「Gold × Green:近未来の学術情報流通」(第8回デジタルリポジトリ連合全国ワークショプ DRF8:学術へのオープンアクセスは大学図書館に何を免じ何を任ずるのか第2部/第13回図書館総合展参加記録その5)
「その5」が「その4」より前にアップされる不思議。
図書館総合展ならではの現象ですね(?)
ということで連続更新シリーズ図書館総合展参加記録、次は前回に引き続きDRFワークショップです。
DRFの詳細は1つ前のエントリ参照。
第2部が飛んだのはその時間、CiNii Booksに浮気したからです(汗)
第3部ではリポジトリの話からさらに視野を広げて、オープンアクセス雑誌、それもPLoS ONEを代表とする「オープンアクセスメガジャーナル」に焦点をあてていきます。
その手の話となれば当然、PLoS ONE大好き、当ブログも黙っていないのですよ!
というわけで以下、当日の記録です。
例のごとく、min2-flyが聞き取れた/理解できた/書き取れた範囲のメモとなっております。
ご利用の際はその点、ご理解願います。
刺激的な表現等もニュアンスを誤って記録しているかも知れませんので、その点ご勘案いただいてご覧いただくようお願いします。
誤字脱字・事実誤認などお気づきの点があれば、ご指摘いただければ幸いですm(_ _)m
土屋先生の初日のフォーラム*1との対比にも注目です!
- コーディネータ:関川雅彦さん DRF運営委員、筑波大学
- アシスタント:鈴木雅子さん DRF企画WG、旭川医科大学
- 話題提供:杉田茂樹さん、DRF企画WG、小樽商科大学
- パネリスト:
- 土屋俊先生(DRFアドバイザー、大学評価・学位授与機構)
- 石井奈都さん(BioMed Central)
- 尾城孝一さん(DRFアドバイザー、JUSTICE)
- 山本和雄さん(DRF事務局、北海道大学)
パネリスト自己紹介・話題提供
尾城さん
- 自己紹介は省略する!
- この後のディスカッションのネタになるようなスライドを紹介
- ビッグディールからの集団離脱
- ビッグディールは基本的なモデルになっているが、そこから集団離脱が起こったら何が起きる?
- ビッグディールから抜けるとはどういうことか?
- ビッグディールとは選ばないモデル。そこから抜けるとはコレクションやタイトル単位で選ぶ、ということ
- 当然、雑誌タイトル購読数は減る。減ればタイトル単価は上がる。買えないのでキャンセル。購読数が減る・・・
- 「シリアルズ・クライシスがもう1回起こる!」=売れない・買えない、読めない・読んでもらえない、lose・lose・lose・loseモデル
- 第二次シリアルズ・クライシスを回避するには?
- 購読が減ったものは廃刊される
- 論文数は増える
- あふれた論文の受け皿がいる・・・OA雑誌が機能するのでは?
- 少数のコアな雑誌だけが従来の購読モデルで生き残る
- その他の多くの雑誌はOA雑誌に移行する
- それで安定した出版ができるのでは?
- それに対する批判:OA雑誌が増えないとそのシナリオは成立しない
- 成立したとしても、論文の総数が増え続ける限り、出版システム全体のコストも増える
- 大学の負担も増え続ける。購読料+APC。結局破綻する
- 購読が減ったものは廃刊される
- 最後に現在の自分の立場:
- 集団離脱後のシナリオは描けない。容易にやめられない
- 学術出版システムは出版社と研究者が作るもので図書館は関与できない
- できるのは状況に対処するための最大限の努力だけ
- 今できるのはコンソーシアムによる集団契約による値上げの抑制と今の枠の中での機関リポジトリへのセルフアーカイビングで最大では
石井さん
- BioMed Central:OA雑誌出版社
- 2000年設立。OA専門出版社
- 生物・医学分野の査読付きOA雑誌を223タイトル刊行中
- OA専門出版社としては最大規模
- 2008年にSpringerと合併。
- BMC単独では過去、約10万のOA論文を世に出す
- 石井さんの肩書き:OAマネージャの仕事
- 著者へのプロモーション=OA出版によるメリットを著者にアピールして投稿を増やすこと
- 学協会との連携=日本からのOA雑誌を増やすこと
- 最近学会からの問合せも増えてきている。2012.1からある日本の学会の雑誌がBMCで出ることに。今後も増やしたい
- 研究機関、図書館など関係者との連携
- 研究費助成機関などへのプロモーション=助成研究のOA義務化実現を目指す
- 以上です・・・短すぎました?
