機関リポジトリの今とこれから…350機関/100万超コンテンツの現在とその先(オープンアクセス・サミット2013 学術情報のオープン化に向けて〜現在の到達点と未来の展望〜 参加記録その1)
下手なこと*1は言うもんでなし。
すっかりご無沙汰の更新ですが、別に閉鎖あるいはブログ休止していたわけではないのです。
ただ、日常業務に追われてなかなかイベントに参加しなかったり、参加しても書かなかったりの結果、ずいぶん更新をせずに今に至っただけで…いやいやいや。
大学教員、思った以上に忙しい(汗)
そんなわけで、久方ぶりのイベント参加記録も参加からずいぶん日数が経ってしまいましたが。
2013/6/6〜6/7にかけてNIIで開催された「オープンアクセス・サミット2013」に参加&発表して来ました!
平成25年3月をもってCSI委託事業とSPARC Japanは共に第3期の事業を完了しました。ここで事業の到達点を確認するとともに、博士論文のインターネット公開やJAIRO Cloudの展開も踏まえつつ、未来を展望し、オープンアクセスの新たなスタートを切ります。
SPARC Japanは第4期に入っていますが、機関リポジトリに関する活動を推進してきたCSI委託事業は平成25年3月で終了です。
自分が研究者的に物心ついたころ(2007年くらい)にはもう既に存在し、ご縁もあって自分も関連分野に関わって2009年には報告交流会で発表の機会もいただき、ついには博士論文にまで至ったという活動が終了というのはなかなか感慨深くもあります。
それにしても、最初の安達先生の基調報告にもあるとおり、現在、機関リポジトリを設置している、あるいは準備中の機関の数は350を超えているそうです。
機関リポジトリが日本で認知されだした当初、10年後にそんな数になっていると予想した人がどれだけいたのか。
午後最後のセッションでネタにもされましたが、自分は2009年の時点で、日本の機関リポジトリは150機関(国立大学+公私立のいわゆる研究大学的なところ+主要な国立研究所くらい)くらいでいったん頭打ちになるだろうと思っていました。
まさか4年後、その予想の2倍以上になっているとは・・・。
そんな感じで大きな成果を生んだCSI委託事業やJAIRO Cloudの話を中心に、機関リポジトリの現在の到達点と、この先どうするかを考える、というのがOAサミット初日の内容でした。
以下、例によって当日の記録です。
例のごとくmin2-flyの聞き取れた/理解できた/書き取れた範囲でのメモであり、数カ月ぶりのイベント記録で腕がなまっていることまで含めてご理解の上、ご利用いただければ幸いです。
誤字脱字・事実誤認等、お気づきの点があればコメント欄等でご指摘ください。
なお、一番最後のセッション、NIIの山地先生がサンデル教授ばりに大活躍する 「これからの「リポジトリ」の話をしよう」については、自分が講演者の一人であったこともあって記録をとれていません(汗)
これについては、後日映像がNIIのサイトで公開されるそうなので、それを待っていただければー。
では以下、まずはNII・安達先生の基調報告から!
基調報告「 「OAの潮流と機関リポジトリ」」(国立情報学研究所学術基盤推進部長 安達淳先生)
- NIIで仕事をする立場から、機関リポジトリについての考えをお話したい
- NIIではCSI事業の中で機関リポジトリを重要な課題と位置づけ、200以上の機関で運用している
- さまざまな情報を他のサービスと組み合わせることで研究者・学生に提供しようとやってきた
- 我が国の研究者・学生の置かれた状況・・・
- 研究成果については強く言われるが、大学の研究者にとっての成果は論文
- 社会的には製品とかも成果として求められるが、論文として流通することが今の学術の基本的なあり方
- 日本の研究者、特に理工・生命医学は国際的に活躍していて、例えばWeb of Scienceに載った論文の8%を占めている
- 日本の学会による電子ジャーナルも一定の大きさはあるが、国際学術出版社の雑誌が大部分を占めている
- 欧米レベルで活動している側面
- 研究成果については強く言われるが、大学の研究者にとっての成果は論文
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- 日本語/国際レベルの流通の両方を見なければいけない、というのが現在の状況
- 機関リポジトリの側面をあえて2つに限定してみると・・・
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- オープンアクセス(OA)が大前提・・・OAでない機関リポジトリは存在しない
- お金をとってデータを公開、とかは考えない
- オープンアクセス(OA)が大前提・・・OAでない機関リポジトリは存在しない
- 現在のOAの論点
- 現在の日本の機関リポジトリの状況
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- コンテンツ数は順調に伸びている=機関リポジトリが増えるとコンテンツの数も増える
- 蓄積は順調に進んでいる?
