かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

図書館と祭りの燃料投下


昨今話題の毎日新聞英語版の低俗記事問題について、図書館でマイクロ資料を探してきて毎日新聞の謝罪内容に虚偽*1がある、と2ちゃんねるの鬼女(既婚女性)板の人が探してきて燃料投下⇒ますます炎上、という状態になっているようです。
で、id:kunimiyaから「マイクロフィルムを探してくる人がいるなんて興味深い!」ってことが言われて、「マイクロフィルムの存在なんて誰でも知ってるだろ!」的な突っ込みが入り*2・・・というのは今回の本題ではないのでさておき。


ネガティブな祭りで図書館所蔵の資料が燃料としての役割を果たして・・・っていう事件が過去にあったかは自分にはちょっと覚えがないのですが*3、もっとポジティブ(?)なことでネット上での盛り上がりに図書館所蔵資料が一役買った例としては、みんな大好き「やまじゅん」作品のweb上での隆盛とかが個人的には印象に残っています。

人気の上昇に伴い、国立国会図書館で当時の「薔薇族」を探し、掲載作品をサルベージする(掘り起こす)者が現れ、ほとんどの作品がネット上に違法公開され、ブームは加速してゲーム、Flash、画像コラージュ、アスキーアートなどの二次創作が活発に製作された他、オンリーイベントも催された。

山川純一 - Wikipedia(参照:2008-08-13)


ブームの原点である「くそみそテクニック」(の、掲載号)が国立国会図書館(NDL)に入っているかはわからないのですが*4、成人向け資料の所蔵の意義を考える場合にとどまらず、webと図書館所蔵資料の関係を考える上でも割と面白い事例ではないかな、とかなんとか。


こう言うのを見ていると「図書館のアーカイブ機能ってやっぱいいね」と思うと同時に、「でも今は『さすが鬼女!』とか『本当に良く調べてくるな』とか言われるくらいに、『わざわざ調べてwebに挙げてくれるGJな人』がいないと燃料として投じられないんだよなー」とも考えたり。
実際、毎日側の謝罪から今回の燃料投下までタイムラグもあるわけだし、紙版(あるいはマイクロフィルム)資料を図書館まで調べに行って・・・って言うのは、やっぱ現状では行動力と(それなりの)時間のある人が、時間のある時にやってくれることであって、ウェブ上の情報源との間には(ネットユーザにとっては)壁になってる面があるよなー・・・。


そこら辺、最近過去分に遡って電子版の無料公開している英Timesとか*5、実際に電子アーカイブを無料公開しているところでなんか起こったりしてないのかな??
もっとも、電子化されたソースがあると普通のwebサイト上のソースとあんまり区別つかないから目立たないかも知れないけれど(苦笑)
大学新聞の過去分を電子化したら昔の悪事が明るみになった、って言って名誉棄損で訴えられた例*6もあるし(訴えた方が負けたけど)、過去の新聞を全部電子化⇒無料公開*7、とかしたら一度新聞報道されていた場合のダメージが今以上になるわけで、メディア監視システムとしてだけでなく色々な意味で既存メディア*8アーカイブとネットの融合がもたらすものは面白くもあり、怖くもあり・・・
NDLのうちにとどまっていて、誰かの発掘を待っている今はまだそれほどでもないけどね。
とか言って油断していると駄目なんだろうけど。

*1:なのかな? 「嘘はついていない!」ってコメントもあって、そこら辺は詳細を追ってないので自分からは何とも

*2:本当かな? 少なくとも大学入学以前にそんな話を聞いた覚えはないが・・・

*3:なんかありそうなんだけど忘れている気もする・・・

*4:参照:国立国会図書館ではあの迷(名?)台詞の元ネタが調べられない、とか - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

*5:The Times & The Sunday Times

*6:たまたま本文つながりにくかったのでリンク先はブクマ

*7:有料なら既に既存サービスでいろいろある。毎日もあるはず。Mainichi Dayly Newsがサポート対象ないかはわからないけど、筑波だと図書館(それも図書館情報学図書館には入っていない!)の端末からじゃないと毎日新聞アーカイブは引けないし

*8:ネットに対する新聞、テレビと言う意味でなく、すでに存在している媒体でまだ電子化されていないもの、と言う意味で(5:47a.m追記)。