かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

平成20年度CSI委託事業報告交流会(コンテンツ系)〜機関リポジトリの更なる普及と新たな価値創出に向けて〜 部分レポート(1)


一昨日、昨日とNIIで開催されたCSI委託事業報告交流会に行ってきました!


1日半かけて機関リポジトリの構築とか、リポジトリを使った試みや最新動向についての報告を発表していく毎年恒例のこのイベント。
去年は皆さんの発表を聞くだけだったのである意味とても気楽な立場だったのですが、今回は自分も今関わっているプロジェクトについての発表を担当することに。
当然、自分が壇上にいる最中はメモが取れないので(笑)、今回は「部分レポート」ということで自分の発表分についてはどなたかアップしてくださるのを待ちたいな、とか思ったり。


そんなこんなで以下、いつもどおりにメモです。
いつもは「聞き取れた範囲、理解できた範囲、書きとれた範囲」のメモなのですが・・・
今回の場合、CSI委託事業報告交流会については後で公式サイトでスライド等の資料がアップされることがわかっているのであんまり細かくとってません。
ときどきタイピングが乗ってきたところはけっこう細かくとっていたりもしますが、いずれ詳細については後ほどアップされるはずの発表資料をお待ちいただければ、ということで。
速報と言うには遅すぎですが、正式資料公開前の簡易版くらいに思っていただければ幸い。




