かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

支援しろなんて言ってない。追い出すなと言ってるんだ。


公共図書館とホームレス問題がブクマ等で盛り上がっていますが。

あと大昔にこんな記事も書いてた、自分。


さて。
Arisanさんの最初のエントリにつけた自分のブクマコメント*1は正直言いすぎだったし誤読気味だと思うが、一方でG.C.Wさんの「炊き出しのような直接的なホームレス支援に乗り出すというのは本末転倒の謗りを免れない.」という話も(たとえそれが先読み・先回りの結果であったとしても)最初の問題提起からすると行き過ぎだろう。
別にここではホームレスに対して図書館が(炊き出しや入浴のような)直接的なサービスをしろ、とは言われていない*2
「落ち着いて時間を過ごしたい」とか「心地よく利用できる場所」を求める人のために、ホームレスのような人は排除してしまうというのはおかしいだろう、と言うのがここの趣旨だろう。
より端的に言えば、

以前の職場で近いところに公共図書館があって、決められた勤務時間があってないような職だったので空いた時間そこで良く時間を潰した。平日は空いているしウトウト昼寝してしまう事もあった。

あるとき、ニオイで眼が覚めたことがある。なんかクサイ。だけどとっさには何のニオイか分からない。そうこうしているうちに職場に戻る時間になったりした。

であるとき気付いたのである。ある特定の人が自分のそばに座ると強烈にクサイのである。私の側にはマンガに出てくるホームレスというほどボサボサではないが、まあ良く見ると風呂に入ってないなあという人がいて、冬だったのでどうも半ば暖を取りに図書館で新聞など読んでいるようだ。なんで暖を取りになどと推測するかというと、とにかく一度顔を見せるとずーっといるのである。

正直、頼むから図書館になんか来ないでどっか行って欲しいと思ったがしかし、ここは公立の図書館。彼を排除するわけにはいかないのだよなあ、と思って渋々私はドトールとかマックに場所を移したのである。
(「図書館での不快な出来事と分煙 - 素通りできなかった時のために」より抜粋)


ここでもしこの「特定の人」を排除するよう誰かが図書館員に働きかけて、それが通るとしたら、それはおかしいだろ、って話。
だって、空いた時間を図書館でつぶしている上にウトウト昼寝までしてるサラリーマンだって「知恵袋」としての図書館機能なんか使ってないじゃん。
っていうかそんなユーザーなんか実際のところいくらでもいるし。
こっちは公共図書館の例じゃないけど、「週5図書館生活」の中でだって週七が視聴覚ルームでクラシックCD掛けながら寝てるシーンあるわけで。
っていうか自分だって疲れている時に図書館の端っこの方のソファで寝ちまったことくらいあるし、あるいは適当な作業スペースがなかったもんだから出先の図書館で全く関係ない作業するために閲覧机使わせてもらってたことだってある。
多客期ならともかく、閑散時はそれらの人がいたって大して注意なんかしないだろうし利用者だって気にもとめないだろうに、それがホームレスに対してだと排除の論理が働き出す、ってのはやっぱりおかしいだろう?
テント張って住んでるわけでもあるまいに。
それでも追い出すってんなら、昼寝してるサラリーマンも週七も俺も追い出せよと*3


ホームレスの人を特別優遇するような措置を図書館が取る必然性もないので、「ホームレスの人の居場所」になってしまってそれ以外の人は近寄りもしない、ってのも大いに問題なのだが、そこで「ホームレスを排除する」方向に安易にかじ取りしちゃ、図書館における「誰もが居心地のいい場所」ってのは「多数派にとっての居心地のいい場所」や「他人に不快感を与えない人なら誰もが居心地のいい場所」であることを暗に認めることでもあるんじゃないのかとか。
公共施設と言えども親機関に貢献しその目的達成をサポートする、という考え方から言えば上記のような最大多数にとっての最大幸福を追求する考え方も間違いではない(不快感を感じた人がみんな図書館を使わなくなっても非常に困るのだ)のだが・・・一方で、"ホームレスなり誰なりを排除することによって成立する空間で行われるような「読書」なり「学問」なりに、そもそもそんなに価値があるのか"(図書館論議・補足 - Arisanのノート)っていう問題意識は、一利用者として忘れてはいけないもののような気がする。


・・・まあ、もっとも簡単でしかもコストがかからない妥協的対策としては、(ホームレスの人に限らず)図書館に行ったら実際にはただボーッとしているだけでもいいから、適当に本や雑誌を開くなり、新聞読むなり、インターネット使うなり、寝るにしても週七みたいにオーディオ資料聞いてるふりしてそれなりの体裁を保ってもらう、ってことなのだが(あ、でも最後のは利用者カードがないとAV資料借りれない図書館だとホームレスの人には難しいか?)。
それで暇つぶしついでに「http://blog.goo.ne.jp/heiwani/e/be8fd1f9fb2365623242106af959ba45」の例ほどとまでは言わなくても、ネットで情報発信する側に回っていただけるとなんか色々と面白いことになりそうな気がする*4




・・・もっとも、この話もたぶん実際のホームレスの方には届かないわけだが・・・

*1:"「それは図書館の役割じゃない」とか言う人もいるけど、あんたがたの崇高な役割は人命より重いのかと。"

*2:その点では昔の自分のエントリよりも穏当だ

*3:実際には自分らは大学図書館の例なのでちょっと違うが

*4:もちろん、それが出来るほど国内の公共図書館にインターネット端末はあるのか、って話もあるが