- コンテンツ数は順調に伸びている=機関リポジトリが増えるとコンテンツの数も増える
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- 捕捉率の試算(概算)
- 紀要は存在するものの半分は機関リポジトリに入っている?
- 学位論文は6%程度だが、今後は制度化されるので100%に近くなると期待
- 学術雑誌論文は、Web of Scienceベースで計算すると3〜5%の捕捉率
- 努力している大学では13%の捕捉率、という場合もある
- どういうコンテンツをどう搭載するか、各大学の考え方があらわれる
- 捕捉率の試算(概算)
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- JAIRO/IRDB対象機関数の推移
- データをハーベスティングして検索・統計作成等できるようにしている・・・ぜひ申し込んで!
- JAIRO/IRDB対象機関数の推移
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- 現状・・・私立大学からの申請が多く、71の機関リポジトリが現時点でCloudで公開されている
- 先週、ハードウェアトラブルでCloudが止まってしまい、ごめんなさい。今後はこれをベースにより信頼性の高いサービスをやっていきたい
- cloudは発展途上の技術でもあり、十分な経験がなかった。安定運用にはノウハウが必要と痛感した
- そこは努力していくので、ぜひサービス構築のためのプラットフォームとしてJAIRO Cloudを考えてほしい
- 現状・・・私立大学からの申請が多く、71の機関リポジトリが現時点でCloudで公開されている
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- 2012⇒2013の変化:
- CSI委託事業を終了した最大の理由:量的展開についての目的は達成した!
- JAIRO Cloudは今後拡大していく・・・既に機関リポジトリを運用している大学も使えるように/移行できるようにしたいと検討中
- 既にある機関リポジトリを移行する方が色々大変。そう簡単にできるものではない。Trialしながらスムーズにできないかを、技術・手順・作業それぞれ検討しながら進めたい
- OAの推進・・・機関リポジトリのプロジェクトではあまり前面に出さなかった
- セルフ・アーカイブはかなり大変な仕事。機関リポジトリをセルフ・アーカイブの場と言ってしまうと、その推進を旗印としては運用上の困難が生じると考えた
- 欧米に比べると日本はOAの動きが遅い。極めて上のほうで掲げるだけで、具体的な施策が出てこない。例えば科研費の成果論文をセルフ・アーカイブせよ、ということなどは、議論はされるが先送り
- 唯一定まったのが博士論文の機関リポジトリ搭載。欧米では助成研究の公開は制度化されているが、それほどはセルフ・アーカイブは進んでいない
- OAをどう推進するかを考えなければいけない。例えば学部・全学レベルでのOA推進を宣言する大学等もあるが、日本ではそれは皆無
- 研究者へのアプローチが全くできなかった。そもそも図書館が研究者とちゃんとやれているか、ということもあるが、少なくとも機関リポジトリではできていない
- コミュニティの発展がどうなるかはまだよくわからない。少なくともNIIのプロジェクトに参加して機関リポジトリの数は増えたが、次の新しい手を打たなければいけない
- 質的な向上・・・機関リポジトリコミュニティではあまり言われていないが・・・
- つねに重視していただきたいこと:
- Gold OAが主流にのってきた・・・PLoS ONEのようなOAメガジャーナルの普及
- 個人的には・・・OAの期限は価格が高騰する雑誌に歯止めをかけるためのものと認識している
- それに加えて納税者への説明責任等の考えも出てきた
- 登録義務化をやるという段階に我が国も達している
- 明日、アメリカのSPARCのdirectorが講演するが・・・
- 研究者はImpact factor等がつけばすぐ行動を変える
- 学術コミュニケーションの変革をSPARCはずっとやろうとしてきた。現時点ではそれをOA推進として位置づけてきたが、研究者の認識とはずれている
- 研究者はOAでも購読モデルでもどっちでもよくて、自分の成果が評価されればいい
- インパクトファクターの撲滅宣言(DORA)というのも出ていて、IF算出元のトムソン・ロイターすら理解を示しているが・・・
- 研究者はIFとかでふらふら動く存在。そういう人々にどうアプローチするかも含めて機関リポジトリやOAを考えてほしい