リポジトリを創る

HARP(広島大学共同リポジトリ)に参加して得られたもの(広島市立大学・中請真弓さん)
    • HARPの特徴・・・
      • 1.力を合わせて運営
      • 2.費用は分担
        • 1年間の1大学の負担は3万円
      • 3.個性はカスタマイズで
    • 活動を支えているのは勉強会とメーリングリスト
      • 資料の共有はGoogle group
    • 参加して得られたもの・・・
      • 教員との密接な関係
      • 他大学(県内外)との強力な関係
      • 個人スキルアップの意欲や貴重な経験
岡山共同リポジトリO-AIRについて(岡山大学・中山千佳子さん)
    • 参加機関別のリポジトリページの紹介
      • 各機関が独立した形でコンテンツを保存・公開
      • ホスティングサービスに近い形。柔軟な運用が可能。
      • 情報・ノウハウは共有
    • デジタル岡山大百科*1と連携
      • 岡山大のリポジトリのコンテンツは既にハーベスト中。O-AIRとの連携も可能であることを確認済み
CRFukui 福井地域共同リポジトリについて(福井大学・水上満雄さん)
    • コンテンツ登録状況
      • 今のところ大学は紀要論文が多い
      • 文書館、県立図書館は現在は貴重書のみ。文書館は今後紀要論文も登録?
      • 福井大より福井工大の方がコンテンツ登録数が多い(!)
      • リポジトリ公開後のコンテンツ登録があまり伸びていない
    • 参加機関の拡充はどこまで出来る?
      • 小さな公立図書館に参加のメリットが見いだせるか?
      • まずは現在の参加機関で運営体制を確立するのが第一
聖学院学術情報発信システムSERVE-構築から公開まで-(聖学院大学・菊池美紀さん)
    • 機関リポジトリは大規模大がやるものだと思っていた
    • 聖学院大は学部3つ、研究科2つで学生3,000人の中小規模大
      • なぜ立ち上げることになったのか?
    • 大学の史料がちゃんと残っていない
      • 保存は図書館の仕事?
    • でもリポジトリは研究成果を登録するものでは?
      • 登録するような研究成果はない(先生ごめんなさい)
    • 教育活動の資料や記録、成果も登録していい?
      • それならある!
    • 電子的な資料保存の仕組みの必要、情報システム課にXOOPS利用経験あり、科研費の間接経費の活用
    • CSI委託事業に採択
      • 学内的な宣伝効果、申請時に学長の理解と協力を得られるようになった、担当者を確保できるなどの効果
    • 講演会/特別礼拝(!)等のEvent, 教員情報等も登録できる
      • (min2-flyコメント)特別礼拝ってあたり個性出てていいな
    • 学内限定公開/個人公開等の設定もできる
      • XooNiIpsのグループ機能を利用
    • 聖学院のアーカイブを目指す・・・「聖学院の情報ならSERVEにある」と先生方に思って貰えるような
Twinkle 誕生! -キラリと輝くコンテンツ-(東京女子医科大学・浅沼愛九さん)
    • 広報活動も精力的に展開
    • 今後は学内発行ではない、一般の学術誌に投稿された東京女子医大の著者の論文も収集していきたい
質疑応答
    • ??(聞き取れず):HARPについて。協力してくれそうな先生は取り込んだらいいのでは?
      • 中請さん:がんばる。先生方が「これも〜」、「あれも〜」というばかりでもなく、先生の著作を検索したらいっぱい出てきて著作権確認する暇がないということも・・・巻き込める人はどんどん巻き込みたいが。
    • 北大・逸見先生:HARPについて。勉強会の中身とテーマ、それから「できたら〜」と言っていた野望の中身を知りたい。感想としてはうちの職員にあなたの爪の垢を煎じて飲んでもらいたい。
      • 中請さん:最初は広島大から「リポジトリってこういうものなんだよ」という話から始めて、システムのデモとか登録の実習等の実技的なこと、最近では意欲も向上してきたので他県のリポジトリの例をうかがって自分たちのリポジトリも成功させようというものに。それと本学の野望についてだが、これまで先生と個人的にお話しする機会がなかったので、リポジトリをきっかけに先生方の意識の中に図書館が入るようにしていけたらいい。
