かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「目録は図書館のコアである。しかし、目録作業自体はコアとは言えない」


Outsourcing Library Technical Services: A How-To-Do-It Manual for Librarians (How to Do It Manuals for Librarians)

Outsourcing Library Technical Services: A How-To-Do-It Manual for Librarians (How to Do It Manuals for Librarians)


アメリカで図書館のアウトソーシング論争に火をつけたWright State Universityのアウトソーシングに関わった著者らによる、テクニカルサービス部門のアウトソーシングマニュアル本。
まだ第1章と用語集しか読んでないが、のっけから「アウトソーシングはリエンジニアリングの中で検討すべき手段の一つであって、それ自体が目的ではないし、やらなくていいなら別にやらなくていい」と正論かましてくれてて割と好感が持てる。


で、その第1章の中で図書館の目録業務に関して述べているのが表題のフレーズ。
より詳しく言えば

目録業務の成果物としての目録(最近だともうOPACが一般的だけど)は、間違いなく図書館のコアの一つである。
目録があるから利用者は目当ての資料に迅速にたどり着くことができる。
しかし、目録をつくる作業それ自体は別にコアではない。
成果物としての目録さえあれば、業務は図書館以外の人間がやってくれてなんも問題ない。

って感じ。


まあ日本でもすっかりコピーカタロギングやオリジナルカタロギングのアウトソーシングが定着しつつあることもあり、言ってること自体は目新しくもなんともない(もう10年前の本なんだからそりゃそうだ)わけだが。
「なぜ図書館にとって最も専門的な業務とされていたはずの目録業務が、委託・外注・アウトソーシングがもっとも進んだ部門の一つになったのか」っていう問いへの、今までで一番すっきりした回答ではある。
もちろん、背景には機械化とか目録の標準化とかそれによるコピー・カタロギングの一般化があったわけだが、さらにそれらが行われた前提がここで言われてるようなことだったんだろう。


そんな状況でなお目録を自館のコアとして位置づけることがあるとすれば、それは「自分の館の資料については、自分のところでやるのが一番クオリティが高い(あるいは自分の館の利用目的に適うものになる)」という自負がある場合だろう。
古典籍に強い図書館とかだと割と、「まだまだ業者よりはうちの方が、古典籍の目録については上だ」みたいなところもあるそうだし。
あとは特殊言語資料とか、そもそも標準的じゃないフォーマットで目録やってるところとかか。
逆にいえばそういうところに所属してるカタロガーって幸せなのやも知らん。




・・・俺自身は、目録作業が図書館業務の中で一番苦手だけどね・・・
なにが悲しうてなに書いてあるんだかさっぱりわからない専門書の分類だの書誌事項だのをあーでもないこーでもない言いながら考えねばならんのか・・・
しかも授業によってはそれをMARC語で書けとか言い出すし・・・
MAchine Readable Catalog」やっちゅうに。
人に手で書かすことになんか意味あるんかい!
SIST02でええやん、SIST02で!
この期に及んで"/"まで区切り記号に入れられたらなにがなんだかわかりゃしねーっ!


・・・こんな人間ばっかだったら整理部門のアウトソーシングは今の3倍くらいの速さで進んでたろうな。
いや、むしろ受け手がいなくてアウトソーシング出来ないか?