土屋先生
- 早く終わった石井さんへの質問を1つ:どうやってAPC(著者支払い掲載料)を計算するか教えて欲しい
- 査読前のコストと査読後のコストに分ける
- 足したり引いたりしたら決まりそう
- 査読後の出版コストがコンスタントで出てくるのでそのあたりで決まるのでは?
- 企業秘密かも知れないけど是非知りたい
- で、自己紹介
- 言いたいこと:原理的OA主義
- 学問的は人類としての営為であるので、成果は人類として共有すべき。ここは譲らない
- 学問でお金がかかるのは学者を食わせること。伝統的にはそこはパトロン、昔なら王様や国や党や慈善家など。見返りを求めないのがその趣旨
- 今は学生から教育のためのお金をとってそれを研究者を食わせるのに使っている
- ものをうまくまわすこと、経済的な効率化を考えて出てきたのが商業出版社に任せること
- その判断をしたのは研究者コミュニティ。今更「儲け過ぎ」とかいうのはおかしい
- OA運動は別の最適化を探したのであるがなかなかない
- そういうのは出版社がうまいので、OAを出版社に任せるのが良い。そうすると研究資金の中からお金が取れる
- しかし研究費から払う気は研究者はそんなにない?
- Gold OAはそんなにのびるはずがない
- 授業料と運営費交付金と私学助成は足して4兆円、比べて研究費の額はせいぜい5,000億円。8分の1くらいしかgold OAにならないんじゃないか
- 結果的にGreen OAのオプションを取るしかないんじゃないだろうか
山本さん
- 自己紹介:
- 旅芸人のように電子ジャーナル契約を大学を渡り歩きながらやってきた。最近はリポジトリをやっている
- 90年代は"秘教的"と言っていたが2000年代には"public good"ということが言われるようになった
- 今、リポジトリを検索して見に来る人は、論文に大きな拘りのない人たち。そしてその人達が拘る人のスポンサーだったりする
- 市場価格は需要と供給、神の手に導かれて自然価格に近づく
- 適正水準は社会が認めるところで決まる
- 電子ジャーナルはみんな高いっていうんだから正しくない
- グローバリズム=自然価格の越境
- ドイツの出版社がインドで作るのになんで価格はドイツ基準
- 信任、creditの崩壊
- BOAIにお金を出したソロス曰く
- 「市場は常に間違っている」 コントロールなんてない!
- 経済破綻をする国が出てくる。それを救うには贈与(giving)しかない・・・しかし国際社会からは認められない
本日のテーマ説明:杉田さん
- OA雑誌・・・無料で読める雑誌。世界で7,000を超える
- その中で今日、話しの中心になるのは著者がお金を払ってOAにするモデル
- 従来は読者がお金を払う。OA雑誌はArticle Processing Charge(APC)を著者が払う
- 代表例:BioMed Central(BMC)、Public Library of Science(PLoS)
- PLoS ONE・・・"OA Mega Journal"の興隆
- 「品質は担保するが価値は保証しない」
- 科学的見地から言って欠陥品、でなければなんでも掲載する
- 大量の論文が載る。発刊当時は2,000-4,000 / 年だったが、2011年は14,000論文発行の見込み
- 1日40本、論文が出る。"Mega Journal"
- 「品質は担保するが価値は保証しない」
- 他の出版社も同様のものを出してくる
- OA Mega Journalの特徴・・・"cascade"
- トップの雑誌で落ちたらMega Journalへ
- Nature Communicationsも
パネルディスカッション
- 関川さん:いくつかテーマを用意している。パネリストの意見だけでなくものによっては皆さんの意見も聞く。40分くらいしかないのでどんどん進める。
- Q1. 今の学術雑誌の状況はサステイナブルか? 違うっていうけどみんな買っているじゃないか? それは当面続く? もうダメ?
- A. パネリスト・・・山本さん・石井さんはNo、土屋先生、尾城さんはYes.
- A. 会場・・・ほとんどがサステイナブル派。
- 関川さん:土屋先生は飛ばして石井さん、なぜ黄色?