    • 北大・逸見先生:SERVEについて。命名の仕方が素敵。リポジトリの名前は駄洒落が多くて好きじゃないが建学の精神にのっとっているのはいい。それと困ったらDRFに聞くとのことだが本当に役に立つ?
      • 菊池さん:最初に公開案内をした時に「うまく見えてないよ」と指摘を貰ったり、XooNIpsの研究会に声を掛けていただいたり。今はドイツ語と日本語/フランス語と日本語のようにbilingualなページがテキストデータをうまく読めないというので困っている。もし何かいい案があったら教えてほしい。
    • 京大・古賀先生:O-AIRとCRFukuiについて。県立図書館との連携するとのことだが、県の図書館、あるいはバックにある教育委員会と結びつくことで得られたメリットが何かあれば教えてほしい。
      • 中山さん:教育委員会と直接ではないが、県の図書館協会等で広報している。その結果、関心を持ったところから問い合わせをいただいたりしている。またデジタル岡山大百科の仕組みがしっかりできていてリポジトリとの連携も可能とのことで、そういう仕組みがすでにあったこともあって地域貢献を目指し頑張っている。
      • 水上さん:教育委員会とは関わりはない。福井県の公立図書館等の会議等で話させていただいて、県立の図書館・文書館に参加いただいている。県立図書館とは横断検索とか、相互虚力も行っているので地域連携という形で進めていきたい。
    • 京大・古賀先生:Twinkleについて。医学関係のコンテンツは患者のプライバシーが特定されるかも知れない側面があると思うが、公開に慎重になるような意見は学内であった?
      • 浅沼さん:患者のプライバシー侵害については今のところは話題にあがっていない。今の医学系の雑誌は患者の写真は掲載時から編集されているが、昔のものはそうなっていないので今後検討していく必要がある。その際は著作権の部分で画像の編集についても追加する必要がある。
    • 民博・高橋さん:SERVEについて。史料の保存は総務課とかがやるべきところ。
      • 菊池さん:大学のパンフレットとかはどこかが集めていればいいと思うが、なかなかぱっと出てこなかったり職員の家にあったのを持ってきたりと言うのもあったり。資料と言えば図書館と考えているところもあるので、図書館にあればぱっと提供できていい。SERVEにあればどこからでも誰からでも見られる。
    • 民博・高橋さん:O-AIRは岡山大にどんなメリットがあるの?
      • 中山さん:直接的なメリットははっきりしていないが、岡山県全体として地域貢献していくということでは意義があるのでは。
    • 民博・高橋さん:SERVEで登録領域に個人用があるのは何故?
      • 菊池さん:個人領域は原則的には協力のための場所と言うことで、最初に気軽に登録できるようにした場所。管理者からは見えるので、そこから「学内公開しませんか?」というところにつなげていきたい。登録・編集のための領域。
    • 高橋さん:管理者からは見えるのは教員は了解している?
      • 管理者から見えるのも、図書館員からアタックできることも了解いただいている。
    • 信州大・大原さん:地域リポジトリは参加機関が少ないと大変だと思うが、運営経費は各地域でどう賄ってやっている?
      • 中請さん:予稿集p.3に費用の算出について挙げている。サーバ購入費はCSI委託事業の経費。保守費と更新費は案分。県図書館協議会のお金も使えている・
      • 中山さん:参加機関の費用負担はなし。参加機関の登録コンテンツは紀要で最新のものは発行時にPDFデータがあるので登録にも費用がかからない。バックナンバーや電子化が必要なものはCSIの委託事業で捻出予定。サーバ関係は仮想化対応なので費用がない。
      • 水上さん:参加機関の費用負担はない。現在かかるのはサーバの保守費だけ。将来的なシステムの更新をどうするかは・・・今、費用負担を求めると参加機関の拡充に影響するので。将来的には考えている。コンテンツの電子化については各大学で負担してもらう。
    • 信州大・大原さん:Twinkleについて。看護や医学は古いデータはもう変わっちゃってるからいやという先生もいると思うがどうやっている?
      • 浅沼さん:学会の編集の先生方のご理解が非常に大きい。



