かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

約1年前の図書館論争いっき読み


なんか自分が書いた先日の記事が、その後の波紋も含めて1年前にあったというはてなにおける図書館の異様な盛り上がり(と、言っても図書館界隈で異様ってことで、昨今の違法ダウンロード問題ほどには全然盛り上がってない)にループしてるっぽいという話を聞いたので、その頃の記事を読み返してみることにしてみたり*1
いやー、もともと自分がはてな始めたきっかけの一つって先生から「なんかはてなで図書館の話題が盛り上がってるらしいよ?」って聞いたことだったんだけど・・・その後、遡及するのが面倒で*2きちんとおっかけてなかったんだよね。


で、とりあえず、下のリストにまとまっている分にはざっと目を通しましたが・・・


つ、疲れるな?!
盛り上がるって、まさかこんなに継続して広範囲で盛り上がってたとは思わなかったぞ・・・
こりゃ、リアルタイムで読む分にはまだしも、後になって読むのは結構な苦痛だなあ。
Firefoxのタブがどこまでも続く絶望感。
まあ面白かったから良いのだけれど。


しかし、なんでまた公共図書館の話題がそんなに盛り上がったのかと思ったら、指定管理者制度とか委託とか民営化の話題が発端だったのね。
で、中の人と外の人がエントリで一戦ぶっかましてから図書館内外に波及していった、と・・・
そして話題は公共図書館の公共性とか公共ってなんだとかから図書館のちょっとしたhuckまで様々な方向に・・・。


今もはてな図書館タグでよく見かける人もいれば、最近ではあまり見かけない人もいて、やあこれはなかなか面白いなあとしみじみ思ったり。
・・・うん、目的が当初からずれてるな・・・


ちなみにざーっと読み流した感じで自分の考え方に一番近かった(ある意味では一番遠くもあるのだけれど)のはid:shomotsubugyoさんの下の記事*3


Public house(パブ)に労働者をつどわせとくと酒飲んで風儀が悪くなり犯罪が増えるよん。

Public library(公共図書館)に集わせておけば、風儀がよくなり犯罪も減るよん。

金持ちが図書館にカネをださないと、労働者がグレちゃって結局は高くつくよん


イギリスは最近もまたsocial exclusionの問題から図書館へのアプローチを試みたりしているので、こういう方向から図書館に取り組むのは得意なのかもね・・・って、アメリカも移民政策とか考えりゃ同じような活躍はしているのだが、あちらさんの場合は「それが金持ちにとっても得になるんだ」ってところまでは明言しないか?


ただまあ、崇高な理念で取り繕っている場合、そして中の人もそれを信じ切っている場合でも、そもそもその理念が人々に共有化される背景には経験的にその理念に従っておいた方が「得である」という理解があるからなんじゃないのか、と言うことはたぶん自分なんかが言わなくてもきっとそっち方面の学者さんが言っているのではないかと思われることであり。
それならいっそこういうぶっちゃけトークで言ってくれた方がわかりやすいこともあるかもなー、とかなんとか。


もっとも、それが実際に皆にとって(公共図書館を仮定する場合、その自治体の住民全員または大多数にとって)「得」になっているのかどうかはあくまで経験的な感覚によるものなのでわからないところであるのだけれど・・・
そこを明らかにするのが研究者サイドの役割ではあるんだが、こんな複雑怪奇な事象をどうやって測ったらいいねん、とかなんとか。
まだしも大学図書館の方が規模が小さくて果たすべき効用が限定されている分、可能性は見えるんだが・・・公共図書館の効果を、総体として測る方法なんて、今の自分には見当がつかない。
ゆえに理論としては図書館が誰にとっても(図書館を全く利用しない人にとっても!)有益でありうることの説明はできるんだが、それが事実なのかの測りようがない。
だから何回だって「公共図書館なんていらないんじゃないか」「いや、いる」論争が起こる余地があるのかもな、とかなんとか。
いや全く難儀なことだ。

*1:ちなみにこの論争が起こっていた頃は自分ははてなの「は」の字も知らずに某学生組織の部屋でこたつ持ち出して合宿めいたことをしてたりしました。min2-flyがはてダを始めるのは論争も一段落した2月半ば以降のこと

*2:我ながらファッキンな図書館情報学徒だな

*3:ちなみに「一番遠い」のは、自分はカーネギー的な「できる奴だけ這い上がってこいやぁぁぁl!」みたいな図書館もけっこう好きだから。