かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「親指からロマンス」(9)


前代未聞のマッサージ少女漫画「親指からロマンス」、今回でとうとう最終巻。
色々と決着がついた千愛と陽介はなんか進展するのか?! 前巻で新展開を見せた三姫近辺はどうなるのか?! 春海と夏江とあやめの微妙な関係はどうなるのかっていうか留学しちゃう夏江はいかにして春海を奪う算段をたてているのか?! 番外編でくっついた田中と早苗のその後は?! そして6巻で微妙にはられた千愛の陽介に対して踏み込むことを躊躇わせる秘密とは?!


見どころ盛りだくさんの最終巻なわけだが、まあ結論から先に言えば
終わった気がしねえ。
土台、これだけの数のキャラクターのそれぞれの事情を、きちんと紙面割いて描いてたら1巻におさまるわけがないのである。
作者の椿いずみもそこら辺は承知の上で、はなから陽介×千愛ペア以外には決着をつける気はなかった様子。
まあ、春海と夏江のエピソードとか、ちゃんと描こうと思ったら5年後に話飛ばさないといけないわけだし。
三姫とあやめを描くにはさらにその後から話を描かないといけないわけで、確かにそいつは酷というもの。
彼氏彼女の事情」みたいに16年後へワープ、とかするよりは主役格にだけ決着をつける方が潔いのやも知れぬ。
それぞれになにか吹っ切れたり区切りがついたりはしているようだしね。


しかしそれ以上に悲しいのは6巻の伏線は黙殺されてしまったこと(泣)
これも椿いずみ自身がコメント欄で言及しているが、当初は最終回は千愛と明佳(最初の方に出てきた千愛の姉妹)の、ドロドロのエピソードにするつもりだったらしい。
が、担当が「明佳なんか誰も覚えてない」と一蹴したそうで。
・・・えええええ、そりゃ確かに明佳本人のパーソナリティとかは全然覚えてないが、千愛がそこら辺でなんかドロドロした事情を抱えてそうなことは忘れてなかったよー。
すっきりしない。
「いいひと。」でいかされてない伏線の数々に思いをはせるぐらいにすっきりしないよう(泣)


さらに明佳のエピソードじゃないバージョンの最終回についても担当と椿いずみの間で意見が割れたらしく、結局担当の意見を受け入れて最終回は決まったらしいんだが・・・椿いずみ曰く、最終回の一話前が作者にとっての最終回だそうで。
まったくもって同意(悲)
最終回一話前が実は最終回で、最終回は本当は最終回後に「おまけ」として描かれた話です、とか言われた方が納得するかも知れない。
たくさん出したキャラを皆登場させたい担当の気持ちはわかるが、なんかその分、まとまりがさっぱり見えない終わり方になってる気がしてならない・・・
「むしろこれからまだまだ続くんじゃないか?」みたいな。


それが悪いってんじゃなくて、つくづく終わった気がしない。
これから短編とかでその後のエピソードとかその他のエピソードとかを付け足してってくれるんじゃないか、と期待してしまう感じ。
山田太郎ものがたり」みたいに、短編エピソード組み合わせて最終巻後にもう一回出されたりするんじゃないか、というこの期待は・・・裏切られるんだろうなあ・・・


まあそんなこんなで、「もし担当の言うことを作者が聞かなかったら」という興味がかきたてられてならない最終巻でもあった。
椿いずみの次回作に超期待。次もはっちゃけてくれ。
しかし最近少女漫画あんまり読まないからあれなんだが、ふつうこんなに担当とのやりとりでどこが変わったか、とかをオープンにするもんなのか?
なんか「吼えろペン」とか思いだすような感じだったんだが。