施設面(書庫とか)の問題から頭打ちになって来た頃? 
しかしこれだと図書館間の競争というよりは、図書館と他部署とか、図書館内での蔵書同士の競争ということになるのではないか・・・
競争は競争か?


「移行」は電子化と組織の見直しだろうか。
図書館と情報部局を改組して情報センターをつくるような動きは最近ではやや廃れ気味、みたいなことがいつぞやの『今後の大学像の在り方に関する調査研究(図書館)』に書いてあったが。
一方で英国では情報センター構想ってe-Learningなんかの取り組みと合わせて割と広い規模で実現されているようだし、日本でもまた芽が出てこないとも限らん。
電子化については言わずもがな? 
両者に共通することは「そもそも大学図書館とは何をするところか?」って命題への答えの模索、と考えられるところだろうか*2
機関リポジトリなんかもそこら辺の命題への解の一つと考えられる(かな?)。


「順応」は移行後の環境への順応か。
電子化関連については、まだまだ進んでいくトピックではあるんだろうけど、「全く新しい図書館像」というよりは「今の図書館像の発展系」ととらえられるような位置に来ている感はある(Library2.0のこととか考えるとまだ「移行」期にいるのかも知れないとも考えられるが)。


あとは今後の展開を見ないとわからないが・・・
うーん、「増殖」の相に入っていく気はしないかなあ。まだ「順応」か、実はまだ「移行」か。


もっときちんと調べて考えていくと面白いかもなあ、とか考えつついい加減に現実逃避はやめてアウトソーシングの文献を読め、とも思う自分。
英語がー。英語が苦手なんやー。
論文読むんでも大変なのに英語の本を読むとか何年かかるんやー。

*1:少子化」「少子化」言われ出してもなかなか実際に学生数が減少しなかったことを考えると、若年層の減少を進学率の上昇でカバーしきれなくなったことに伴って、って言った方がいいんだろうか

*2:ただ状況に対応していただけ、という見方もできるというかそういう見方が多い気もするが・・・少しくらいは図書館を贔屓してみてもよいのではないかと思う