  • ポスター発表
    • 各ポスターはきっと後ほど各大学のリポジトリ等で公開されるはずっ!
    • ってことで詳細はそちらをお待ちください。


リポジトリを育てる

食堂で鶏を捕まえる:リポジトリ草の根営業活動報告(兵庫教育大学・永井一樹さん)
    • 今日、生まれてはじめて半蔵門線に乗った。「発表うまくいくかな・・・」と考えてたら周りに妙に女性が多い。変だと思ったら女性専用車両だった。居合わせた人いたらごめんなさい。
    • チェ・ゲバラについての映画の話・・・周辺から勢力を拡大していくのがリポジトリ事業とそっくり?
      • 日本のリポジトリキューバのように革命的な結果をもたらすのか、ボリビアみたいになるのか・・・と思いながら映画を見ていた
      • 「そんなことどうでもいいんですけど」
    • 特に自分のところで特別なことはしていない。上司にも「何しゃべりに行くんだ」と笑われた
    • 「松竹梅」の「梅」のリポジトリの話をさせていただきたい
    • 兵庫教育大・・・現職教員の教育をするために設置された。大学院生の方が学部生より多い。
      • 兵庫教育大のリポジトリHEART・・・コンテンツの9割は紀要論文と学位論文
      • 違和感:リポジトリと言う新しいことをしているはずがやってることは遡及と言う古めかしいこと
      • リポジトリとは」という話では革命的なことができるかのようなのに、自分がやっていることは落ちている骨を拾うかのようなつつましいことばかり
      • 新スローガン:「1,000個の卵より、1羽の鶏を」
        • 教員と協調する
    • 教員を誘引するための「+α」
      • 他大学では色々ある
      • 兵庫教育でやるには実装の壁が
      • 平成20年度の間に何か先生と関わることをしないと・・・CSIから離れた途端にリポジトリが終わってしまう?
      • 「食堂に行こう!」
    • なぜ食堂
      • 食堂が一つしかない。外に何もない。先生はだいたい来る
      • 食堂にいればアポ取りがいらない。文献リスト持って先生の横の席に座って嫌がられながらも話す
    • リポジトリに対する教員マインドの4類型
        • 革新派・自己陶酔型(積極的賛成)
        • 保守派・被害妄想型(積極的反対、剽窃されたり改竄されるんじゃないかと恐れている)
        • 自虐型webアレルギー(消極的反対・自分系、国文学とかに多い。「私の何か誰も読みませんよ」的な人。自己陶酔型に変わるかも?)
        • 岡目八目型・付和雷同型(消極的賛成)
      • 食堂での活動等を通じて積極的賛成型の先生が3人現れる
        • 「世界初」の成果を記した論文
        • 科研費成果報告の制度変更による「追い風」・・・リポジトリに公開しているものはアドレスを掲載しないといけなくなる
        • 投稿規定枚数に収まらない付録をリポジトリに投稿してほしいとの要望(学術雑誌の型に収まらない現象?)
JAIST学術研究成果リポジトリの充実計画-業績データベースと連携したコンテンツ集め-(北陸先端科学技術大学院大学・寺田美樹さん)
    • リポジトリ公開から約2年
      • 公開コンテンツは5,000件強
      • COE研究成果が2,600件
      • 学位論文は1,070件。学生が自分で書誌情報を入力/アップロード、図書館はそれを確認して公開するだけ。
        • 学生の希望によって内部のみ公開とかもできるが7割の学生は協力。
      • 学術雑誌論文も収集手順は整っているが、自主的な論文提供はそれほど多くない
    • 学術雑誌論文の収集
      • 業績データベースと連携
        • 教員自身または秘書が情報を入力。8割の教員が前年の情報をきちんと入力している。教員の発表論文情報を得るにはいい。
        • 業績データベース登録論文は教員から申し出がない限りリポジトリに登録できる、との教育研究評議会での承認(去年のDRF4でも発表されていた*2オプトアウト方式だな)
      • 出版者の著作権ポリシーを確認
        • 出版者版が使えてe-Jを購読・・・図書館が自動で登録、出版者版は使えるが購読していない・・・著者が出版者版を図書館へ、出版者版が使えない・・・著者に最終稿を提出してもらう
      • 2年で約4倍の論文公開へ
    • コンテンツの充実以外に・・・
      • 全学的な推進体制が整ったことは今後の運用の上でも大きな成果
      • 図書館が計画的にリポジトリの充実を行っていることを教員に示すことができた
      • コンテンツ登録教員数も全教員の25%⇒68%へ
ワーキングペーパー・ディスカッションペーパーの収集とメタデータ-包括的利用許諾によるコンテンツ収集戦略-(一橋大学・高橋菜奈子さん)
    • HERMES-IR(一橋大の機関リポジトリ
      • コンテンツは右肩上がりに増加
      • どう収集してきたかの話
    • コンテンツを種類別に分ける
      • 種類別に戦略を立てて登録
      • 今日は新規に発生するコンテンツをまとめて登録する仕組みをどうやって作ったかの話
        • 包括的利用許諾
    • ワーキングペーパー/ディスカッションペーパーとは
      • 雑誌論文が掲載されるまでの中間成果物
      • 論文の形式を整えている
      • コメントを貰うことで研究の中身を改編するための資料
      • 社会科学系に特有のコミュニケーション?
      • 研究者としては多くのコメントを貰いたいはず
    • まず研究科/COEのスタッフを味方に
      • そこから研究科長等に了承を得て貰う
      • 全部登録できるなら包括許諾、駄目なら個別利用許諾
      • 個別は大変なのでみんな包括許諾を選ぶ
    • WP/DP発行業務は(リポジトリとつるむと)楽になる?
      • 部局でwebにアップする必要はない
    • RePEcへのデータ提供
      • RePEc:プレプリントサーバ。経済学で認知度が高い