- 機関リポジトリだけでもOAモデルだけでも学術情報流通は回らない:
- 購読モデルも含めたいろいろな道具立てを使って、リーズナブルが学術コミュニケーションを実現して行かないといけない
「JAIRO Cloudの概要と平成25年度データ移行実験について」(国立情報学研究所 学術基盤推進部 学術コンテンツ課長 相原雪乃さん)
- 最初に・・・先日のトラブルではご迷惑をおかえし、本当にごめんなさい
- 今後はこういうトラブルが起こらないようにする
サービス概要
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- NIIはネットワーク・ハードウェア・ソフトウェアを用意・・・システム環境を提供
- 各大学はコンテンツを登録したりユーザインタフェースを管理するだけでOK
- NIIはネットワーク・ハードウェア・ソフトウェアを用意・・・システム環境を提供
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- 詳細:
- 当面、利用料は無償
- 24h / 365d
- 使えるソフトウェアはWekoのみ
- 詳細:
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- データ保管について・・・コンテンツの最終責任は各機関にお願いしたい
- バックアップを忘れずに持っておいてね!
- データ保管について・・・コンテンツの最終責任は各機関にお願いしたい
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- 使用ソフトウェアWeko・・・NIIの山地先生(午後に登壇)が開発
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- コンテンツ登録は簡単にできる! 画面変更もメニューから簡単に!
- 申請すればCiNiiやJAIROでの検索も可能に!
- コミュニティサイトでニュース・マニュアルが共有可能。「フォーラム」機能で参加機関同士で質問しあったり助け合うことも
- テストサイトも完備/システム講習会も実施!
- min2-flyコメント:なんかHDDとかちょっとした機器の箱に書いてある謳い文句みたいになってきたな・・・
- コンテンツ登録は簡単にできる! 画面変更もメニューから簡単に!
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- JAIRO Cloud利用状況:
- 公開済み/公開予定あわせて118機関
- Wekoは今後も機能を拡充・追加予定
- JAIRO Cloud利用状況:
移行実証実験
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- 既にある機関が乗り換えるための実証実験中
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- 筑波大/千葉大が参加中・・・他もスケジュールを見て調整中
- 利用機関の多いソフトウェアを優先に移行ツール開発中
- 実験参加=移行決定、ではない。各機関のやりたいことが実現できないかも。それらも洗いだしながらチャレンジしてもらっている
- 筑波大/千葉大が参加中・・・他もスケジュールを見て調整中
min2-flyコメント:移行はいいと思うけど、移行時にリンクを従来のものから変えるとかわけのわからないことは絶対にしないでいただきたい
JAIRO Cloudの活用事例報告
京都ノートルダム女子大学:森雅子さん
- 登録数もそれほどないし特徴もないのだが、いろんな規模の報告・事例でいいとのことなので
- 予算等がなくても公開できたのはCSI事業のおかげでもある。感謝の気持ちも込めて報告したい
- 京都ノートルダム女子大学の説明/図書館の説明
- 予算も人手もなかったが、CSI事業の領域1, 3 + JAIRO Cloudによって公開に至る
- 京都ノートルダム女子大学のリポジトリは職員からのボトムアップで構築
- 現在・・・学内刊行物の電子化・登録を進める
- 紀要+図書
- 今後・・・
- 登録件数増加
- 学術雑誌論文登録
- 公開環境整備
- ユニークなコンテンツ
- リポジトリを活用して出版新事業を
- 予算をかけなかったことは忘れられやすいので継続した広報活動を
神戸市外国語大学:谷本千栄さん
- 神戸市外大の説明
- リポジトリ構築の経緯:5年以上前から検討⇒予算確保に難航して具体的に進まない
- JAIRO Cloud構想を聞いて一気に構築の機運が高まる!
