かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

図書館と出版と著作権

ネタ元:
http://dora-hikarilibrary.air-nifty.com/diary/2007/05/post_dcff.html
http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/05/post_1142.php


ちょうど最近自分が考えてることに近い話がブログ界隈に出てたので、軽く言及。
DORAさんの方は自費出版本を図書館に置くことで、そうした本の存在が知られて、(著者の知人縁者などの)購買が起こったりするかも知れないから、図書館を宣伝媒体として使えるんじゃないか、という話。
森博嗣の方は、まあ、一般的な、古本や図書館の本についてもなんらかの形で著作権者にバックが入るべきだろ、みたいな話。


min2-flyとしてはDORAさんの意見に賛成で、かつさらに言えば「宣伝媒体としての図書館」は自費出版に限らず、一般の商業出版全体にあてはまると考えている。
「図書館である作家の本を借りて読む」→「その作家のファンになる」→「最新刊が図書館に入るのを待ち切れずに買うようになる」ってパターンで購読するようになった作家は枚挙をいとまない。
ぱっと思いつくだけで茅田砂胡田中芳樹京極夏彦、そして森博嗣がこれに該当。
逆にいえば、これらの作家は図書館に入ってなければ今でも購読していないか、していたとしても読みはじめるまでにさらに時間を要していたと思う。


なんつーか、中古販売や図書館に文句をつけてくる出版・著作業界の人って、中古販売や図書館がなくなればそれが自分たちの売り上げに直接つながると勘違いしてるんじゃないだろうか?
言っちゃなんだが、min2-flyにとって図書館で借りる本ってのは「買ってまで読もうとは思わない本」だし*1、そう考えてる人ってけっこういると思う*2
もちろん中には図書館で借りれなくなったら自分で買う、って人もいるとは思うが、そういう人らにより伸びる売上と、図書館がきっかけになって購買を始めた人のどちらが多いかは割と微妙なところなんじゃないだろうか。
場合によっては図書館で貸出しなくなったことで、かえって売り上げが減ることもありうるかもしれない。
そこら辺をもうちょっと詳細に研究してからじゃないと、著作権と図書館の関係を安易に語るのは危険なんじゃないかと思うし、安易な貸与権設定とかはむしろ不当に著作権者を益することになるんじゃないかなあ、とかとも思った*3


*4

*1:まあ読んでみた結果「買ってでも読みたい本」に替わることはあるが、そんなの読んでみるまでわからんわけで。著者買いするにしたってデビュー直後とかだとわからんわけだし。

*2:ぶっちゃけ今も、森博嗣は文庫化されるか中古本で見かけない限り買わなかったりする。新書版で買うほどではない

*3:森博嗣提案の「出版後一年は貸出禁止」案もまあ100%ないとは言わないが、一年内に複数の書籍を出す著者の場合、例えば新シリーズの2作目とかの売り上げがそれまでよりの伸びなくなる可能性は否定できない。っつーか、森、お前、名古屋大学(附属図書館長が神)のおひざ元でえらいことのたまうな。その度胸にびっくりだよ?

*4:追記:ちなみに今回の話はすべて公共図書館が前提。大学図書館など、学術・研究目的の図書館の場合は事情がまるで違う(研究目的の図書・雑誌を全部自分で購入なんかできるはずがないし、一方で購入できないものは参照しない、なんてスタンスでやった研究なんか読み物以上の価値はない)ので。・・・え、まさか森博嗣大学図書館まで含めて「出版後一年は提供しないように・・・」とか言ってるんじゃないよね? そんな馬鹿なこと研究者が言い出すわけないよね? 「電子ジャーナルで読めるからいいや」とか思うかもしれないけど、電子ジャーナル購読契約してるの図書館だからね? 勘違いしてないよね?