6月末に第1回定例会が行われた図書館情報学若手の会ALISですが、1カ月余りで早くも第2回定例会開催です!
そもそもの発端は、図書館情報学という世間一般ではマイナーな(^^;)学問を学ぶ学生の端くれである自分たちが、他にも同じテーマについて勉強する、同じ学生たちと知り合いたい、お話したい、と考えたことでした。
辺境の地で学んでいることもあって、普段では中々他大学の学生さんたちとはお知り合いになる機会もありあません。
だったら、「図書館情報学」を合言葉に、学んでいる人たちや、それに限らず広く興味関心を持つ人たちを集めて、相互に交流を持てるコミュニティ(ネットワーク)を作りたいと思ったのです。
こうして、ALISを作ることになりました。
ALIS(Around Library and Information Science)という名前を聞いて、不思議に思う人もいるかもしれません。
"Around" は前置詞。
本来なら、前置詞の前にAssociation やStudentsなど、なんらかの名詞が入るはずです。
でもあえて名詞を入れないことによって、みんなが集まってつくる「何か」は、既存の枠組みに縛られない自由な関係であるということを表したかったのです。
- *定例会*
- 開催日時:8/1(日)15:00-17:00
- 開催場所:東京大学本郷キャンパス教育学部267室
- 図書館と競技スポーツ!?(筑波大学 知識情報・図書館学類 永見聡一朗)
- 非正規職員の能力開発(青山学院大学 大学院 教育人間科学研究科教育学専攻 鈴木芙実)
- 「セマンティックウェブと図書館」ウェブ時代に私たちのできること(筑波大学 大学院 システム情報工学科 大澤昇平)
- 当日の様子(ustream)
というわけでustreamはありますが、動画を見るのが面倒くさいと言う方向けに以下、いつものとおり当日のメモです。
例のごとくmin2-flyの聞きとれた/理解できた/書きとれた範囲のメモですので、ご利用の際はその点、ご容赦願います。
お気づきの点など、おありの場合はコメント欄等でご指摘いただければ幸いです。
はじめに:(有元よしのさん、筑波大学・知識情報図書館学類 [twitter:@ariyosi])
- ALISの目的
- 既存の枠組みにとらわれない自由な関係を持ちながら若手相互のネットワークを形成
- 人々の出会いの場
- ALIS: Around Library and Information Science
- ALISの野望・・・この活動を全国に広げること
- ALISは成長する有機体、私たちと一緒にALISも成長していけたら
ライトニングトーク
そろそろ筑波大学 知識情報・図書館学類についてひとこと言っておくか(筑波大学 知識情報・図書館学類 三津石智巳さん)
- 自己紹介
- 名前:三津石智巳[twitter:@tlila]
- はじめに一言
- 「のるしかないこのビッグウェーブに」
- 「図書館情報大学史」
- 図書館情報学と知識情報学?
- 視点の違い:知識情報学は「社会における知識の共有を保持するという社会的価値を追求する総合的視点」
- 対象世界:後でTwitterで呟く
- つまり・・・知識情報学は知識共有に関わる総合科学
- それを反映して新たなカリキュラムのもと、学問を進めている
- さて、今年は2010年・・・
- 知識情報・図書館学類開設から4年目、節目
- 当時の入学者が4年生になり、学類としてのアウトプット・アウトカムが出てくる時期
- そのうちの1つがALIS?
- このビッグウェーブにのるしかない!
- では、アウトプットの一つがALISとして・・・
- ALISのアウトプットとアウトカムは?
- 皆さんで議論する必要がある
- ただ集まって何かをやるだけじゃなくて何か成果を出したいよね?
- 思うところがあれば後の議論で
- ALISのアウトプットとアウトカムは?
「学校図書館の原点」(東京大学 大学院 教育学研究科 今井福司さん)
- 肩書が長い! メモれるか!
- [twitter:@librarius_I]
- なぜ学校図書館?
- なぜ歴史研究?
- なでお金が要る、なぜ人が要る、なぜ理解がないのかが、ちょっと前までは説明できなかった
- 説得力のある説明がしたい・・・
- 学校教育に学校図書館が必要、と強く主張したいという意図
- 始まりが説明できればその後もうまくいくのでは?
- しかしそれだけか?
- 本当にそれだけか、ということを調べて博士論文へ
図書館と競技スポーツ!?(筑波大学 知識情報・図書館学類 永見聡一朗さん)
- [twitter:@nagasou]
- 提案したいこと:図書館による競技スポーツへの情報支援
- しかしイマイチ関係性がわからない?