- 2012.8に試験運用⇒2013.4に正式運用
- 費用がかからない+タイミングがJAIRO Cloudの採用に踏み切った理由
- JAIRO Cloud・・・工夫次第で独自性のある画面も構築できたり
- CSI事業として・・・2012年度に受託して紀要を電子化
- 紀要電子化の費用を学内研究会から寄付してもらう機会も
- 構築後は色々いっきに動き出す
- 紀要発行部署からは図書館が戸惑うほどの協力
- PDF仕様の希望を伝えると「図書館が思うように」ということに。印刷業者とも直接対話
- 博士論文・・・大学院事務の担当部署で許諾書を同時に渡してもらえるように
- 許諾書は100%回収/本文登録は芳しくない(図書としての出版希望のため)
- 教員連携・・・部会メンバーが積極的に協力・コンテンツへのアドバイスへも
- 学会発表資料についての登録を依頼したら分野によって公開ニーズの有無があることを聞いたり
- 登録による効果・・・
- 国際学会紀要を登録したら多くのアクセス
- ILLの受付件数増加
- 紀要発行部署からは図書館が戸惑うほどの協力
- 今後:
- 紀要の投稿規定でリポジトリ公開を明文化する
- 紀要以外のコンテンツを充実する
- 学内の認知度向上
- JAIRO Cloudのちからとして感じること:
- リポジトリ運用は大変だけど、学内他部署との連携やOAへの貢献など、苦労以上に楽しいことが多い
質疑応答
- Q. 神戸外大さんに。情報処理センターと図書館の連携はどうやっている?
- A. 所属が学術情報センターなのは、自身の所属は図書館部門で、情報センター・・・ではない。センター内に情報メディア班と学術情報班、図書館の班があって、私はそちらにいる。他部署との・・・情報メディア班との連携はあまりない。ただ、報告中にあったとおり、紀要発行部署等との協力はある。
- Q. 信州共同リポジトリに。共同リポジトリは鹿児島でもやっているし広島など先行事例もあって、中心大学がサーバを構築して地域が参加するものが多い。信州ではサーバ等の自力構築は検討した? JAIRO Cloud選択のメリット/デメリットは?
- Q. 鹿児島でも地域共同リポジトリはあるが、それに載っているところとJAIRO Cloud利用が混在していて、いろいろ考えたい。またお尋ねしたい。
- Q. システム移行の件について。例えば大学によっては「ここは移行できるがここはカスタマイズしすぎて移行できない」ということもあると思う。部分的移行という選択肢はある?
- A. いろいろなケースを試していないのではっきりしたお答えはできないが、コンテンツの部分的な移行・・・?
- Q. 例えば紀要はすぐ移行できるけど業績報告書はすんなりとはいかない、など。やりやすい/にくい部分があると思うが・・・特にカスタマイズしているところではあると思うが・・・全部移行しないとだめなら独自でやることになると思う。先行大学ではそういう問題があるのでは?
- A. これからいろいろなケースを検証しながら考えて行きたい。「こう動きます」とは現段階では言えない。
- Q. (安達先生):ノートルダム女子大と神戸市外大について。大学の規模に対してうまくやられているようで興味深かった。質問は、今年度からこういう作業を継続してやっていくときに、小さい部署だとおそらく人にどう仕事をしてもらうかが一番、頭がいたいのではと思う。単純に今までの仕事の他にリポジトリの仕事が増えたわけだが、それをどうこなしている? サポートはある?
