筑波大の中央図書館が耐震工事を行う必要があるとのことで、しばらく一部の資料が使えなくなるとのこと。
「一部」って言っても1.5階層分の資料がまるまる使えなくなるとのことで、東京教育大から引き継いだ資料と製本紀要などを中心に、50万冊くらいの資料が2〜3年使えなくなるそうな。
その間、これらの資料は箱詰めにして学内外に収納され、利用請求があっても取り出すことはできなくなるとのこと。
対応のため、教員については冊数無制限の長期貸出が出来るらしい。学生も使いたいものがあれば先生に頼んで借りてもらうようにして欲しい、とのことなのだが・・・まあ、どの資料を使いたくなるかなんて先に予測しておくのにも限界があるだろうしなあ。
で、「それじゃ困る!」という教育系の院進学を考えている友人に「なんとか使えるようにする方法はないか?」という話を持ちかけられたのだけど・・・
・・・いや、うちの図書館全体の蔵書数からみれば全体の1/5程度とはいえ・・・50万冊、だからなあ。
日本の大学図書館の平均蔵書数が21万冊ちょっと*1。
中央値もだいたい20万冊付近だったので*2、だいたい中程度の大学図書館2館分を超える資料が中に浮くわけで。
それを利用可能な状態で保存、ってのはなかなか・・・難しいよなあ。
その他の各分館で引き受けようにも、体芸図書館が蔵書23万冊強、医学図書館16万冊強、図書館情報学図書館23万冊、大塚図書館5万冊*3・・・という状況を考えると、分散させたところで各図書館に50万冊を引き受けるスペースがあるとは考えにくい。
っていうか所蔵資料がある日突然倍近くにまで伸びる、なんて状況に対応できるだけの収容能力を持つ図書館なんて新設館以外は無理だろう。
かと言って、例えばJCCみたいに資料保管を請け負うアウトソーサーに出すにしても。
上記のサイトによれば、1箱につきだいたい30冊くらいの資料が入るとのことなので、50万冊預けようと思うと・・・1万6〜7千箱?(汗)
箱数が多くなると若干の割引が効くっぽいので正確な料金は見積もりでもしないとわからないと思うが、だいたい50箱で年間16万円ちょっとくらいかかるそうなので、1万6〜7千箱だと・・・年間5千〜5千5百万円?(滝汗)
3年で1億5千万円以上の金がかかるわけで、しかもそこまでやっても必要な資料の取り寄せには注文から1日程度はかかるし、しかも返送時は箱単位で帰ってくるのでうまく詰めないとえらい面倒なことに。
当然送料も箱単位でかかり、作業量とあわせると1回につき700円以上、往復だと1,500円くらいにはなる、と・・・そりゃ、普通にILLで他大学から借りた方が(時間はかかるかも知れないが)送料自己負担でももうちょっと安いぞ。
そもそもJCCにいきなり50万冊請け負う保管能力があるのか、って点も含めて、まあこいつはちょっと現実的ではないな。
結局、ブラウジングが出来るとまでは言わなくても、せめて必要な資料の実物がその日のうちに手に取って読めるような状態で保管するのでなければ(つまり学内で/書架に入れて保管されているのでなければ)ILLで他大学なり国会図書館から借りるなりできる資料を利用できる形で保管するメリットがあまりないんだよなー。
かと言って50万冊・・・しかも発行年の古い、比較的利用の少ない資料、ということを考えると、わざわざ新しい建物を建てるのも難しいし。
その中にどれだけ筑波大にしか所蔵のない図書が含まれているのかはわからないが、まあ今回の附属図書館の対応(先に冊数無制限で借りられるようにする/あとはILLなり複写で対応、利用可能な形態での資料保管はしない)は妥当なところなんじゃないだろうか。
この50万冊を使えるようにするためにコストをかけすぎて新しい資料が購入できなくなったりしたら目も当てられないしね。
ローコストで資料を利用可能な形態で保管できる方法があれば話は別なのだが・・・改修特別貸出を利用して、学生1人あたり50冊ずつ資料を預かれば、一応50万冊すべてが利用可能にはなる・・・かな?
でもそれだって受け持ってる人を通じてしか借りだせなくなるわけで、やっぱあんまりメリットはないか。
っつーかつくづくどんな冊数だよ50万冊って。
単純に回収作業期間中の移動のコストを考えただけで頭がふらふらしてきそうだ。
これはもういっそ、GoogleかOCAとでも組んで電子化するくらいしか手がないんじゃないか、と言う気もしてくるが・・・
耐震工事は平成20年度からはじめにゃいかん、ってことらしいしなー、今からじゃちょっと無理か。
いっそ保管場所でついでだから細々とスキャニングを続けていくと、ちょうど工事が終わる3年目頃には電子化し終わってるんじゃないかね?
・・・ってそれじゃダメじゃん(苦笑)
*1:参照:http://www.jla.or.jp/statistics/2007univ.html
*2:卒論がらみでデータ整理してた時の値。こっちのソースはweb上にはない
*3:https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/outline/statistics-2006.pdf