- 図書館はおとなしくてスポーツはちょっと
- 体育会系は運動、筋肉、プロテイン、考えるより身体を動かすのが好き
- しかし競技力向上に図書館の利用は非常に有効:
- 図書館は競技力向上の「知の砦」
- 競技力を向上させるには・・・
- 情報・知識も非常に重要
- 心・技・体を操るにも、才能や努力を磨くにも情報・知識が必要
- 自らの経験
- 競技力の向上には情報・知識が欠かせない。図書館の出番!
- 現状、図書館が関係したサービスはない・・・
- 一部のトップ選手には情報支援も行われているが小規模
- 一方で情報戦略の重要性はスポーツ界でも叫ばれている。海外に比べても日本は遅れている
- 現状、図書館が関係したサービスはない・・・
非正規職員の能力開発:研究動機と目的(青山学院大学 大学院 教育人間科学研究科教育学専攻 鈴木芙実さん)
- 自己紹介:学部時代は違う大学で、違う分野を専攻
- 図書館について勉強し出したのはこの4月からがはじめて
- 研究動機
- 非正規職員がどう自己の専門性を高めているのかに興味
- 非正規職員同士のつながりはどういうものなのか?
- 雑誌等で調べると、非正規職員を対象とした研修・能力開発は当時(2年前)はあまり述べられていなかった
- 非正規職員の能力を高めれば、図書館・図書館員へのイメージ向上のきっかけになるのでは?
- 非正規職員の主な仕事はカウンター作業。利用者と接する作業に従事する職員の在り方が図書館全体の評価に関わるのでは?
- 非正規職員がどう自己の専門性を高めているのかに興味
- 研究目的
- 研究手順
- 文献調査、質問紙調査、インタビュー調査
- 結果をもとに能力開発の具体的方法を提案したい
- 文献調査で明らかにしたいこと:
- 非正規職員とはどういった職員を指すのか?
- 非正規職員に求められる能力(専門性)とは?
- 図書館界における研修とはどのようなものか? どういう風に行われてきたのか? その特徴は?
- 能力開発の手段をどのように実践し、評価するのか? 非参与観察で評価するのかとは思うが・・・
「大学図書館HPを活用した情報サービスの変遷」(明治大学 文学部 青野正太)
- 図書館HPは非来館者へのサービス、あるいは特有の情報源として重要
- 大学図書館のwebサービス(ウェブラリーサービス)がどのように発展したかを過去のHPを調査したい
- 対象は明治大、東大、京大、
- Internet Archiveを使って調査
- 調査結果
- 最初は図書館HPは1つの役割しか持たされていなかったが、時代がすすむにつれ全ての機能を持つように
- じゃあこれからどうなる?
- これまでは大衆に発信するサービス
- 今後は個々人に対応していくウェブラリーサービスへ?
- これまでは大衆に発信するサービス
「セマンティックウェブと図書館」ウェブ時代に私たちのできること(筑波大学 大学院 システム情報工学科 大澤昇平)
- 全世界のウェブ情報量・・・桁数がわからないくらいGB
- 20年前に比べて時代は変化
- しかしWebでは不十分
- 図書館にあってWebにないもの・・・本棚による資料展示の一覧性、NDLによる資料の分類、レファレンス・サービス
- それらをWebに持ち込むにはどうすればいい?
- Webに多くの情報を統合・整理しユーザに提供する仕組みがいるのでは?
- 図書館にあってWebにないもの・・・本棚による資料展示の一覧性、NDLによる資料の分類、レファレンス・サービス
- そこでセマンティックウェブ
- ウェブ上のあらゆる情報資源にメタデータを付与して情報統合を行う試み
- その重要な技術の一つ、エージェント・システムについて
- セマンティックウェブを使えば、エージェント・システムで自動的に資料をピックアップできる
- ユーザがシステムに問い合わせをすると、システムがウェブ上のあらゆるメタデータを調べてユーザに自動的に提供
- これはデジタルな司書では?
- 図書館サイドでも取組み
- セマンティックウェブへの貢献が私たちにできること!
情報教育のススメ ―図書館ではない図書館情報学の一例として―(筑波大学 大学院 図書館情報メディア研究科 中園長新)
- [twitter:@zerosylph]
- 今日言いたいこと・・・私は発表7人目
- ここまで6人全員図書館、ALISのLISは図書館情報学だというが、「情報」はどこへ消えた?
- 図書館だけじゃ勿体ない。図書館学会がわざわざ名前変えてまで情報を埋め込んだのだから、もっと色んな視点から見た方が楽しいのではないか?
- 図書館を見ないわけではない、凄い大事だが、図書館を道具の一つとしか思ってない人は違う面から見るので喧嘩しないで仲良くしようよ
- さて「情報教育」
- 私の専門は高校の教科「情報」
- 今日の参加者の中だとB4だと受けているかも?