- 石井さん:BioMed Centralは既存の購読型ジャーナルをぶっ潰す志を持って立ち上がっているので。合併したけど、SpringerとBMCは未だに別会社として運営しているし、BMCの立場としてはもっともっと既存のジャーナルがOAになっていって欲しい。
- 土屋先生:それは購読料をBMCに回せってことでしょ? サステイナビリティの問題じゃないじゃない。
- 石井さん:サステイナビリティもないよ、ってこと。
- 関川さん:土屋先生は気にしないで。
- Q2.これは尾城さんからの質問。JUSTICEが既存モデルを生きながらえるわけで、それがOAを阻害しているんじゃないのか?
- A. パネリスト・・・土屋先生以外Yes。
- 土屋先生:Green OAは既存モデルを壊さないのが前提だから。
- Q3. ブランドフラッグシップジャーナルの下流にない、OAメガジャーナルって可能?
- 土屋先生から補足:PLoS ONEが可能なのは上流にPLoS Biologyとかのインパクトファクターの高いものがあるから。そこに載せないものを載せる仕組みでPLoS ONEは動いている。ブランドのある雑誌に論文をひきつけて、落としてONEで出す。ひきつけられるプロセスなしに、メガジャーナルを出せるか?
-
- A. パネリスト・・・尾城さん以外No.
- 尾城さん:出来ると思うけど、それもうメガジャーナル?
- 会場・深田さん(元Springer):杉田さんのお話でPLoS ONEがよくわかったというか、北大の栃内先生がSPARCで話したときに紙の時は世界の20人が別刷りをやりとりしてジャーゴンで話していてよかった。それがオンラインだと1対多のやりとりになるので、ジャーゴンだけで話せなくなる。Googleができたときに「Good enoughであるがbestではない」と言っていた。PLoS ONEも標準を下げても出版してもいいのかな、ということだと言われていた。Google同様、バーを下げても出す価値のある論文はある、その用途があるような気がする。
- 土屋先生:それは栃内先生の間違い。もともと査読はgood enoughなものを通すもの。学問的にOKなものを出す。Natureの査読もpeer reviewは研究者がしているが、あとは販売戦略でスタッフ・エディターが掲載可否を決めている。Natureの場合は掲載できる論文の限界を示している。査読レベルでOK、というものは上がってくる。普通の学会誌は、紙の時は出せる論文数が物理的に決まっていたが、電子は制限がなくなった、という違い。標準は下がっていない、というのがPLoS ONEの考え。不思議なのは、PLoS Biologyだって載せられるはずなのに切っている。これは却下率とIFが比例するという仮説に則っているだけ。Natureとほとんど同じモデル。
- Q4. OAメガジャーナル=論文の価値は読者が決める、ということ。それは雑誌タイトルのブランド力を弱めるのか? 弱めないのか?
- パネリスト:山本さんは弱める、他は弱めない派。
- 山本さん:たくさん出ればはずれもいっぱい出るだろう。
- 土屋先生:ブランドのイメージが変わっていく時代。一方的に選ぶ力を持っているところにブランドがあるんではなく、利用者・消費者とインタラクションができるところにブランドが生まれる、というのがこれからの潮流、らしい。科学研究は共同作業、いろんな人の成果を見てやるしかない。そういう場所を作れるところに本当のブランドがあるとすると、ある分野で仕事をしている人が、情報を出すといいレスポンスがある、という場所がブランドを持つんじゃないか。
- Q5. OAメガジャーナルの出現は、「論文の流通コストが必要最低の実費に最適化されつまり事実上無料となる」というハーナッドの「転覆提案」の最初の主張に近いのでは?
- パネリスト:尾城さんだけYes. 他はno.
- 山本さん:ハーナッドの当初イメージはもっと閉ざされたところで質の良いものだけ流通するモデルだったんじゃないか。転覆提案とは違うと思う。
- 土屋先生:今のarXiv.orgのような査読前のものが載っかるのに対して、OAメガジャーナルは査読後のもの。査読コストが発生する。それをどうカバーするのか。あとは学者がボランティアでやるんだから無料、というのが「転覆提案」なんだけど、実際には査読コストはビジネスモデルに含まれているのでそうはなっていない。なので自分は「No.」
- 石井さん:難しい質問。少なくとも論文1本だいたい3,000ドル費用がかかる、と言われていて、それがだいたいAPCに設定されている。その3,000ドルの内訳は・・・色々・・・
- 土屋先生:その色々をさあ。企業秘密ならそれでいいけど
- 石井さん:じゃあ企業秘密で
-
- パネリスト:石井さん以外はYes.
