かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

ネガティブに受け止めるか、ポジティブに受け止めるか

古典の名作は退屈なのでいりません(英国) | カレントアウェアネス・ポータル
http://www.thisislondon.co.uk/news/article-23389728-details/Schools+refuse+gifts+of+'boring'+classics/article.do

イギリスの学校図書館シェークスピアディケンズみたいな古典の名作を寄贈している財団が、「子供たちが退屈するような資料なのでいらない」と拒絶された、という話。
拒絶されたって言っても4000を超える学校に寄贈を申し出たうちの50校程度だが(そのほかに50校はもうすぐ閉鎖されるから拒否、40校は学校図書館がないから拒否したとのこと)。
さて、多いとみるか少ないとみるか・・・


「イギリスの学校図書館にそんな古典が入ってないことなんてあるのか?」と一瞬思ったが、よくよく思い起こしてみれば俺がいた小学校の図書館にもあんまり古典の名作とかはなかったような気がする。
最近の子どもがあんまり古典とか読まないってのは国が変わっても一緒なのかね?
記事中では「今の子どもは日本の漫画が大好きだ」とのことだが、そうなると日本の漫画というのもなかなか罪作りな存在と言えなくもないのかもしれない・・・


ただ、寄贈の申し出を「子供たちが退屈するから」という理由で断れる、っていうのは、それなりに蔵書構成を考えて本を集めているということでもある。
実際、いくら名作とは言っても子どもが読まないような本で書架をいっぱいにするくらいなら、ちゃんと読まれるような本を入れたい、と思うのは自然なことではある。
大昔に読んだ前川の御大の講演録かなんかでも「読まれもしないような全集に金使うな」って書いてあったしね。
実際、うちの高校の図書館の場合も、新書コーナーや文庫コーナーの回転率はそこそこ良かったように見えたけど(図書委員とかはしてないのであくまで見た目と勘)、全集とか古典の棚は動いている気配も少なかったしなあ。


でも一方で、最低限のリテラシーと思われるような本は子どものアクセスを保障する意味でも完備しておくべき、っていう考え方もある。
実際、高校3年の頃に推薦入試の小論文対策で古典や思想についても多少勉強しようと思ったときには、全集の棚には大変お世話になった。
で、そうやって読んでみると案外面白かったりするんだよね、古典。
マルクスの「共産党宣言」とかテンションの高さが半端なくて読んでて盛り上がるし、太宰の「女生徒」とかも全集の中におさまっている作品とは思えないくらいなんか新鮮だったし。
そういう作品が読んでみたいと思ったときに学校図書館に入っていてくれたのは本当に有難かった。
公共図書館まで借りに行くほどじゃない」って気分のときに、学校図書館にあってくれると便利だよね。
漫画やなんかは別に図書館に入ってなくても買って読んだりするわけだし。


まあ、最終的には個々の図書館の方針、ってことになるんだろうが・・・。
限られたスペースに、ほとんどの人に利用されないだろう名作を置くか、別に図書館に置かなくても読みたきゃ買って読めばいいような本を置くか。
難しいところだ。