大学図書館=リンクリゾルバ時代のブランド戦略
筑波大からCiNiiにアクセスして論文を検索すると、S・F・Xなどのリンクリゾルバのタグに混じって「Tulips-Linker」というアイコンが入っている(筑波大以外からアクセスするとどうなるかは未確認)。
これは筑波大提供のリンクリゾルバなんだが、筑波大は普通にS・F・Xも契約している。
「なんでわざわざTulips-Linkerも表示させるんだ? S・F・Xだけでいいじゃん?」とか思ってたのだが*1、「電子図書館のその先は(2) - 図書館退屈男」を読んでいてちょっと考えが変わった。
色々な図書館関係のwebツールの存在と、それらをシームレスにつなぐことができるリンクリゾルバの登場を考えるに、これからの大学図書館が目指すべきところってまるで図書館自体がひとつのリンクリゾルバであるかのようにふるまうことなんじゃないかと思う。
利用者が情報源になるべくシームレスにたどり着けるようにするってのは、元より図書館にとって重要な使命の一つではあったわけだが、webの登場で今までとは比べ物にならないくらい容易に情報源にたどり着くことが「理論上は」可能になった現在、その容易さを実際に実現・演出してみせることが大学図書館の重要な役割となるだろう。
いちいちデータベースの検索結果をコピペして電子ジャーナル検索しなおさなきゃいけない、なんて面倒な作業をなくすためのリンクリゾルバであるわけだが、同じように文献複写なんかも検索結果画面から少ない回数のクリックをするだけで依頼できるようにするとか(筑波はなってた)。
アマゾンの検索結果からすぐに自分の図書館の所蔵がわかるようにするとか(個人ベースは色々公開されてるけど、図書館として提供してるところってあるのか?)
贅沢をいえば、Googleみたいに検索したい語を選んで右クリックから直接OPACやDBも検索できるようにしてくれた、なんてことがってもいいんじゃないかと思う。
しかしそのとき問題となるのは、図書館が自ら努力して、利用者が各ツール間をよりシームレスに横断できるようにすればするほど、図書館の存在自体は利用者から見えないものになってしまうということ。
関係者みんながそれでも図書館の果たしている役割を理解してくれるような見る目のある人なら良いが、そうでなければ実際には図書館が提供しているサービスの恩恵にあずかりながら「図書館? 別にいらないんじゃね?」ってな話にもなりかねない。
そうならないためには事あるごとに「その便利さは図書館のおかげなんやでー」ということをアピールすることが肝要なんじゃないかと思うが、図書館の名前を冠したツールを作ることはその一つの手段になりうる。
S・F・Xを使っても「いやー、世の中便利なものを考える人もいるねー」くらいしか思わないが、同じ機能を果たすものでも名前が「Tulips-Linker」になっていれば、まあ気づく奴は「Tulips? え、これ筑波大の図書館が作ったの? すごいじゃん!」くらいのことは思うかも知れない。
不快感を与えない程度のレベルでブランド名を全面に押し出しつつツールを提供、ってことではGoogleなんかのやり口も参考になるかと思うが、とにかくその手の策を弄していかないとせっかく利用者のために便利なサービスを提供しているのに、図書館はどんどん目立たなくなっていく、なんてことにもなりかねない。
逆を言えば、うまいことブランド名の押し出しに成功すればいっきに図書館の学内での存在感を高めるチャンスともなりうる。
これからは大学図書館にもそういうブランド戦略みたいなものが必要なのかなー、とか思った。
・・・ま、Tulips-Linker以外のところでは筑波大図書館のブランド戦略は迷走の一途を辿っているわけだが・・・
「がまじゃんぱー」と「ちゅーりっぷさん」がイメージキャラクターの筑波大だし。
ある意味インパクトはあるが。
母体が「ツクバ系で行こう」の筑波大学だから仕方ないのかもしれないけどね・・・*2