      • RePEcにデータ提供できる、となるとWP登録の関心を呼ぶ?
      • データ提供説明会を実施
    • WP/DPの問題点
      • 内容の差し替え/雑誌掲載時の取り下げ希望がある
      • バージョン管理できるメタデータの工夫がいる?
      • 新しいのが出たら旧版は本文削除、新版へのリンクを張る等の対応
      • 本文が取り下げられたらその理由を記述して、雑誌に掲載された場合は掲載後の雑誌にリンクを張る等して本文へ誘導
      • RePEcは本文はハーベストしてないのでクローリング時に勝手に反映される
    • HERMES-IRは学内で不可欠な存在に!
      • 継続しなくなると困るのはWP/DPを発行する部局
      • 学内予算を継続的に獲得できる?
ムリなくムダなくコンテンツを増やす-トータルな図書館活動の中で-(お茶の水女子大学・廣田未来さん)
    • 課題解決プロジェクトの一つとしてリポジトリに取り組んでいる
      • コンテンツが現在17,000件
      • 学内の協力関係/チームの総力がUP
      • 『幼児の教育』という雑誌を創刊号から全点登録
        • 教員から電話相談を受けて作業
        • 出版社との交渉は教員が担当
        • 電話から1年後に半分を電子化・登録
    • ラッキーな話が降ってきただけ?
      • 一歩先行く営業の結果である
      • ラクをしないと成果は出ない』(日垣隆, 2008)
    • お茶大図書館の「お仕事のルール」
      • 少人数だからこその全員体制
      • チーム内、他部署との仲良しさ
        • リポジトリ登録用のプログラムを情報センターで書いてくれたり
    • 「幼児の教育」だけじゃない
      • ILLが集中している学内刊行物(の電子化)に今年は取り組む
    • お茶大では今、凄いことを企んでいる!
      • 部外秘なので詳細は秘密だが来年のこの会で報告できれば
多様化するHUSCAP-研究者との連携から-(北海道大学・紙谷五月さん)
    • 様々な広報活動の実施・・・
      • HUSCAPの名前は知られた。中身はまだまだ?
      • 研究室訪問(分館が多くてHUSCAP担当となじみのない先生も多いため)
      • チャンスがあるたびに研究室を訪問
        • 実例について紹介
    • 学会/部局図書室との連携
      • 学内に編集部のある学会誌の重点登録
    • 自発提供文献の増加
      • H19は1,000通、提供依頼を送って700弱。H20は50通しか提供依頼を送ってないのに著者による提供は700強。
    • ヲタクツーリズム関連文献について
      • アクセスが凄く伸びている
      • 読売新聞に取り上げられるとアクセス急増
      • 2ちゃんねるでスレが盛り上がるとアクセス急増
質疑応答
    • 筑波大・逸村先生:全員へ。転任する教員のコンテンツはどうしてる?
      • 永井さん:兵庫教育は「本学に所属している教員/所属したことがある教員」をコンテンツの対象としているので、転任しても退職しても登録したまま
      • 寺田さん:北陸先端もコンテンツはそのまま残す、転任したからと言って外すことはない。
      • 高橋さん:一橋も削除はしない。逆に退職する人に駆け込みで置いていけるものは置いて行ってもらった。
      • 廣田さん:お茶の水女子も学長が変わっても登録したまま。
      • 紙谷さん:北大も外に出たからと言って落とすことはしない。北大時代のものなら先生が転任後に載ることもある。退任する人を特に狙って、ということはしていないが先方から自発的に一括でいただくケースはある。
    • NIMS・高久さん:兵庫教育へ。+αがないので食堂に行ったというのは面白いと思うが、業績データベースがないという話は、逆にリポジトリを業績DBにしてしまえばいいんじゃない?
      • 永井さん:小樽商科大の研究者ページみたいなのを入れたいと考えたことはあるが、業者の見積もりが現実的な金額ではなかった。最近、全く別のところで業績DB導入の話が出てきていて、来年度くらいに具体的な話が出てくる。そうなれば連携という話になると思う。
    • NIMS・高久さん:北陸先端へ。収集方針的に教員の100%が登録経験有りになってそうなもんだがそうならないのはなぜ?
      • 寺田さん:リポジトリで論文が公開できるのは出版社が許可している場合のみ。先生によってはそういう論文がない人もいる。また、教員に出版社版や最終稿を提出してもらえないと図書館で登録できない場合もあり、レスがない先生から回答を貰えるようにすれば登録率はもっと上がるかも。
    • 京大・古賀さん:兵庫教育へ。リポジトリに教育実践記録を収集対象としているということだが、そこは今後どういう方針で集めるとか戦略はある?
      • 永井さん:教育実践資料の定義があいまいなところもあるが、教育資料とは大学の教員が作った授業のテキストとかと、学校現場、小中高で学校の先生が授業用、あるいは研究発表会で作ったものを「教育実践資料」として集めている。今のところは文部科学省の研究開発校に指定されている学校のリストから、紙媒体で資料を集め、電子化して資料公開してもいいかを確認している。まず冊子を収集、次いで電子化という手続き。ただ、子供の顔写真とか著作権とか問題があって、公開のハードルも高く数はなかなか集まらない。
    • 核融合研・コウモトさん:Library Student Assistantsが20名いるとのことだが、どういう人で何をしているの?
      • LiSAは2年前から、学生にキャリアを考えることを学内で支援できないか考えて始めた。図書館をよりよくするのに興味のある学生を集めて自主的にやってもらっている。若干のお金は渡しているがアルバイトと言うほどでもない。学部1年生から大学院生まで参加者は様々、学部も様々。はじめは10名だったが希望者が増えてきたので徐々に人数が増えている。リポジトリについてもメタデータ作成の際のコピーとか、入力ミスの確認等で一緒に取り組んでもらっている。