- 高校の教科「情報」は情報教育の「一部」
- 本来は小学校からもやるべきだし家庭や地域でもやるべき。その取りまとめが高校
- 文科省の「生きる力」とも関連
- 「情報教育ちょうだいじ」
質疑応答
- min2fly⇒鈴木さんへ「どの館種の非正規職員を扱うの?」
- A:まだ考えていない
- Q:「クラスタって」?⇒大澤さんへ
- A:図書館系、図書館を志す人、くらいのイメージ
- Q:青野さんへ・・・京都大学は図書館員の意識が高くて、勉強会やって新しいサービスの話をしていたりもする。歴史でまとめるよりも、なんでそうなったのかという人や組織の特性に着目しても面白いかも
- Q:なんでだろう、を明らかにすると面白いので是非。
- Q:三津石くんに。図書館情報学における「知識」ってどんなイメージ? 僕は図書館情報学における「知識」にコンセンサスが取れていない気がする。我々はどういうイメージを持っていけばいい?
- A:図書館情報学および知識情報学の枠組みの中で、その対象となる「知識」をどう定義すべきと思っているか、という話?
- Q:例えば哲学だと認識論という、「知識とは何か」をやっているような領域があるが、そういうところとのコミットがない。かと言って彼らのようなスキルは我々にはない。ということでは我々ならではの「知識とは何か」という質問にどう切り込むべき?
- A:一つは、今おっしゃったような他の立場で突き詰めている人に対する認識は持つ必要があるだろう。あとは・・・難しすぎて、あとは懇親会もしくは後でTwitterで。難しいです。
- Q:Twitterで思い出したがアカウントをさらしたくない人は?
- A:数人手が上がる。その人以外は、あとでさらされる?
- Q:(Twitterから)青野さんへ。明治以外の2大学はどうして選んだ?
- Q:鈴木さんへ。Twitterから。カウンター業務を主とする非正規職員の能力向上のコストは誰が負担する? 研修費用など。
- A:そこでコストがあまりかからないOJTに着目しているが、どういう観点でコストがかかるということになるのか。
- min2-fly:かかる時間をコストとみなす、ってのがあるのでは。
ディスカッション
ALISのアウトプット・アウトカムについて?
- 全国制覇のためには大事だと思う!
- 三津石:言いだしっぺが責任をとって。第2回を東大で開けたのも成果とは思うが、今後何年、十何年と続いて行くとして、今後ALISはなにを生み出していく? 個々人でも持っていていいと思うが、一つ共通したものがあってもいい。一つ思っているのは、例えば最初1〜2年はとりあえず図書館情報学の若手を全国から釣りあげる。そんなに広い業界ではないと思うので、ARGに出てこないような若手を釣りあげればだんだん規模は大きくなると思う。ただ、図書館情報学の若手に限定するとどこかで広がりに限界も出るだろう。そうなると内輪っぽくなるのでは、と危惧している。じゃあ、一定の広がりをしたときにALISの展開を考えるのが第2期か。まずは表に出てこなかった若手を表に引っ張り出す。その後のことを考えたときにどういったものを生み出したいのか、もしくはこういうものを得たい、というのがあれば聞きたい。しばらくは続けていくだけでも意義があると思うが、その後がだらだら続けるだけでは意味がないと思うので。
- 永見:アウトプット・アウトカムって参加者にとっての? それとも外に発信していくということ? 例えば会議録をまとめて発行、とかは参加していない人にも利益になるのだろうし、参加者にとっては参加しているだけでもアウトプット・アウトカムでは。
- 有元:個人的にはALISとして何かを生み出したい。
- 永見:参加者以外にも何かを提供したい、ということ?
- 有元:成果物をALISで作りたい。ALIS自体が業界に働き掛けていけるような力のある組織にしたい。
- 中園:ALISがあってよかった、と思えるような何かがあるといい、ということだよね。それがあれば「こんな便利な組織なら私も行ってみようかしら」という人も出るだろう。
- 今井:東大で2回目の開催をネタ振りした立場として。僕自身が思うのは、東大は規模も小さいので、自分がやっていることを発表しても「ああ、またやっているのね」と言われて新鮮な意見が出てこなくなる。今回、僕自身、自分がやっている研究を見直して一から、というのは新鮮だった。筑波だと見知らぬ人と知り合うこともあるかもしれないが、僕はこういう普段会わない人たちの前で発表すること自体メリットがあると思う。学会でも研究会でもない、その前の段階で話せるということだけでもメリットがあると思う。
- 有元:ここに関わることでどうなりたいとか、どういう風になりたいとかあったら。
- 最近まで別の業界で勉強していて図書館に今年から入った。前にいた世界に比べて閉鎖的な世界だと思っていたが、ALISを知った。プロジェクトをやること自体意味があるし、業界にとってもプラスになると思う。
- どういうところが閉鎖的?