-
- A(神戸市外大):他の業務も担当しながら時間をやりくりしていたので時期によって作業のむらがあった。毎日1〜2件でも登録して行きたい。今年度は別業務の担当になったのだが、1年かけて引き継ぎをしながら、図書館内に私以外にもリポジトリがわかりコンテンツ登録できる人を増やしていこうと考えている。ルーチン化・業務内への取り込みは今後の課題と考えている。
昼休み
セッション2: 「CSIの現状の到達点」
先導的プロジェクト(領域2)の実績報告
金沢大学「国内の機関リポジトリへの著者識別子登録機能の実装の推進とその課題」(橋洋平さん)
- 事業の目的:
- 名寄せ:改姓や表記ぶれしている場合でもまとめて集められる(違う名前の同じ人をまとめる)
- 識別:同姓同名の複数人を区別する(同じ名前の違う人を区別)
- JAIROで集めてきた著者について、機関を超えてリストを作るのがまずは目的
- 金沢大学での実証実験
- 複数大学での実証実験
- JAIROの著者検索機能の強化・・・デモ
- 違う大学で登録された同一人物の業績が一括で出てくるように
- 完璧には付与できないという課題も
- JAIROの著者検索機能の強化・・・デモ
- なかなか普及しない・・・課題と展望を探る必要⇒アンケート実施
- 機関への質問・・・カスタマイズが必要なことが普及を妨げる/情報不足への指摘も
- システムについて・・・Weko利用期間が最近増えている/それを抜きには今後は考えられない
- DSpaceのバージョンでは・・・識別機能が使えるものを使っているところが多いけど、普及せず
- 研究者向けの質問の結果・・・同姓同名で困るという話が寄せられる
- 必要性・・・あればよい、という微妙な回答が多い
- この微妙さが問題??
- まとめ:課題と展望
- 受け入れの素地はあるが、研究者リゾルバ/著者IDの広報や国際動向の啓蒙が要る
- 各館単位でのサポートは困難なのでそれはなんとかしないと
- Wekoへの期待高し
千葉大学「機関リポジトリアウトプット評価の標準化と高度化(ROAT)」(武内八重子さん)
- 2010〜2012年度の活動:
- アウトプット評価システム=ROATの運用
- ROATの統計処理方法の検討
- アウトプット評価に関する情報交換・情報共有の実施
- 再検討の結果・・・ROATシステムの提供終了へ
- ROATの運用:
- ここでいうアウトプット評価とは・・・登録コンテンツ数=インプットに加えて、それがどれだけ利用されたか=アウトプット評価、と定義
- 例えば・・・大学ランキングでもダウンロード件数が扱われている。それがアウトプット
- ただし比較の常として、同じ基準・方法で算出されたものである必要がある・・・今のところはあまりはっきりしない基準設定
- よくあるのはアクセスログ分析に基づくものだが、それをどう処理するかの問題など
- ROATでがその処理方法等を考えるのが主旨で、その実装がROATシステム
- ここでいうアウトプット評価とは・・・登録コンテンツ数=インプットに加えて、それがどれだけ利用されたか=アウトプット評価、と定義
- 運用しながら・・・内容処理方法の正しさも検討
- 例えば・・・重複カウントの制御方法について、COUNTER等で定められている基準は正しいか?
- あまり意味がない基準になっている? 見直す必要はあるかも
- 利用者数・利用時間など、利用者単位の集計方法も検討したが・・・説明は省く
- 国際会議の開催/海外のセミナーに参加
- 報告書の作成・公開・・・現在は日本語版本編のみ公開/付録・英語版も調整中
- 例えば・・・重複カウントの制御方法について、COUNTER等で定められている基準は正しいか?
- さまざまな検証を終え・・・一定の貢献は果たした、と考えシステム提供終了
- 利用機関でロボットリストが欲しいところなどは声をかけて
- 今後・・・真っ白
- 利用に関する指標が比較できる形で入手できることをきちんと考える必要はある
- 今後も継続的に議論が必要と思うが・・・プロジェクトとして? 日本のリポジトリとして??
