かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

つくばリポジトリに収録されている学術雑誌掲載論文の著者について


前回はこちら:機関リポジトリ収録の学術雑誌掲載論文の分野の傾向とか - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

そういやPhys. Revの中でも偏りがあるというか、Lettersが多いのはまあ当然にしても、アルファベット系でもB・Dと他との間の差がでかいな・・・。

ここら辺は学術的な話にはならんかもしれないが、単純な興味では掘り下げてくと面白いかも。

「この先生がたくさん登録してるからだ!」とかはっきりさせられたら面白げw

そこら辺も今度ちゃんと数えてみるか・・・


面白そうだったから早速やってみた。
そしたら案の上面白かった(爆)


おさらいしとくと、つくばリポジトリに現在登録されている、学術雑誌に掲載された論文の数は238件。
国内だと地味に多い方(リポジトリ自体決して多くはないという突っ込みも入りそうだが)。
で、その238件のレコードのうち179件が「Physical review」というアメリ物理学会発行の雑誌シリーズに偏っている。
偏向率実に驚きの75%強。
他大学については数えるのが面倒だったので途中で放棄してしまったが、まあここまで偏ってる風ではなさげ。


で、さらに細かく見ると「Physical review」シリーズの中でも、「Physical review B」(物性物理学、材料物理学)と「Physical review D」(素粒子、重力、宇宙論等)、それに全領域の重要かつ基礎的な研究が掲載される「Physical review Letters」にレコードが偏っている。
最後はともかく、BとDにレコードが偏ってるのは、もしかして特定著者の論文がたくさんリポジトリに登録されているのではないか? ・・・っていうのが、前回までの見解。
ちなみにPhysical reviewシリーズ掲載論文のつくばリポジトリ登録数は以下のとおり。

Physical review A [1]

Physical review B [58]

Physical review C [2]

Physical review D [55]

Physical review E [2]

Physical review letters [59]

Physical review. Second series [2]


で、今回はその続きから。


結論から言えば、予想どおりでした。
まずPhysical review Bについて、5件以上レコードを登録している人の数は以下の通り。

Physical review B 5件以上レコード登録している著者名(レコード総数:58)

  • 門脇和男(数理物質科学研究科 教授):29
  • 岡田晋(数理物質科学研究科 講師*1):10件
  • 梅田享英(図書館情報メディア研究科 准教授):5件

半分が門脇教授でした。
ちなみに門脇教授はつくばリポジトリ登録100件目の人でもあったり。


しかしこんなのはまだまだ序ノ口
真に驚異なのはPhysical review Dの方ですよ。


Physical review D 5件以上レコード登録している著者名(レコード総数:55

  • 岩崎洋一(学長/数理物質科学研究科 教授):53


学長、乙。
9割以上が岩崎先生じゃねえかw
そういやちょうど200件目の登録レコードが岩崎先生だったそうだが。
はじめは「どうせ200件目ってことで狙って学長にしたんじゃないの?」とか疑ったが、いやいやいや。
こんだけ登録してたら普通に200件目に岩崎先生が来てもおかしくないわな。
なにせ「つくばリポジトリ」登録レコードの5分の1以上が岩崎先生の「Phys. rev. D」掲載論文なわけだし。


ちなみにPhysical review Lettersの結果は以下のとおり。

Physical review Letters 5件以上レコード登録している著者名(レコード総数:59)

  • 門脇和男:24件
  • 岩崎洋一:18件
  • 岡田晋 :7件


ここでも門脇教授と岩崎学長、健在。
合計するとPhys. Revシリーズだけで岩崎先生が71件、門脇先生が53件ってことか。
あわせて124件。
つくばリポジトリに登録されている学術雑誌掲載論文の過半数がこの2人の論文です(笑)*2


まあでも、学長が率先して学術雑誌論文を登録するって態度は悪くない、むしろ素晴らしいことである。
こういうときはまずえらい人にアタックしろ、ってなんかの授業でも言ってたし。
それにうちの場合、アカウンタビリティの向上もリポジトリの名目に掲げてるんだから、学長がどんな論文書いてる人かを広く公開することは大切なことでもある。
図書館の方から働きかけたのか学長が進んでやったのかわからんが(まあ後者だろうな)、今後も率先してどんどんレコード登録してほしいもんだ。
まあ俺にはなにが書いてあるかさっぱりわからんわけだが。
物理分野の学術誌だし。
・・・ん? それ本当にアカウンタビリティ向上してるのか??
ああ、でもPhys. rev Lettersにたくさん載ってるってことは凄いことだってわかるわけだし・・・
いやしかしそんなマニアックな知識どんだけの人が・・・


ま、まあそこら辺はいいか(汗)
とにかく頑張れつくばリポジトリ〜。
そしていずれは図書館情報学系の論文もたくさん掲載して(切実)
「情報の科学と技術」みたいに他でも読める奴はまあいいにしても、「大学図書館研究」とか「大学の図書館」とかがwebで見られると超助かるからー。

*1:2004年のReaD登録情報。今は准教授なったのか?

*2:もちろん物理分野だから共著者はたくさんいる。筑波大に所属している著者が、門脇先生や岩崎先生ってこと。そう考えるとずいぶん権利処理が上手く言ってるなPhys. rev