- ここの世界は具体的なものや情報を扱っている割に具体的な話が出てこない印象がある。自分の思う図書館像をぶち当てあって議論する、というのが偉い人の間にない。社会学者なら自分たちの社会像をぶつけあって発展的に前に行こうとするのに、この世界はマイナス面のことを極力言っていくような印象がある。
- 研究発表の前段階の勉強会みたいな会でもいいと思うし、ふつうの学生をやっていると院生や他大と知り合う機会もない。他の方がやっていることを知る上でも価値があるかな、と思う。
- 有元:みんながなにをやっているか知るのも大事だと思うけど、そこで会ってやりたいこととかはある?
- 漠然としているが、ALISが活動をしていることで図書館情報学会にいい影響が与えられればいい。あとはなにか発行する、というのはありかと思う。学会誌と言うと凄く敷居が高い。そういうのを学生が発行できるといいのかな、と。入学当初の1年生が図書館について思っていることを発表するだけでも新鮮かも。
- 今井:ALISっていい意味で新しいと思う。これをustreamでもTwitterでも流している。でもそこで最後で成果物が印刷物、というのもそれに拘る必要があるのか。ブログや何かで言いたいことをまとめておいて、それをALISのサイトでまとめるとかもあってもいい。
- 何か発信することをやって行ってもいいのではないか? 発信はしているが・・・
- そもそもALISってどれくらいゆるい、あるいはアバウトなの? ちゃんとした紙媒体を出そうと思うと編集委員会的な何かが必要になる。それをやるのか、それとももっと適当にやるのか。もうちょっと具体的に言えば、1回目、2回目はLT数本、その後議論して懇親会だったが、これを毎回やるのも1パターンだし、もっと好き放題やるのも1つの手。場所と時間だけ決めてやっている研修会もあるし、発表時間や予稿集まで作っている研修会もある。ALISはそのどこに位置する? 私は超アバウトな方が好きだが、それに異論がある人もいるだろう。
- 今井:逆に有元さんに聞きたいが、定期的にやるつもり? 機が熟したらやる?
- 有元:基本的にはイベントにぶつけるのと、ある程度は定期的にやりたい。そんなに間隔はあけない程度で。やり方は色々あると思うが、軌道に乗るまでは今のスタイルを保ってもいいかな、と思う。ある程度、人も集まるようになったらフリーダムでもいいのかもしれないが。
- 私は逆にネットワーク、あるいはコミュニケーション程度のレベルで、誰かと連絡を取る手段とか、自分で何かをやる可能性くらいのイメージしかない。「やりたかったらやればいい」と思う、発行したいとかいう人はやればいいと思うが、なんでもできる可能性があるのではないか。
- min2-fly:アウトプット・アウトカムってなに?
- 三津石:参加者にとってのアウトプット・アウトカムと、ALISが外に向かって発信していく、という段ではALISとしてなにか発信していければいいのではないか。ALISが社会に対してどういうアウトプットをしていけるのか。
- Lifoについての説明・・・Lifo - Lifo-wiki
- 現職向けALISみたいなイメージ
- かっちりした学会誌やベテランの集まりは他がやってくれている。なら我々は図書館情報学若手、というラベルも書いたんだし、他がやっていない、ALISだからいいよね、ってことをやればいいのでは? 媒体は一緒でもいいけど・・・
- 今井:フットワークの軽さは好き。これくらいの緩さも軽さもあるから、図書館業界ででかい問題が起きたらお偉いさんがのんびりしている間にALISで若手の意見を先に出してしまうとか。
- 図書館情報学をやっているような若手ってどこにいるの?
- 日本中に司書過程はあるし、先生もいるし、他の分野でも興味がある人はいる。
- ニーズは凄いある。
- <ごめんなさい、ここら辺から俺もディスカッションに参加しているので詳しくはustreamを!>
最後は自分ががっつりディスカッションに参加してしまったので記録取れてませんごめんなさいm(_ _)m
ディスカッションは今回も今後のALISについての話になりましたが、どうでしょう、個人的なイメージとしては第2回定例会でだいぶ活動も軌道に乗ってきたような・・・
前回は筑波開催だったので当然、筑波大の方が多かったわけですが、今回は東大、青山、明治など色々な大学の方が参加されていてまた違った面々で面白かったです。
と、このコメントを書いているのは実はディスカッション最中だったりするのですが・・・(笑)
前回、
つくば以外での(おそらくは次は東京での?)第2回の開催が喫緊のやること
と自分はコメントしていたわけですが、まさに今回、実現したわけでこれは素晴らしいと思います!
記録は取れていないのですが、ディスカッション後半では異分野や社会人の参加、全国での開催についても話題になり、今後ますます活動の幅が広がっていくことになるのではないでしょうか。
とりあえず次回は関西開催ですね!
*1:2010-08-02 3:49 a.m.追記