九州大学 「文献自動収集・登録ワークフローシステムの開発」(馬場謙介先生)
- プロジェクトの目標:リポジトリ登録論文数を増やしたい
- アプローチ:
- A. 著者に直接お願いする
- 外部のDBで探す⇒メールで提供をお願いする
- B. リポジトリ管理者の作業効率を上げる・・・先生方がOKしても作業時間がかかると増えない
- 論文登録作業を定式化/自動化できる部分は自動化/SCPJ等とも連動
- A. 著者に直接お願いする
- 開発したシステムの検証・評価結果
- 実際の画面の紹介等
- 教員への登録依頼への回答率は27.1%。もうちょっと頑張ればよくなりそう?
東京大学 「博士論文発信支援パッケージ開発プロジェクト」(小松陽一さん)
- 博論を増やすには??
- 登録しやすいこと(本人/図書館員)
- 利用促進
- コンテンツの充実=遡及登録で実績を積んで利用を伸ばす
- 結論:決定的な解決策はない!
- 博士論文は学位規則の変更で登録は基本的にされる。プロジェクトの意味が薄れた
- 今は・・・これからどう対応するか? 登録処理をどう効率化するか?
- プロジェクト自体ははじめての機関の検討材料になれば
- 「解決策はない」詳細
- 年1200-1300の博論のうち、登録できたのは1割程度
- プロジェクトで増えはしたが、網羅するには程遠い
- その原因・・・登録が任意である状況/いくら説明しても事務的な協力が得られにくい
- 学位申請が論文を出す直前にあるが、その手続きに入れてくれるかがポイント。学務・教務に説明しても「任意でしょ」となると協力を得にくい。「手がいっぱいでやりたくない」、「様子を見たい」という反応
- リポジトリの意義に賛同する著者もいるが、諸々の理由で公開したくない/載せたくない人が多い
- 特に人文系が出したがらなかった
- 現状、4,700件の登録があるが、大半は遡及登録
- 書式も一式作って部局にお願いしたりもしたが・・・その中で収集についても2つ考えた
- 事務的な協力がなくても受け口を用意する:利用者向けの登録インタフェース
- もう1つは・・・部局の事務手続きの中に入れてもらうフロー
- 利用促進について・・・検索インタフェースを作って特有の項目を探せるようにしたり
- 許諾確保・・・何年もたってからやると回収率が悪くなるので2〜3年で!
コミュニティ(領域3)の実績報告
名古屋大学「名古屋・東海地区における機関リポジトリコミュニティ形成の支援」(端場純子さん)
- H22-23に近畿地区でやっていたものを東海地区で引き継いで行なったもの
- 目的:学術情報のOA化推進
- そのために・・・担当者同士で気軽に情報交換のできる、顔の見える有意義なコミュニティを形成する
- 実施内容:
- 連続研修会の実施
- 機関訪問
- 平成24年度・・・名古屋・東海地区での実施(3回)
- 連続研修会・・・毎回基調講演+事例報告+質問大会で実施
- 成果:
- 参加者は毎回いる
- 構築状況・・・構築済みだったり準備中だったり
- 参加者アンケート感想・・・思った以上に好評
- 今後の課題:
- この機会にできたコミュニティを今後どう維持・発展させるか
- MLの要望が多かったので現在実施中
- この機会にできたコミュニティを今後どう維持・発展させるか
広島大学「機関リポジトリ担当者の人材育成」(松本侑子さん)
- min2-flyコメント:松本さんはこの4月に就職された新人の方だよ!