リポジトリを知る

リポジトリ登録は、次の引用を喚起するか:これまでの成果と今後の課題(筑波大学・佐藤翔=min2-fly)
ILLとタッグを組んでIRを加速させよう! −IRcuresILL 1年目の取組みから−(小樽商科大学鈴木雅子さん)
リポジトリ構築における悩みと解決への道 -アンケート調査結果を中心に-(広島大学・上田大輔さん)
ROAT:機関リポジトリ評価のための基盤構築に向けて(千葉大学森一郎さん)
機関リポジトリのコスト分析(東北学院大学佐藤義則先生)


ここは自分が発表担当だったこともありメモ取ってないです。
どなたかレポートよろしくお願いしますm(_ _)m


自分の発表について補足しておくと、現在分析担当として参加させていただいているZSプロジェクトについての紹介&現状報告をさせていただきました。
ZSプロジェクトは凄い短くまとめると日本動物学会が出している『Zoological Science』という雑誌の掲載論文を機関リポジトリに載せると、どういう風に使われるか(アクセスログ分析)、その結果引用が増えたりするかどうか(引用分析)を見てみようというプロジェクトです。
今のところは引用が「どうなるか」についてはよくわかってないというのが正直なところですが*3
利用の方について言えば、ひとつ確実に言えるのはGoogleがクローリングできない(論文全文のテキストデータが入っていない)コンテンツは基本、全然利用されません。
まだCiNii等のメジャーな外部データベースからの利用が望める論文は別ですが、英語論文でメインユーザもGoogleで探してくるであろう場合*4についてはGoogleにクロールされてないだけで、特別な事情がない限りは利用数は絶望的です*5
逆にクロール出来るようになっていると、PageRankがそこそこ高いことも手伝って利用は伸びます。
質疑応答の中で日本動物学会の永井さんが近いことをおっしゃっていましたが、コンテンツを目立たせる/その存在に気付かせる、という意味ではリポジトリ登録は割といい手段であるようなので、それを十二分に活用するためにも全文テキストデータを付与したファイルを登録するのがお勧めです。
全文は最良のメタデータ也。



と、こんな感じで1日目のプログラムは終わり、懇親会へと突入していきました。
2日目のレポートについてはまた後ほど。

*1:[���m�点]�f�W�^�����R���S�ȃ��j���[�A���ɂ‚���

*2:第4回DRFワークショップ「日本の機関リポジトリとそのテーマ2008」 (1)事例発表 −いくつかの進行中のリポジトリ (図書館総合展1/10未満レビュー? その4) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

*3:「載せるとどうなるか」はわかってないけど、「もともとよく引用されていたもの」と「機関リポジトリでよく使われるもの」は一致しないことは確認。つまりよく引用されていた論文は必ずしもリポジトリ利用者によく読まれる論文ではない、ってことで。

*4:ちなみにOAIsterとかのハーベスタからの利用はほとんどないので黙殺できるレベル。対応しておくのは大事だけどそこがメインの利用経路になることはまずない

*5:ちなみに同じくCiNiiにクロールされてない、という点では学位論文もテキストの有無で利用数が激変するものと思われますがこちらはまだ未確認