「Outsourcing Library Operations in Academic Libraries-An Overview of Issues and Outcomes-」
Outsourcing Library Operations in Academic Libraries: An Overview of Issues and Outcomes
- 作者: Claire-Lise Benaud,Sever Bordeianu
- 出版社/メーカー: Libraries Unltd Inc
- 発売日: 1998/07/15
- メディア: ハードカバー
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アメリカでの大学図書館におけるアウトソーシングについて、それまでの流れと当時の状況がまとめられている本。
How-to本の類とか、単館レベルの事例紹介集みたいな本は他にもあるんだが、具体的な大学図書館の各業務(受入とか選書とか目録とかレファレンス・サービスとか)のアウトソーシングを巡る状況について、まとめて書かれた本はとりあえずこの1点しか見つけられなかった(発売は90年代末だが、それ以降現在まで同様の本はなし)。
まだ途中までしか読めてないんだが(全体の外観と選書のアウトソーシングくらいまで)、色々と前からの疑問だった点の答えが載ってたりして面白い。
特に選書の部分での、apporoval plan(発展的な見計らいみたいなの)が生まれるまでの経緯とか。
日本だと「図書館が研究のための蔵書を構築したケースは伝統的にきわめて稀である」*1って言われるように、そもそも図書館員じゃなくて研究者が研究用の本は選ぶ、ってことが多い*2とのことだが、アメリカでも昔はそうだったらしい。
それが徐々に(たぶん第二次大戦前?)、教員陣と緊密な関係を保ったsubject bibliographer(主題担当選書係り、とでも訳そうか?)に選書の権利が移ってきて、晴れて選書が図書館の役割になった、とのこと。
ところがどっこい、第二次世界大戦が終わって、退役軍人が本土に戻ってくると、彼らへの教育の需要が拡大したとかで、高等教育、特に大学図書館で資料費がたくさんつけられるようになり。
しかし資料費の伸びほどには人件費の予算枠が伸びなかったので、人手不足になった。
そんでひいひい言ってたところで図書館の代わりになって主題ごとに新刊本を選んでくる業者が現れ、のちのapproval planに発展・・・ということらしい。
資料費が伸びたのは一瞬のことだったが、その後もapproval planは続き、じきにアウトソーシングの一環(というか、その他の業務のアウトソーシングの引き金役)として位置づけられていく、という・・・
なんか風が吹けば桶屋が儲かる的な話だが。
もし第二次大戦後の退役軍人問題がなかったらどうなったんだろ。
遅かれ早かれ似たようなことが起こったんじゃないかとも思うが・・・はてさて・・・