ここで自分が質問してしまいました。ブランド力が高くなってたくさん論文投稿集まって、その中で掲載本数を絞るとするとAPC上げないと赤字になるじゃん、と言う話。そこで赤字にしないには全部cascadeして稼ぐか、いいブランドにはいい論文しか投稿されないか、実は査読に大してお金かかってないか。とかでしばし議論
- 尾城さん:可能性はあると思うが、実際は起こらないと思う。
- 土屋先生:どういう条件なら起こる?
- 尾城さん:ビッグディールからの集団離脱。でもそんなの起こらないからNo.
- 山本さん:今までの紀要のままだと厳しい。紙の時代は査読も適当だった。でも最近はネットで公開されることもあり、社会責任もあってきちんと査読したものを出すようになった。
- フロアは3分の1くらいが緑。関川さん:「何が起こるかわからないってことですね」
- 関川さん:昨日もアメリカの大学図書館に電子出版部ができて図書館組織の中に入る例が出てきた。それが増えるんじゃないか、という話。どうでしょう? 今の話にどういう印象を持ちます? 自分のところに持って来られたら。人がつけばやる? 生き残る可能性としてやる?
- 土屋先生:例えば東京外語大の弱小出版会みたいなのはどうなっちゃう? 大学出版局があって図書館もあるところはどうなっている? 私立にはけっこうありますよね。例えば早稲田の出版部を図書館が引き取る、とか。
- 関川さん:早稲田、東大などのような出版会のない筑波で、年に数点、補助を出して出版活動をしている。筑波あたりみたいな、出版がしっかりしてないところはかえって起こりうると思う。機関リポジトリを図書館が始めたということで、執行部は図書館はなんでもありだ、なんでもやると思っている節がある。出版のことじゃなくても、業績登録システムとの関連でそれを図書館が管理しろとか言われたり。システムに詳しい奴いるんだからやれ、とか。年取っていると思われている図書館員が若い頃には考えられなかったような仕事を引き受けざるを得なくなってきていると思う。機関リポジトリにとどまらず出版部とか。
- フロア:図書館員が求められる仕事の枠組みが従来を超えて多様化していることは日々感じている。その流れは日々刻々と早くなっている。ラーニング・コモンズなど、今までの図書館の仕事以上に。情報教育などカリキュラムに関わることも。ライティングサポートや出版なども含め、図書館員が関わることも増えていると思う。
- 関川さん:それを実際に求められている?
- フロア:実際に私がやっている。
- 関川さん:図書館員が従来より色々担わないといけない、ということに何か他にご意見があれば。
- 土屋先生:OAだろうが購読だろうが、論文の著者・出版社から研究者に届く途中に図書館の介在は不要になった。研究支援機能が図書館からなくなるのは自明。そうするとやることがない。かろうじてやるとすると機関リポジトリで、その発展としてより洗練されたリポジトリとしての出版は考えられる。それが研究支援の唯一のありうる姿。もう1つは大学のもう1つ、もっと重要な機能である高等教育を支えること。とにかく、研究用資料を置いておく場所としての図書館、というイメージは払拭しなければいけない。それはもうオンラインにある方がいいに決まっている。図書館の「建物と人と資料」で一番最初に捨てるのは図書館そのもの。そうでないと雇用も資料も守れない。
- 関川さん:確かに非常にわかりやすい論理。賛否はともかく。図書館はどうやって生き延びるのか。名前が図書館かは別として、なんらかの働きをする必要があるとする場合。OAもリポジトリも教育支援もそうなんだろう。
- Q8. APCの取りまとめ役を、大学内では、図書館が担うべきか?
- 会場・・・担うべきでない、という人がやや優勢。現職は担うべきではない派が多い?
- 尾城さん:担うべきでない派。この「取りまとめ」って電子ジャーナルの全額経費みたいなものを作ることも含めてですよね? できるんですか?
- 関川さん:従来のワークフローは図書館が対応していたけれど、APCは研究費みたいなところ。そこを図書館が担うべきなのか、まずできるのか。
- 尾城さん:大学として基金を作って管理する、というようなことですよね?
