今月まだこれを含めて7本しかエントリを書いていないとかいう事実に驚愕している昨今。
書きたいネタは色々あるんですがリアルの仕事だの研究だのの方が立て込んでいてなかなかね・・・
そんな中で前々回のエントリが多くの方に読んでいただいたのは有難い限りなのですが、その後、読売・朝日など大手新聞のニュースでも取り上げられ、ついには国を相手に訴訟を起こすという話も出てくるなど国会図書館の閲覧禁止問題は延焼し続けているようです。
- 前回エントリ以降で自分が確認した関連ニュース・エントリ
- http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080819-OYT1T00819.htm?from=navr
- 米軍特権資料/法務省、「圧力」認める/国会図書館の閲覧禁止
- はてなブックマーク - http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008082000141
- 時事通信、ちょっと恥ずかしくないかい?国会図書館開示停止問題で公報のような報道! - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄
- http://www.asahi.com/national/update/0821/TKY200808210287.html
- http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080822k0000m040080000c.html
- 斎藤貴男さんが怒りの記者会見~国会図書館閲覧禁止措置に対し提訴宣言 - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄
(時事ドットコムは該当ニュースが消えていたのでリンク先ははてブ)
個人的に関連ニュースの中で一番興味深かったのは、JANJANニュースのこの一文。
同図書館が館内職員に説明用として配布したとされる資料によれば、6月、同図書館は部局長で構成される委員会をひらいて政府からの要請を審議。
しっかりがっつり「館内職員に説明用として配布されたとされる資料」が外に出てるじゃん(苦笑)*1
今回問題になっている「検察資料」ももともと検察関係者向けに配ってたものなんだし、例えある程度内輪向けの資料であっても多人数に対して配ったものに関しては部外秘扱いにするのは無理があるんだよ、やっぱり。
特に紙にして配っちゃった資料なんか、どんだけ信頼できる人に渡してたとしても、例えばその人が亡くなった時に遺族の人が部外秘資料かどうかを気にして扱ってくれるかはわからないわけだし。
っていうか扱ってくれずに古書店あたりに(邪魔になるからって)引き取ってもらう人がたくさんいそう。
実際、今回話題になっている「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」をWebcat Plus(前回エントリで使ったWebcatの機能増強版。連想検索が割と便利)で連想検索かけるとヒットする、これも「検察資料」に掲載された「外国軍隊に対する刑事裁判権の解説及び資料」って言う資料があって、こっちも一応「部外秘」指定になっているらしいんだけど。
これなんか普通に古書店で「部外秘」ってタイトルつけて売ってたりするわけで。
部外秘外国軍隊に対する刑事裁判権の解説及び資料
法務省刑事局、昭29えるく書房 2,625円
日本の機密、2625円。
邦楽のアルバムCD1枚買うより安いな!
そんなわけなので、本当に機密にしたいことなら多人数に対して配るべきじゃないし、実際のところ多人数に配っている時点でこれ本当は大して部外秘ってほど部外秘じゃないんだろう、という話でもあり。
ならいっそ部外秘って扱いの方を変えれば良かったんじゃないか、とか。
前回エントリで示したように国立国会図書館で見られなくしたところで別の図書館で探せば見つかったりするわけだし、っていうかNDLでも今まで20年近くも公開していた資料なわけで。
色々な対応を見ている限りどうも「部外秘のはずの資料が外に出ていた」ことと「それを国として提供していた」*2ことの方を法務省は問題視したんじゃないかと言う気がするんだが(あくまで自分の感覚だけど。実際は本当に資料の中身が漏れることを危惧したのかも知れないが、そんなの北大にもあるし共産党もコピー持ってるしたぶん今更隠しても無駄)、そこでNDLで閲覧禁止にしてOPACでも探せなくして・・・なんて対応をとって、しかもそれが余所にばれたら、そりゃかえって大事になるだろう、と。
実際、今までそんな資料の存在を知りもしなかっただろうかなりの数の人が今回の一件で知っているわけで・・・隠すどころかフルオープンの上に大炎上ですよ。
NDLは逆にそれ狙ったんじゃないかとか思えてくるくらいに。
だとしたら希代の釣り師だ・・・そして自分もまた見事に釣られて、思惑どおりにNDL以外で見る方法を探してきてしまった、と言うことに!
(・・・いかんいかん、すぐ陰謀論とかに走るのはやめよう・・・)
まあとりあえず、本当に秘密にしたいんだったら多人数に配るべきじゃないし、配った時点である程度はあきらめて、外に漏れたらその時点で公に認めちゃう、って対応の方が賢かったんじゃないかと言うことで。
今後の文書管理の参考にはなるかも知れない・・・NDLで部外秘のはずだった資料の所蔵を確認したら、閲覧禁止にしようとするんじゃなくて、諦めて部外秘の扱いの方を取りやめろ、と。
・・・っていうか古書店に関係資料が流出したらまず自分のところに流してもらえるように手を打っておくのが賢明かもしれない・・・マジ古書店半端ないし・・・
2008-08-26 1:30a.m 追記
国会図書館の内部資料については、流出したわけではなく国会図書館側から入手したものであるとのご指摘を受けました。
そうこうして斎藤氏は最終的に国会図書館側から、内部的に作成されている説明用の資料を入手した。会見ではそのコピーが配布された。この問題を考察するエントリーを書いているブログ『かたつむりは電子図書館の夢を見るか』のid:min2-fly氏が、JANJANの記事をひいて、館内職員に説明用として配布された内部的資料が外部に出てしまっていると解釈されているが、これは斎藤氏が入手し、会見で配布したものだ。
id:okazakisatoruさん、ご指摘ありがとうございますm(_ _)m
流出扱いしてしまって申し訳ありませんでした>国立国会図書館の皆様