かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「システムズライブラリアン」育成になにが必要か、とか


ネタ元:-「システムズライブラリアン」の位置づけをめぐって / 澤田大祐 - カレントアウェアネス No.293


最新の「カレントアウェアネス」にシステムズライブラリアン*1についての話が載っていた。
卒業研究の関係で海外の採用情報とか見てた時にシステムズライブラリアンの募集も良く出ていて、ちょっと興味があったので読んでみたところ、

三輪によると,1999年の段階で「システム・ライブラリアンを育成するための整ったカリキュラムは未だない」(CA1289参照)。その後のWeb 2.0あるいはLibrary 2.0(CA1624参照)と呼ばれる情報技術の速い進歩に,システムズライブラリアンを養成するためのカリキュラム作成が追いつかず,その結果としてマコーリやウォリスのような不満が発生していると考えられる。これについて日本では,宇陀が述べているように*2筑波大学において2007年度に学群の再編が行われており*3,今後の動向が注目される。

との記述があった*4
うぉう、今後の動向が注目されてるそうですぜ > 各位。


で、「宇陀が述べているように」としてひかれている宇陀先生の文献がCiNiiで既に見られる期間に入っていたので、さっそく閲覧。

(本文はリンク先の右上「CiNii PDF」アイコンから無料で見られます)


内容としては、システムズ・ライブラリアンとは企業のCIO(Chief Information Officer)やCTO(Chief Technology Officer)みたいにサービスと技術双方について関心を持ち、意識できることができる人材である必要があるんだけど、どうも実際の図書館にはIT技術のみに関心が言っちゃう人と、伝統的な図書館サービスの技術の枠から外に踏み出せないでいる人が多くて、数少ない技術とサービス両面に意識を持って新しいサービスを考えられる人は権限を持っていない、という・・・最後のあたりは図書館系ブログ界隈でも頻繁に聞くような話だけども・・・
で、これまでの図書館情報専門学群のカリキュラムでも、なんとか技術と図書館サービス両方について意識を持たせたいと思ってやってきてるんだけど、やっぱり技術のみに関心がある人と図書館のみに関心がある人に分かれちゃって、さてどうしようか・・・と。
学群改組*5を機に一味違う学生に出会えるとよいな、みたいな感じで〆て、あとはまとめに。


ここで宇陀先生が言われているところは実際に学生やってると凄く感じる。
技術屋系(情報処理主専攻)の人だと「図書館とか興味ねえし。知らね」って豪語する奴はけっこう多いし、図書館系(情報管理主専攻)だと「パソコンとかわかんないもん。MS Officeが使えれば十分でしょ」って言う人もやっぱり多い。
そう言ってる自分だって、技術の話はあんまり得意ではないしね(苦笑)
観念的なところはわかるんだけど実装の話はからっきしです。
実装ができると格好良いので勉強しなおそうかと思いつつなかなかできないでいます。


もちろん、両方強いというか、まさに技術と図書館双方の視点を持っている人たちもずーっといることはいる(それこそProject Shizukuの面々とか)んだけど、多数派には程遠い感じなんだろうな、と。
なんだかんだ言ってもうちのカリキュラムってそこそこ自由度高いしねえ・・・やろうと思えば図書館の話も技術の話もどっちか片方をほとんどばっさり落として履修することができちゃうこともあり、自分が興味あるところ以外は履修しなかったりして、ますますそっちの方面は興味を失って・・・みたいなこともあるのかも。


あとは、図書館系に限って言えば、1年生のときのプログラミングでもう技術の話はうんざり、ってなっちゃうとか。
実際、1年生でまだ全然図書館についても情報流通についても話を聞いてない状態で、「プログラミングが必要です」って言われても実感もイメージも全然湧かないのだろうね。
っていうか湧かなかったしね(死)
やっぱ技術の話も必要だろ、プログラマーになるほどはいらないけどなにやってるか分かる程度には、って思いだしたのは俺自身ずいぶん最近のことだし。
業界の最新動向とか、トレンドの話を知り始めると技術への興味ってめちゃめちゃ湧くんだけど、そうじゃない段階だとなかなか・・・ねえ*6


って考えると、今年の知識情報・図書館学類1年生1学期向けの「情報基礎実習」でいきなり電子ジャーナルとかデータベースとか機関リポジトリだとかの話をして実際に見せる、って方式はけっこう良かったんじゃないか、とか思ったり。
いや、実際にどうなるかは数年後を見てみないとわからないけど。*7

*1:システム・ライブラリアンとか、ここら辺の呼称も色々ありそうだ

*2:宇陀則彦. 特集, システムライブラリアン育成計画:システムライブラリアンをめぐる状況と課題. 情報の科学と技術. 2006, 56(4), p. 150-154.

*3:筑波大学. “学群・学類の改組 (平成19年4月)”. 筑波大学大学案内. http://www.tsukuba.ac.jp/admission/reorganization/index.html, (参照 2007-07-30).

*4:注はmin2-flyがつけ直した

*5:2006年度までの第三学群 情報学類+図書館情報専門学群=2007年度から情報学群 情報科学類、情報メディア創成学類、知識情報図書館学類 へと改組されました

*6:逆に技術系に走る人は元から技術そのものに興味がいっちゃう、ってこともあるんだろうなあ、とか

*7:あ、はいはい、そうですね、後輩の心配よりまず自分の卒研の心配ですよね。いや、わかってはいるんですよ? ただほら、なんつうか、どんなに面白いと思っている研究でもずっとそっちの話をしていると他のところをつまみ食いしたくなるというか・・・いや、つまみ食いばかりとかそんなことはないのですよ・・・?