かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「国大図協シンポジウム 若きライブラリアンの海外大学図書館研修 -Global Librarian Networkの形成を求めて-」に行ってきた


id:humotty-21さんid:garugonさんのところでも感想がアップされていますが、min2-flyもお探しのページは見つかりませんでした | 大阪大学附属図書館に参加してきました。
なにせ会場がふだんmin2-flyが生活している建物の隣です。
それで参加費無料ってんだから行ってみるっきゃないだろう、ってことで。
さすがに学生は少ないかなー、と思って行ってみたものの、id:humotty-21と引っ張られてきた友人のほかに、Project Shizukuの神さんもいて、「おお、割と学生いるじゃないか」とびっくり。
こりゃあ、図書館情報学の未来は明るいね!


プログラムは最近海外へ行って、戻ってこられた図書館員の方3人による講演と、その他にパネリスト2名、コーディネータ1名を加えた「海外研修のすすめ」と題したパネルディスカッションで、大変刺激的なものでした。
特に講演については、海外の図書館の経営や人事、機関リポジトリを取りまく環境についての話が聞けて大変有意義なものであったかと。
ここで聞いた話をうまいこと卒業論文に取り入れられると、研究に深みが出せるかも知れません。


研究とのからみ、という点で個人的に興味深かったのはハーバード大学・イェンチン図書館での経験について語られた東大・柏図書館の森恭子さんのお話。
ハーバード大学図書館の人事制度についてかなり詳細に紹介されていて、日本との違いの多さが改めて面白いなあ、とか。
HVUday(ハーバードで日本のことをする司書のblog)で江上さんが紹介されていた内容とも被るところがあるんですが(ってそりゃどっちもハーバード行ってるんだから当然ですが)、端的にまとめると

  • 職員は採用当初からその職位に必要な専門性は身につけているのが当然、として扱われる(新規採用職員研修はハーバードのローカルな話(図書館システムとか)などごく限られた部分についてだけ)
  • 定期的な人事異動はなく、ある職位についたら基本ずっとその職位につくことになる。昇進もない(昇進したかったら自分でもっと上の職位の求人にチャレンジすることになる)
  • 人事交流とかもない。90くらいあるという図書館のどこかに勤めている人は、ずっとそこに勤める
  • その分、昼休み等にワークショップ等が頻繁に開催されたり、他部署のディスカッションにも参加できることなどで情報共有がはかられている
  • かなり明確にprofession(専門職)とtechnical staff(一般職)は区別されている。ILL担当等は後者に。


などなど。他にも数えたらいくらでも出てきそうですが。
もちろん、森さんも別にそれを全部日本で採用すべきだ、とか言われているわけではなく、日本の雇用制度は日本の雇用制度で向こうにはない、利点もある、というようなことには言及されていましたが。
とりあえず、日本の制度が唯一なわけでもないし、いろいろなやり方があるんだ、ってことを実際に目で見て肌で感じることはよい刺激になるんだろうなー、とか思ったり。
森さんの話に限らず皆そうだったように思いますが。
「進んでいる海外の技術を取り入れよう!」というような話(明治期の日本みたいだな)というよりは、いろいろなやり方がある、ってことを体験してグローバルな視点を持とうとか、それこそサブタイにあるような世界的な人のネットワークを築くように積極的に交流してこよう、というような話の流れが全体としてあったように感じました。


はあ、海外か・・・。
この分野で研究者を目指すなら必須だよなあ、やっぱ。
ちょっと前までなら「日本語が読めないなんて耐えられない!」とか言いそうな自分がいたけど、今ならネットでいつでも読めるし、ラノベやらコミックやらはまとめて買っておいてあとで読めばいいわけで、そうなると真剣にいかない理由はないしなあ・・・
・・・あとは、語学力か・・・
読むだけなら少しはましになってきたが、聞くのと話すのはなあ・・・
語学力がないことは行かない理由にはならないが、語学力がないことが行かない理由にならないことは語学力がなくて良い理由にもならない、という(苦笑)
げにままならぬものよー。