かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

参考図書は盗まれやすい?

ネタ元:DORAの図書館日報: 三大行方不明資料
http://dora-hikarilibrary.air-nifty.com/diary/2007/05/post_74dd.html

参考図書は単価が高いものが多いので、個人で買えないので持って行ってしまうという事もあるが、それだけではなく、売却目的で持ち帰るという事もあるようだ。図書館の本でも買い取る所があるという話は昔からあるが、以前は無くなっても国語辞典や英和辞典が数冊程度だった。それが最近では、人名事典や○○全情報みたいな本、果ては新聞の縮刷版まで無くなるという話がある。

げげげ・・・ついに図書館もそんな時代になってしまったか。


参考図書の万引きが多い、という話は書店ではけっこう前から聞く話。
「魔がさした」感じの万引きとかではもちろんそんなことは少ないわけだが、はなっから金銭目的の万引きなら、同じようなリスクを冒すなら単価の高い参考図書を盗んだ方が割がいいのは確か。
サイズの問題から単行書に比べるとリスクが高い気もしないではないが、危機感の薄い(きちんとした窃盗対策のとられていない)書店なら盗むのはそう難しいことではない。
金銭目的の万引きではボストンバック持ち込んで盗む奴もいると聞くしね。
きっと俺なんかの知らない巧妙な手段もいくつも出てきてるんだろう。


一方、図書館の本の転売目的の窃盗は、本来ならけっこう難しい。
というか、盗むこと自体は書店と同じかそれ以上に簡単だとは思うが、その後の「売り方」に困るから。
なにせ公共図書館の本はたいていカバーの上からブックフィルムがかけられていたりして、そのままの状態では一目で「図書館の本だ」とわかってしまう。
フィルムを上手に剥がす手段があるのかも知れないがあまり一般には知られていないし、それで本体の方に大きな傷がついてしまっては売値ががくんと下がる。下手すると買取拒否される。もっと下手すると通報される。
あからさまに図書館の本なのに買い取る悪質な古書店が周囲に存在しないかぎり、公共図書館の本を転売目的に盗むことは割に合わない商売(というと語弊があるが。犯罪なんだし)だ。


・・・なのだが、考えてみると参考図書の類ってブックフィルムかけられていないものが多い、よな?
となるとだいぶ事情が違うというか、転売にとって一番の障害ってあのフィルムなわけで、それ以外の大概の「図書館の資料である証拠」は、多少手間をかければ消去することはそれほど難しくない。*1
それに、近頃はネットでの売り買いも可能だから、悪質な古書店がなくても自力で転売することも不可能ではないのかもしれない。


・・・ってなことを色々考えると、やっぱBDSとか導入する必要があるのかも・・・
気分が暗澹とする話ではあるが、こと転売目的の本の窃盗については、「利用者のマナー」なんかの問題とは根本的に違うわけだし。
「万引きは立派な犯罪です」系の張り紙は、魔がさした系の万引き犯には有効かも知れないが、はなかっら転売が目的の連中には効果もなんにもありゃしない。
彼らの中には役割分担(囮・実行者・転売者、とか)まで決めてもうほとんど職業窃盗団みたいになってる奴もいたりするくらいで、「公共の資料」を盗むことへの良心の呵責とか、期待するだけ無駄みたいな雰囲気もある。
銀行強盗に「人のお金を盗むのは犯罪です」とか言っても仕方ない、みたいな。
向こうは知っててやってんだから。


ちなみにBookOffとかは確かすでにICタグを使った万引き本の買い取り対策実験とかを実施していて、「(新刊)書店の方でICタグを使うなどの対策をとってくれれば、BookOffでもそれに対応することはできます」みたいなことを言っていたはず。
なので実際に出版・流通サイドがICタグ導入に踏み切れば、今に比べれば万引き被害はだいぶ減るんじゃないかとは思われる。
買取サイドで対策とってくれれば図書館としてはなんもしないでも対策になるかとは思うが、より確実性を狙うならその機にあわせて図書館でもICタグによるBDSとか導入できるとよいのかな。


・・・いや本当、気分が暗澹としてくる話ではあるんだけどね・・・

*1:悪用されたら困るんで実際の手口は書かないが。ちなみにmin2-flyがそこら辺の話に妙に詳しいのは、出身地が窃盗団がごろごろしているような治安(というか素行?)の悪い街だったせいで、自分がやっていたためではない。念のため