かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

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『自信力が学生を変える』


自信力が学生を変える―大学生意識調査からの提言 (平凡社新書)

自信力が学生を変える―大学生意識調査からの提言 (平凡社新書)


大学の先生に勧められて読んでみた新書。
もう3年近く前の本で、就職活動に関する話なんかは若干現状と異なる部分もあるんじゃないかと思うが、そうは言いつつもかなり興味深く読めた。
首都圏9大学の学生を対象に行った質問紙調査(n=2104)とインタビュー(n=93)に基づく本で、つい先日までは調査対象だった*1自分にとってもかなり納得の行く内容となっている。
「大学生はもっと勉強したいと思っている」とか、かなりしっくり来る内容。
普段から勉強しなくてもどうとでもなるような授業をやっているからだらけて行くんであって、毎日勉強しないと全くついて行けなくなるような授業展開されれば(もちろん、それでも勉強しない奴はしないだろうが)そこまで遊んでばかりになったりはしないだろう、とか。
あるいはもっと教員とコミュニケーションとりたがっている、って言うのも割とよく聞く話というか・・・話しかければきちんと答えてくれる先生の方が多いし、色々教えてもらえたりして楽しいんだけどね。
自分から行動するのにはやっぱハードル高いんだろうな、と。


総じて、今の学生にはやさしく、大人しく育っている者が多い一方で、そういう自分の性格が嫌いなものが多い、なぜなら世間的なニーズとして能動的=はきはきしていて自分の意見を積極的に述べられるような奴が求められている風潮があるから、と言う感じ。
学生の側にも「先生がもっとこうしてくれたら・・・」という甘えがあるのは確かだけれど、だからって「自主性が必要」とかの一言でばっさり切って放って置くんじゃなくて、もっと違う接し方(課題出す代わりにきちんとフィードバックするとか、接する機会増やすとか)したらちゃんと能力を発揮できるようになるんじゃないか、とか。
学生の方ももうちょっと主体的になれよ、とか。
本当、周囲に思いをはせてもしっくり来る話・・・大学院だとおおむねここで言われているようなことやってる先生多いと思うけど、学部まで手が回らないとか、いろいろあるのもあるんだろうけれどね・・・


まあ学生に関するほとんどの項目が今の自分には全然該当しないんだけれど(爆)
某先生曰く、「○○○(自分のフルネーム)のような人間には僕みたいな小心者の気持ちはわからないんだ!」とのことだが・・・ごめんなさい、わかりませんorz
この本の途中で出てきた「性格への自己認識」の設問についても、「今の学生に多い」って言われているのと真逆の結果を示したし、自分。
だいたい自分から積極的に先生に話しかけたり授業中に質問したり出来ないような人間だったら、私服で学会・研究会の類を聞きに行ったり、あまつさえ学部生の身で質問したりしないってーの*2
そういう意味では、自分みたいな奴を一般的な学生像と認識しないためにも『自信力が学生を変える』はちょうどいい本だったとも言えるかも。


・・・しかし、最後まで気になったんだが・・・
著者の河地さんはあくまで調査対象を「首都圏の大学生」と繰り返されているが、現在ならまだしも、この本の元となる調査が行われて、本が発行された2003-2005年の頃の筑波大学って、首都圏にカウントしていいのだろうか・・・?
TX開通前夜、首都に出るには渋滞の程度によっては2時間近くかかる高速バスか、そもそも駅まで行くのが大変な常磐線かの二択しかなかった頃だぞ。
インタビュー中でも思いきり「陸の孤島」って言ってる人いるし・・・なんか、全般にノイズになってそうな気が・・・

*1:というか調査が行われた2004年度に自分は調査対象の一つである筑波大学の学生だったので、自身が回答したかどうかは知らないがまさにこの本で言及されている学生群に属していたことは間違いない

*2:さすがに自分が発表するときはスーツですヨ?