- ShaRe2 + 人材育成プロジェクトを整理・統合・・・平成23年度から広く人材育成を担うプロジェクトに
- 事業の成果:
- 短期間で技術・知識を習得したり情報共有ができた+人的ネットワークが形成できた
- 機関リポジトリ数/公開機関数ともに急激に増加中
- 今後も運営担当者の知識・技能の維持・向上のために研修事業を継続
- JAIRO Cloudシステムの講習会との区別や連携/他業務との兼任や異動のある制度の中で専門性・横断性を維持するのか
北海道大学「機関リポジトリコミュニティ活性化のための情報共有」(三隅健一さん)
- メインの活動:
- MLの運営
- 海外文献の翻訳
- 月刊DRFの刊行
- OA Weekで日本のOAを盛り上げたり
- 活動詳細
- ML・・・アーカイブも公開
- ウェブサイト・・・国内の役に立つものになるのを目指して色々情報を発信/英語版ページで海外に向けも情報発信
- 翻訳隊・・・有志によって月刊DRF英語版を作ったり、海外文献の邦訳をしたり。BOAI10の日本語版作成に貢献したり(with 愛知大学 時実先生)
- オープンアクセスウィーク・・・活動の呼びかけやグッズ作成・記録写真公開(写真とOAWについて紹介)
- ワークショップ・・・図書館総合展で全国ワークショップを開催やテーマ別ワークショップなど
- 国際連携活動・・・オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)への参加や国際会議への参加・発表、英文パンフレット作成、海外のリポジトリコミュニティとの接近など
筑波大学「オープンアクセスとセルフ・アーカイビングに関する著作権マネジメント・プロジェクト(SCPJ)」(真中孝行さん)
- SCPJについて:http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/
- 平成24年度の活動
- はじめてワークショップを開催・・・30名ほどが参加
- 担当者との情報交換/意見共有
- 講師派遣/DB機能拡張など
- ほかにもいろいろやっている
- 継続調査の結果・・・リポジトリ登録可能な方針を持つ学協会の割合は増えている
- 学協会関係者との意見交換
- インタラクティブに電話口等で会話したりも
- DB機能拡充も色々
- 今後の課題:
- 「僕と契約してSCPJスタッフになってよ!」
質疑応答
- Q. 九州大学へ。このシステムは最終的に先生方に依頼するためのもの?
- A. そう。
- Q. その仕事はシステムで省力化されたり件数は増えた?
- A. 件数は増えた。省力化は・・・一度に6,000件とか送っているので、手作業ではできない。
- Q. 筑波大・真中さんへ。学位規則改正で図書館への質問が増えている。学内事務からリポジトリ関連の質問が増えていて、特に多いのは著作権処理の話。博士論文が投稿雑誌論文だったら、という問い合わせが増えている。SCPJについて事務方に話す機会も毎日ある。そこで聞きたいのだが、全国的に図書館現場でそういうケースが増えていると思うが、SCPJとして博士論文の取り扱いに関して調査等することは考えていない?
- Q. 執筆者が自力でやるにしても図書館に相談に来ると思うし断れない。みんなでがんばりましょう。
- Q. 機関リポジトリを今後も発展させ使いやすくするために、という観点で興味深く聞かせていただいた。その中でROATとか自動登録のメールシステムとか東京大学・小松さんの学位論文を部局で登録してもらうためのワークフロー資料を作ったとかいう話があった。これから自分の大学でもやろうと思っていることばかり。これは、見たい場合、手に入れたい場合はどうしたらいい?
- Q. 著者ID等の付与状況の詳細確認
- A. 学外にいる共著者や、退官した教員の分が抜けている関係で37%くらい。
- Q. 今、所属している学内の先生にはIDがついているのだと思う。しかし学位論文を入れるようになると、膨大な人数になると思うが、どうする?
- A. その部分は今後の課題。科研費番号を付与する基準とかが変わることはあるのだろうか・・・なんとも言えない。
初日の記録はここまで。
あとは冒頭のとおり、最後のセッションは自分も参加してたので記録はとれませんでした。
後日スライド等もNIIのサイトで公開されるはずなので、公開後にリンクを追記しようかと。
初日もずいぶん盛り上がり、後の交流会でも楽しいひとときを過ごしたのですが。
このときは想像もしなかったのです。
まさか2日目、あんな光景を目にすることになろうとは・・・(以下、次エントリ!)