- 関川さん:それもあるし、個々の先生のも、というのも。
- 元Springer・深田さん:理想的なのは大学の中に別の部局があること。ハーバードはそうらしい。それがあればそれがいいが、今の日本でそういうところを作るのも大変だろうし。出版社としては全体のことが見えている、中身のわかった方々にあった方がいい。会計でもITでもない。残るのは図書館。図書館の人が忙しくて新しいことはできない、ということかも知れないが、ダーウィンの進化論では生き残るのは強い種ではなく周りの環境に対応できること、と言われている。それに真っ向対立したいわけではないだろう。そうすると、今の大学の環境を考えると図書館組織は理想的なパートナーと思う。別にいいパートナーがいればまた考えるが。
- 関川さん:図書館の現場は外から見ると図書館員が最適、と。土屋先生は図書館はやっていけなくなるよ、と。外からの評価は過大な気もするし、もしかすると図書館員が丸めやすいからか、という気もしないでもない。ただ、今のままではなかなか図書館も難しいな、というのは勉強になった。
- Q9. 最後に。ゴールド路線のOAが進捗する中、それでも機関リポジトリをがんばる価値があるのか?
- 会場:出版社からの1名を除いてみんな緑(笑) パネリストも緑。
- 土屋先生:根拠はないかもよ?
- 関川さん:いいんです、志が大事。
最後に:パネリストの感想
- 山本さん:色々と状況は変わる。これからはなんでもありと考えておく。種をまいておけばどれかは芽が出る、まかなきゃでない。
- 土屋先生:原理的OA主義は譲らない。Gold OAはわずかしか実現しない。残りはGreenでやるしかない。リポジトリでがんばるしかない。
- 石井さん:感想というか素朴な疑問。第2部で図書館としてOAを推進する=機関リポジトリの充実ではないってことだった。それに関連して、OAを図書館として推進することの図書館にとってのメリットって?
- 関川さん:最後にそういう難しい質問を・・・第2部でそう言った上田さん、責任上答えて。
- 上田さん:図書館というよりは研究者のメリット、と思っている。それを進めることが土屋先生がなくなると言っていた研究者支援の役割であり、図書館の道につながる。
- 土屋先生:実際に研究支援自体がなくなっちゃったら、つまりOAが進行して図書館が資料を持つ必要がなくなっちゃったら、図書館はいらないとか不要とか言われるだけ。自分を滅ぼすことを目的にするのは気高いけど、合理性に欠けるのでは?
- 上田さん:合理性という面では確かに。そこは他の道を探す。
- 関川さん:滅びの美学ということもある。では尾城さん、最後に。
- 尾城さん:JUSTICEとDRFはけっこう近いと思った。最近、そういう気がしてきた。
文字がいっぱいでなかなか読みづらいなあ、と我ながら思いますが・・・(汗)
パネルディスカッションの省力的な記録作成は今後の課題ですな。
とまれ、議論の中身はたいっへん刺激的でした。
まず「OAメガジャーナル」という存在の登場が非常に興味深いわけですが、そのビジネスモデルの根幹であるところの「cascade」(原義は流水階段、あるいは階段状の滝。あるジャーナルの査読に落ちた論文を同一出版社のワンランク下のタイトルに無査読あるいは簡易な査読で載せる、というモデル)を生み出したBMCの方も交えての議論というわけで・・・ちょっと吊るし上げっぽくなったのは本当申し訳なかったです(汗)
初日、「OAは商売になった!」とおっしゃっていた土屋先生が今回はGreen OA原理主義の立場から発現されているあたりも興味深いです。
前者のときはあえてOA雑誌や出版社による動向を刺激的に表現した上で、今回はそれじゃ全部はOAにならないから原理的OAに、と・・・そこがブレていないのはさすがです。
会場にY/Nを尋ねる形式も、自分の頭でも考えることになるので(誰がどれを挙げたか壇上の皆さんには見えているのでなおさら!)、参加してても面白かったですし他の人の動向を見るのも面白かったですね。
語りたいことがいくらでも出てくるフォーラムだったのですが、それをやりだすときりがないのでこの辺で。
次は飛ばしたCiNiiのフォーラムの記録アップですっ*2。
*1:輸出産業としての高等教育/「大学図書館はもうお終いだ!」/「OAは商売になった」etc... 「学術コミュニケーションの動向2011年」(第13回図書館総合展参加記録その1) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
*2:あ、そういえば飛ばした理由書いてませんでしたが、DRFのフォーラム同士は近づけた方が親切かと思ったからってだけなのです